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2022年05月01日

自動運転技術はどこまで進んだか
~近づく高度な運転自動化~

進化が進む自動運転

人による運転操作が不要となる「自動運転」については、数年前から車のCMやニュースで、その単語を聞いている方も多いかと思います。自動運転には、運転を装置に完全に任せられるレベル5を最高として、5段階のレベルの定義があります。

自動運転レベルの定義図1:自動運転レベルの定義
出典:経済産業省自動走行ビジネス検討会 ‐ 報告書「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針Version5.0」から引用
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数年前に市販車に搭載され話題を生んだ機能として挙がる自動ブレーキや、ハンドル操作をアシストする機能は厳密には「運転支援車」の領域であるレベル2のシステム(※1)です。これは「運転者が全てあるいは一部の運転タスクを実施」するレベルであり、運転操縦の主体は運転手(人)によるものでした。
しかし、昨年(2021年)に日本でも市販車でレベル3の車が登場しました。レベル2の際には、自動ブレーキや、ハンドル操作のアシストと人の操作をサポートする機能であった状態から、レベル3では、特定の状況下のみの条件は付きますが、自動運転用のシステムが動作中は、システム側が判断し、運転手(人)主体の操作から、自動運行装置(システム)主体の操作に進化しました。

自動運行装置の操作(レベル3)

「自動運転レベル3」では、高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムが運転者に変わって運転操作を行うことが可能となる機能が提供されています。
例えば、2020年6月に国連の自動車基準調和フォーラムで成立した国際基準でも高速道路における60km/h以下の車線維持機能がレベル3となっており、その基準を達成した機能が搭載されています。

対象となる自動運転のイメージ図2:対象となる自動運転のイメージ
出典:国土交通省 自動運行装置の国際基準の概要(※2)から引用
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レベル4への進化とさらなる高度な自動運転への取り組み

次の段階(レベル4)として、”高速道路”内や、”平均時速50kmの都市環境”など、自動運転が走行できるエリアを限定し、ルートが決まっている路線バスや、送迎用のバスなどの移動サービスで利用できるように開発が進められています。 2025年にはこのレベル4相当の機能を搭載した車が登場するのではないかと予想され、各社、各研究機関がさらなる自動運転の研究を進めています。中には研究施設にて、レベル4を超え、レベル5相当となる自動運転中の事故防止を目的とし、突然の障害物発生や路面凍結などの状況下で事故を回避するためにドリフト走行の利用を試している例もあるようです。
この自動運転時の安全面を高めることを目的とした研究のように、自動運転技術のさらなる進化に向けて、車体の制御を判断するAI技術の進化や、路面状況や車体の状況をより高速、低遅延、大容量のデータのやり取りを行う上での通信技術(5G、6G)の進化が今後必要となると考えられます。
一方、海外に目を向けると、現在レベル3を挟まずにレベル2からレベル4に進もうとするメーカーが多く、特にドイツが力を入れています。現在は自動運転を実現するための法律が日本のように改正されており、各国がレベル4の実現に向けて取り組みを進めている状況です。(※3)

自動運転技術の未来

このように進化が進む自動運転により、利便性が高まる一方で、システムが主体で運転する上で、各種センサーデータを用いた判断処理による安全性確保が更に求められると思われます。 数年前には、とある店舗のロゴマークと一時停止マークを誤認識して、レベル2の自動運転アシスト機能が、人の意図しないところでブレーキをかけたニュースがありました。また、自動運転車を標的として、意図的に誤認識させる悪意ある攻撃や、車自体のシステムの乗っ取りを図るコンピュータウィルスが将来登場するかもしれない点が、今後の解決すべき課題と考えられます。
これらの課題も、近年DXでも話題に挙がる量子コンピュータ技術の発展による画像解析技術の向上や機械学習処理の精度向上で誤認識の発生が抑えられると考えます。他にも悪意ある攻撃を防ぐための車載システム向けのセキュリティ対策も今後対応が進むことで、90年代に放送されていたSFアニメや、2002年に公開された映画「マイノリティ・レポート」で見かけたような自動運転車に乗って旅行などという光景が将来見られるのかもしれません。

※1:経済産業省自動走行ビジネス検討会 ‐ 報告書「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針Version5.0」
~レベル4自動運転サービスの社会実装を目指して~
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20210430_03.pdf

※2:国土交通省 自動運行装置の国際基準の概要
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001350037.pdf

※3:自動運転レベル4の解禁はいつ?海外や日本の開発状況を徹底解説
https://digital-shift.jp/flash_news/s_201216_21

2022年5月

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