これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2015年04月01日

金融イノベーション
“Fintech”

FinTech(フィンテック)とは

“FinTech”は、「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語です(図参照)。金融のイノベーションに関連したテクノロジを指す言葉で、現在金融業界で注目されています。

この業界は規制業種と言われ、これまで大手金融企業は、安定した企業が既存顧客を重視するあまり、有望な新しい市場を創る技術に乗り遅れるという「イノベーションのジレンマ」を抱えていました。このジレンマを打破するために、スタートアップ企業と呼ばれる新規事業領域を開拓する外部の中小企業と積極的に提携する例が増加しています。世界でのFinTechに関連する投資額は、2009年の約9.3億ドルから2013年の約29.7億ドルまで3倍に膨れ上がり、ロンドンやニューヨークの金融業界ではスタートアップ企業との提携に加えて事業の細分化も進んでいます。


図. FinTech = Finance(金融)+ Technology(技術)

FinTechの例

金融業界では、2008年のリーマンショック後に、1%の富裕層でなく99%の一般市民を向いたサービスを要望する声が起こりました。今日では、インターネット技術やスマートフォン、タブレットPCなどの進展と相まって、消費者の要望に応えるために大手金融機関もイノベーションに向けて動き始めました。これまで金融サービスにアクセスできなかった消費者層が、モバイル端末を通じて金融サービスにアクセスできれば、日本でも消費者の生活に大きな変化が期待できそうです。以下は代表するFinTech関連サービスの一例です。

【決済】

  • 決済機能を導入したいアプリにソースコードを貼り付けるだけで簡単に利用できる決済システム
  • 通常数パーセントかかる決済手数料がかからない決済システム
  • 定期購読型の支払・請求が簡単にできる決済システム

【資金管理】

  • レシートを撮影するだけで自動入力できるオンライン家計簿

【資産運用】

  • 生涯収支がシミュレーションできる、生命保険などの保険情報比較サービス

【ソーシャルレンディング】

  • 消費者金融より低い金利で融資可能な個人間の小口融資を、ウェブ上でマッチングするサービス
  • 貸し手が借り手の詳細情報を参照して投資判断できるサービス

【会計】

  • 自動で会計帳簿を作成できるクラウド会計サービス
  • 洗練されたユーザー体験が特徴のオンライン経理サービス
  • 無料で使えるクラウド請求管理サービス

【金融情報】

  • エグゼクティブ層の資金管理、資産アドバイス、オンライン投資判断支援サービス

【個人間国際送金】

  • 銀行手数料なしで、簡単にマッチングできる海外送金サービス

FinTechの今後

規制に守られてきた日本の金融業界が“FinTech”の波に乗って行けてこそ、日本のスタートアップ企業がグローバルなビジネス環境に進出することが可能になります。金融企業は自ら“FinTech”へ投資し、破壊的な(既存のものに置き換わる大胆な)ビジネスモデルを構築することが求められています。既に、大手金融企業が社外からの知見を集め、「オープンイノベーション」を模索している例もあります(参考:FINTECH CHALLENGE 2015 *1)。 今後も、このような例が増えていくことでしょう。

*1)FINTECH CHALLENGE 2015  : http://www.bk.mufg.jp/fintech/


2015年4月

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