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2019年05月01日

AIが描く画像
~画像認識だけではないAIによる画像生成~

AIが実現してきた画像認識

AIという言葉が普及するとともに、AIによって多くのことが実現できるようになっています。画像認識はその代表的な例のひとつです。

画像認識はあらかじめコンピューターに学習用画像データを用いて学習させておくことで、画像を分類したり、画像内に写っている物体の場所を検出したりする機能のことです。このアプローチは人間が行っている「画像を理解する」という動作をAI(コンピューター)で実現することを目指したものです。画像認識を実現するAIを構築する手法には様々なものがありますが、昨今ではディープラーニングを用いる手法が注目を集めています。※1

このような画像認識は既存の画像に対して処理を実行するものでした。しかし、人間は既存の画像を認識するだけではなく、既存の画像から新たな画像を創造できます。AIでもこのような処理が実現されつつあります。

※1:コンピューターが認識する世界
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/20181201/

AIが生成する画像

既存の画像をコンピューターに対して理解させる技術が発達する一方で、新たな画像をコンピューターに生成させる技術が注目を集めています。AIによる画像生成には様々なものがありますが、イメージしやすい例として「超解像」や「特徴操作」があります。これらの技術にも画像認識と同様にディープラーニングが用いられています。

■超解像

超解像とは、解像度の低い画像から解像度の高い画像をつくりだす技術のことです。小さな画像を大きな画像へとそのまま引き伸ばすとぼやけてしまいますが、鮮明な状態で復元することを目的としています。従来は機械的な計算(特定の条件に従った型にはまった処理)によりノイズ除去やエッジ(輪郭や境界)の補正を行う方法が用いられていましたが、AIを用いることでより高精細な出力が実現されています。

超解像の動作イメージ
図1:超解像の動作イメージ

■特徴操作

特徴操作とは、既存の画像が持つ特徴を変更することで別の画像を生成する技術のことです。人の顔であれば、表情や髪型、目や口の形が人それぞれで異なります。この特徴を操作することで実在しない人物の顔画像の生成や、その人物の別の状態の画像を生成することができます。例えば、ある人物の画像から笑顔の特徴を操作することで笑顔の画像を生成することができます。

特徴操作の動作イメージ
図2:特徴操作の動作イメージ

これらを実現するAIは画像認識の場合と同様に、すべての画像に対応できる万能なAIが存在するわけではありません。ベースとして用いている技術は画像認識と同じであるため、画像生成を実現するためには画像認識と同様に大量の学習データ(画像)を用いて事前に学習させておく必要があります。

画像生成の今後

私達が日常的に使うサービスにも画像生成への適用が進んでいます。例えば、地図サービスへの活用はそのひとつです。地図サービスを提供するための地図データは、道路が増えたり、建物が変わったりと日々変化していきます。AIを用いることで、衛星写真や航空写真などのデータから地図データを自動的に生成するという試みが進んでおり、地図データの更新といったメンテナンス作業の省力化が期待されています。
また、プライバシーの観点でも画像生成は注目されています。実在の人物の写真をそのまま使うことに問題がある場合、AIが生成した人の画像を使うことでプライバシーに配慮するといった用途が考えられます。

従来は画像を理解するために使われることが多かった画像認識ですが、画像生成の発展により私たちの生活に役立つ情報をつくり出すことが可能になりつつあります。そのため、一見するとAIが生成したのか区別がつかない画像が生成できるようになっています。気づいていないだけで、今後はAIが生成した画像を見て生活しているということが増えているかもしれません。

2019年5月

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