2013年03月01日
モバイルファースト
どんなデバイスでも最高のユーザー体験を
「モバイルファースト」とは
スマートフォンやタブレット端末のようなモバイルデバイスの登場が、ライフスタイルやワークスタイルの変革を推し進めています。モバイルデバイスは、PCよりも起動時間が早く、ノートPCよりも軽くて小さいといった特徴から、場所を問わず必要な時に、Webサイトや社内システムにアクセスするツールとして注目されています。また、需要が右肩上がりで、アプリケーション数も増加し続けていることから、今後もモバイルデバイス市場の拡大が期待されます。
モバイルデバイスはPCと比べて画面が小さいため、一度に表示できる情報量が限られています。そのため、本当に価値のある機能やコンテンツに絞って提供しなければ、アプリケーションをユーザーにとって使いやすいものにはできません。このような背景から登場したのが、「モバイルファースト」と呼ばれる開発方式です。「モバイルファースト」は、モバイルデバイスでの利用を前提にアプリケーション開発を行い、その後、必要に応じてPCに展開していく開発の考え方です。
モバイルファーストを実践することで、今後拡大が期待されるモバイル環境のユーザーに高い品質のユーザー体験を提供し、結果としてユーザーを惹きつけることが可能になります。また、モバイルデバイス上でアプリケーションが遅延なく動作すれば、その他のデバイスでも一定のスピードを担保できると考えられます。
図1.「モバイルファースト」の考え方
モバイルデバイスの特性を考慮
モバイルファーストを実践する際は、対象とするデバイスの特性に合わせたユーザー体験を提供することが重要です。モバイルデバイスには、通信速度やハードウェアの面でPCよりも劣ること、ユーザーインタフェースの制約があること、タッチ操作が中心となることなどの制約が存在します。
一方、PCには存在しない便利な機能もあります。例えば、GPS(Global Positioning System)やカメラ、各種センサーなどを利用することで、PCでは不可能な体験をユーザーに提供することも可能です。具体的には、カメラで撮った写真をすぐに加工してインターネット上で公開したり、アプリケーション間で共有したり、テレビに転送して表示したりすることなどです。
このような制約や特徴を踏まえて、アプリケーション開発時には、以下のような点を考慮する必要があります。
<アプリケーション開発時の考慮点>
- ユーザーが求めている機能やコンテンツに絞って提供する
- リンクやボタンのようなタッチをする箇所は大きめに確保する
- ソフトウェアキーボードによる文字入力を最小限にする
- 直感的な操作ができるように、外観や操作性に一貫性を持たせる
モバイルファーストにおける開発プロセス
前述したように、アプリケーション開発にあたっては、モバイルデバイスの制約と特徴を考慮した上で、価値のある機能やコンテンツを洗い出して精査する作業が必要となります。さらに、後工程で手戻りが発生しないよう、早い段階から画面を作成し、普段から操作性や見栄えの良いアプリケーションを使用しているユーザーに評価してもらうことが重要です。リリース後も、多くのアプリケーションは、ユーザーインタフェースを改善したり、機能を追加したりするなど、定期的にアップデートを実施しています。
このように、モバイルファーストにおいては、画面設計を前倒しで実施し、リリースを段階的に行う必要があります。そのため、従来のように、要件定義、設計、開発、テスト、リリースを順番に進める「ウォーターフォール型」の開発プロセスではなく、上記のサイクルを短期間かつ繰り返して進める「アジャイル型」の開発プロセス(注)が適していると考えられています。実際のプロジェクトにおいても、モバイルデバイスをターゲットとする場合、アジャイル型の開発プロセスが適用されています。
今後も市場の拡大が期待されるモバイルデバイス。モバイルファーストを実践してアプリケーションを提供してみてはいかがでしょうか。
(注)
アジャイル開発については、以下をご参照ください。
『刻々と変化するシステムへの要求を受け入れながら、迅速なソフトウェア開発を実現するアジャイル開発
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/4/
2013年3月
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