これからは、コレ!旬なIT技術やこれから主流となりつつあるIT技術に関する情報をご紹介します。

2020年01月01日

コンテナ・オーケストレーション
~コンテナを使ってシステム開発と運用の効率化を目指そう~

輸送コンテナとIT業界のコンテナ

外を歩くと電車やトラックで運ばれている大きな輸送コンテナを見る機会があると思います。様々な大きさの荷物を規格化された輸送コンテナに格納し、船からトラックへ、またはトラックから電車へと、世界中でどこででも運搬に利用されています。
輸送コンテナのように、システムに関連する部品(輸送コンテナで言う荷物)ごと格納するコンテナ技術がIT業界でも注目されています。

コンテナの特徴

IT業界におけるコンテナとは、システム(アプリと部品の集合体)をまるごと格納し、オンプレミス※1やクラウドなど、システムが稼働する場所を問わず利用できる技術です。コンテナを利用せず、システム開発を行う場合、完成したシステムをサーバーで動かしたとしても、サーバーの環境によってシステムが正常に動作しないことがあります。コンテナを使った場合、システムに関連する部品はすべてコンテナの中にまとまっています。そのため、コンテナをサーバーへアップロードし、稼働させるだけでシステムは正常に動作します(図1)。

コンテナ導入前と導入後
図1:コンテナ導入前と導入後

※1:自社内に設置したハードウェアにシステムを導入・運用すること

コンテナ・オーケストレーションツールとは

自社でシステムを開発・運用している企業は上記で説明したコンテナの活用により、システムの開発が容易になり、競争力強化や利用者の満足度向上につながります。さらにコンテナ・オーケストレーションツールを連携させることによって、より便利なシステム開発・運用が望めます。 このように、コンテナ・オーケストレーションツールとは本番運用で必要となる負荷分散やCPUやメモリのリソース管理など、コンテナ単体では足りない機能を提供し、コンテナを管理するツールのことを指します。そして、コンテナ・オーケストレーションツールには下記のようなメリットがあります(図2)。

メリットの例
  • システムが何らかの原因で利用できなくなった際にコンテナを自動的に再起動させることにより、システムのダウンタイムを短くする。
  • 新しいバージョンのシステムを提供する際、旧バージョンからの切り替えで停止させる必要がなく、新しいバージョンのシステムをすぐに提供できる。これにより、システムの利用者を待たせることなくいつでも利用できるようになる。
  • 繁忙期にシステムの利用者が増え、負荷が高くなった場合には負荷に応じてシステムを並列稼働させ、システムの動作が重くならないようにさせる。
  • コンテナ・オーケストレーションツールと自動化ツールを連携させることにより、開発から運用まで手作業を軽減させ、利用者へ素早くシステムを提供できる。
  • システム担当者に適切なアクセス権限を付与することにより、誤った操作によるトラブルを防ぐ。

システムの開発と運用が便利に
図2:システムの開発と運用が便利に

コンテナ・オーケストレーションツールのクラウドサービスや製品

自社の開発・運用にコンテナ・オーケストレーションツールを利用すると、便利になる一方、システム開発・運用に関する従来の知識とスキルに加え、ツール自体の知識やスキルが必要になります。このような課題に関しては、コンテナを手軽に利用できるよう、ITベンダーやサービス企業が様々なサービスや製品を提供しています。クラウドで利用するものやオンプレミス、または複数のクラウドを活用するマルチクラウドで利用できるものなどがありますので、自社のIT環境の方針や戦略、個々のシステムの要件に照らし合わせ、サービスを選定するのがよいでしょう。

2020年1月

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