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2016年03月01日

新たな発想をビジネスへ繋げるデザイン思考(Design Thinking)

デザイン思考とは

競争の激しい市場の中で企業が生き残るためには、革新的なサービス・製品や新たなビジネスモデルを創り出すことが不可欠です。革新的なビジネスを生み出し成功させるには、これまでにない発想や問題解決手法が求められます。このような創造性が必要とされる場合に有効な方法論として「デザイン思考(Design Thinking)」があります。

ここで言う「デザイン」とは、製品の意匠や設計のみならず、新たなビジネスモデルや価値を創り出すことも含みます。デザイン思考は、革新的な製品やサービスを創り上げ、市場に出し成功させるため問題解決手法です。従来のように問題を中心に置くのではなく、人間を中心に置いた「人間中心デザイン(Human Centered Design)」を進化させ、デザインの専門家でない人でも実践できるように、思考方法やプロセスを体系化したものです。

デザイン思考の応用事例

近年、米国のコンサルティング企業がデザイン思考の活用により、さまざまな革新的な製品・サービスを生み出しています。また、米国の有名大学におけるデザイン教育を機に、世界中の企業においても、多様な分野で新たな製品開発やサービスの創出にデザイン思考が応用されるようになってきています。

デザイン思考で創り出された製品・サービスの一例としては、携帯音楽プレイヤーであるApple社のiPodがあります。それまでの携帯音楽プレイヤーでは、あらかじめ購入した音楽CDをPCに取り込んで、楽曲を自分で選んでプレイヤーに転送しなければならず、準備に手間がかかりました。

iPodでは、音楽配信サービスがプラットフォームとして統合されており、好きな音楽をすぐに入手し、プレイヤーに自動的に同期させる機能があり、発売後に一世を風靡しました。いつでもどこでも好みの音楽を聞きたいというユーザーの欲求をかなえることが、製品・サービスの成功につながったのです。

従来の問題解決手法とデザイン思考の違い

従来から、問題を分析することにより、問題に対する解決策を見つけ出す「問題解決手法」はいくつもありました。これらは分析的な解決手法と言えます。

一方、デザイン思考では、課題の中心となるユーザーを注意深く観察することにより、本質的かつ潜在的な問題を見つけ出します。そこから全く新しい発想で解決策を考え、形にして実際にユーザーが試すことにより、繰り返し学習しながら解決策を創り出す手法です。デザイン思考は従来の分析的な解決手法に対し、創造的な解決手法と言えます。

問題解決手法とデザイン思考のプロセスの違い

図 問題解決手法とデザイン思考のプロセスの違い

デザイン思考のプロセスは、共感→問題定義→アイデア創出→プロトタイピング→テストを何度も繰り返すことで、最適的な解決策を導き出します。アイデアを実際の形にしてテストをしますが、テストで失敗した場合は方向転換をしてもよいのです。

デザイン思考の適用価値

デザイン思考は、革新的なサービスや製品を生み出す方法として国内の企業の中でも注目されています。

市場競争力強化のために、独創的な発想によりお客様自身や競合他社では考えつかないようなアイデアを実現したり、さらなる顧客満足度向上のためにお客様の立場で本質的な課題を見つけ出し、今までと異なる視点での解決策を創り出したりするのに有効な方法論としてデザイン思考は期待されています。

例えば、IoT(Internet of Things)と呼ばれる新しい技術では、さまざまなデバイスをインターネットに繋ぎ、それによって得られる膨大なデータを分析活用することにより、さまざまな価値を生み出す可能性があります。IoTに限らず、新しい技術を成功させるためには新たな思考プロセスが必要です。これまでのビジネスの延長線上にないサービスや製品を創出したい場合、デザイン思考は有効な手段となり得るでしょう。


2016年3月

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