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2021年07月01日

目に見えない部分を変えていくこと
取締役副社長 衣川龍太郎

本年2月末~3月にかけて連続して発生したM銀行のシステム障害について覚えておられる方も多いと思いますが、つい先ごろ、その特別調査委員会(第三者委員会)の報告書がまとまり、新聞各紙でも大きく取り上げられました。発端は本年2月末、稼働中のATMの約8割が停止し、5000件以上のカードや通帳がATMに取り込まれ利用客が7時間以上待ちぼうけになったというものです。

直接的な原因はシステムの容量不足やプログラムミスによるものですが、2018年と2019年にも同様のトラブルがあった事が判明したこともあり、同委員会は根本的な要因として「3つの弱さと企業風土」と題して厳しく指摘しています。3つの弱さとは「顧客目線」(顧客利益に配慮する姿勢が足りない)、「ITシステム統率力」(システムリスクへの経営幹部らの感度が鈍い)、「危機対応の組織力」(タテ・ヨコの連携が不十分)。そしてこれらの弱さが容易には改善されない根底に「積極的・自発的な行動で問題を抑止・解決する姿勢が弱い」という企業風土・体質があるとしています。

私なりに解釈すると、様々な改善策を取ったとしても、この根底にある、いわば「”責任回避”の企業風土を変えない限り、今後も起きる可能性がありますよ」、と言われているに等しいと思います。CSの観点から言い換えると、「形だけの顧客目線を強めても、心(企業風土)が変わらなければ、またボロがでますよ」ということだろうと思います。

ところで、このような企業風土の問題はM銀行に限らず、老舗の大企業ではよく耳にすることです。原発問題を抱えるT電力も中々変われませんし、神戸製鋼所も2017年の品質問題を受けて、社員全員の意識を大きく変えようと必死でもがいています。目に見えるものと違って、こういった意識や風土を変えるのは本当に難しいことです。それでも変えようとしないと何も変わらない。何かの問題が起こったときは、何かを変える大きなチャンスです。コロナ禍も、人手不足もその一つかも知れません。

我々も今、「Be a Trusted Partner」を合言葉として、大きく変わろうとしています。CSへの取り組みも年々強化され、CSポイントも飛躍的に向上してきています。まだまだ道半ばではありますが、数年前によく言われた「コベシスの社員は真面目で誠実で、言われたことはきっちりやるけれども、言われたことしかしない、提案しない」という状況から見れば、大きな変化です。まさに意識改革が必要です。

少しおこがましい言い方になりますが、「Partner」になるということは、それまでの顧客と業者という上下関係ではなくて、対等の関係を目指すということです。もちろん、強い信頼関係がないと対等の関係にはなれませんが、対等になるという意識、覚悟、責任、自信、誇り、社員一人ひとりがそれらを共通の目標として持てるかどうか、それが最終的な成功へのカギになると思っています。そして、そのような思いが会社全体に浸透したとき、「我々は本当に変わった」という実感とともに、素晴らしい企業風土が醸成されると確信しています。

2021年7月

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