これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2014年09月01日

2045年問題
コンピュータが人類を超える!?

2045年問題とは

未来研究の一つとして、技術的特異点(テクノロジ・シンギュラリティ)への到達が2045年周辺に訪れそうだと言われています。技術的特異点とは、コンピュータの知性が人類を超える時点(!)のことで、アメリカの発明家レイ・カーツワイルが提唱しています。SFのような話ですが、この問題に対応するためにシンギュラリティ大学という教育機関が設立され、アメリカ政府・NASA・Googleがバックアップするなど、真剣に議論されています。

2045年までには人間の脳の仕組みが解明され、技術的特異点において人類最後の発明である究極のマシンが知性を持ち、それ以降の発明は、人間がいくら考えても想像ができないレベルに達すると予測されています。

知性を持ったコンピュータの出現

一つの重要な発明は他の発明と結びつく事で次の重要な発明までの期間を短縮し、イノベーションを加速すると言われています。これは「収穫加速の法則」と呼ばれ、科学技術の指数関数的な進歩を予測しており、DNAの成立などの生命進化のプロセスにも適用されるそうです。良く知られている「ム―アの法則」(※計算能力は18ヶ月~24ヶ月で2倍になる)もこれに当てはまり、私たちのITは指数関数的な半導体の進化の恩恵を受けています。人間は直線的な感覚で未来を予測することが多いですが、技術の進歩は指数関数的に発展しています(図1)。


図1. 指数関数的なコンピュータ計算能力の変遷

現在、ITの進化を支えている半導体は、原子レベルの細かさに達し、限界に近づきつつあります。2020年辺りには「ムーアの法則」の終焉を迎え、量子コンピュータの実現などにより、人間の脳を完全にシミュレートできるシステムが構築されると言われています。このシステムに外界の認知と学習・経験を自律的に行う人工知能のメカニズムが備わることで、コンピュータが知性を持つと考えられます。

現在のITメガトレンドと2045年問題の対策

2014年は、CAMS(もしくはSMAC)[C:クラウド、A:アナリティクス、M:モバイル(センサー技術)、S:ソーシャル] が、ITメガトレンドと言われています(図2)。これに加えて、認知コンピューティングと言われる「機械学習」の領域の発展が、今までのコンピューティングと違う領域の問題解決の可能性を探っています。

図2. 2014年のITメガトレンド
図2. 2014年のITメガトレンド

これらのITの進化により、ネットワークに接続されたセンサーによって物理的な世界の状況が認知され、分析エコシステムを通してハイバリューなビジネス機会が創出されると考えられています。

一方、認知コンピューティングの出現は、2045年問題との繋がりも感じさせます。このイノベーションは、一体、誰のためのものか、少し引いて考えてみる必要があります。考えることやアイディアの創出など、本来人間が得意とすることを機械に委ねることなく、人間自身のイノベーションも模索していく必要性があります。その一端として、教育分野に対する破壊的なイノベーション(※)に対し、熱い視線が投げかけられています。一例として、ITの活用で全世界の人が個々のペースで学習し成長できるような環境が整備され利用され始めています。人間の潜在能力を最大限に高め、習熟に対する加速度を向上させることによって、2045年問題に対応できるかもしれません。

※破壊的:今までのやり方を全て変えてしまうという意味


2014年9月

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