2010年06月01日
既存ホストを生まれ変わらせる!
~ITモダナイゼーション~
ITモダナイゼーションとは
ITモダナイゼーションは、汎用機上で長期間稼動しているシステムやプラットフォームを、ビジネスの変化、社会環境、技術進歩などに柔軟に対応できるように移行させることを目的としています。
例えば、既存ホストにおいて堅牢性の必要なデータはホストに残し、それにアクセスするためのインターフェースをオープンな環境に用意します。その際、既存ホストの実績あるビジネスロジックをオープンな環境で標準化・部品化し、新しいシステムやビジネスパートナーの外部システムから再利用可能なアーキテクチャを構築する考え方です。
このように既存資産を再利用することで、以下のような効果が期待できます。
- 新たなビジネスニーズや法律対応、環境問題などに伴った新規開発が容易になることによる構築期間の短縮、開発コスト削減
- 変化していくITに対応することによる資産の付加価値向上
次にどのようにITモダナイゼーションを実現するか説明します。
ITモダナイゼーションの手法
ITモダナイゼーションを進める際、下記表1のような手法があります。
手法 | 説明 |
---|---|
リドキュメント | ホストのプログラム、データなどを調査し棚卸・分析する |
ラッピング | ホストをそのまま残し、外部システムからアクセスできるようなインターフェースを用意する |
リホスト | ホストのプログラムやデータをそのままコンバージョンソフトを使いオープンな環境に移植する |
リライト | ホスト上のプログラムやデータの仕様はそのままに、プログラムはCOBOLやRPGなどからJavaやCなどで書き直し、データは新たにデータベースを作る |
リエンジニアリング | ホスト上の資産は捨て、業務内容やプロセスの見直しも含め一から全て作り直す |
リアーキテクチャ | システム基盤全体を見直し、柔軟性・拡張性のあるアーキテクチャに変更する |
表1.ITモダナイゼーションの手法
ITモダナイゼーションの進め方として、図1のような方法があります。現行システムの調査(棚卸・分析)においてリドキュメントを用います。次に現在の課題を整理した結果、設計するときにラッピングやリホストなどの手法を選択します。その後設計した内容に対して移行、テスト・運用を行います。(図1)
図1.ITモダナイゼーションの進め方の例
ITモダナイゼーションの適用例
既存ホストは、以下の理由で操作性や表示項目数、ユーザー数に制限があるといわれています。
- 画面の幅(行数、列数)が決まっている
- 画面がCUIである(コマンドベースの操作でマウスを使用できない)
- 専用エミュレータを必要とするのでユーザー、場所が限られる
これらの問題を解消する方法として、今回はリドキュメントとラッピングを組み合わせた例を紹介します。まず現状分析するために、既存ホストのプログラム、データなどを棚卸し解析します。これはリドキュメントのことです。その結果に基づいて課題を整理し、新システムの全体像を検討します。既存ホストの資産を活かすという結論に至った場合、ラッピングを採用します。
ラッピングは、変換エンジンを挟むことで既存ホストのプログラム資産は変更せずGUIの画面を利用できます。図2のように外部からのインターフェースが専用エミュレータからブラウザベースに変更になります。
これにより以下の利点があります。
- 画面をカスタマイズでき、画面の幅にとらわれない画面設計ができる
- ブラウザにより遠隔地からでもアクセス可能になり、業務効率化を図れる
- 既存ホスト資産を変更することなく活用できる
- クライアント環境はブラウザを使用するため新たなインストール作業が発生しない
図2.ラッピングの利用形態例
今回はラッピングの例をあげましたが、構築するシステムにおいてビジネス上の要求や処理内容などは様々です。同じような要件においても期待する効果を得ようとするには、ITモダナイゼーションを行う上でどの手法を適用するかは十分に検討する必要があります。
当社ではお客様に合わせた最適なソリューションを提供できます。是非お問い合わせください。
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