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2009年12月01日

ほんとうにそのデータは正しい?
マスターデータ管理(Master Data Management)

マスターデータ管理(Master Data Management)とは

2007年より「マスターデータ管理(Master Data Management、以下MDM)」というフレーズを耳にすることが増えてきています。MDMとは、企業内に存在する人事・給与システムや、生産管理システム、販売管理システムなど、さまざまなシステムで個別に管理されているマスターデータを統合し、正確で一貫したデータを構築するためのソリューションを指します。
では、MDMで統合されるマスターデータとはいったいなんでしょうか。マスターデータとは、企業内に存在する複数のシステムで管理、利用される同じ意味を表すデータを指します。例えば、受発注管理、在庫管理、または販売管理などで個別に扱われている「商品」に関するデータや、「顧客」に関するデータ、または「従業員」に関するデータなどがそれに当たります。すなわち、マスターデータに分類されるのは、ビジネスを行う上で欠かすことのできない存在であるといえます。

MDMの必要性

では、なぜMDMが必要なのでしょうか。1990年代のダウンサイジングの流行以降、企業システムはメインフレームで行ってきた構築を、小型のコンピュータを利用した構築へと移行してきました。その結果、個別最適化されたシステムが企業内に乱立し、企業全体から見たシステムを複雑なものとしてしまいました。例えば、近年企業情報の見える化のために導入が進められているビジネス・インテリジェンスにおいても、情報を見せるために必要となる信頼性のあるデータが乱立するシステムのどこにあるのか探し出すことは容易ではなく、ビジネス・インテリジェンスの導入に失敗する要因のひとつとなっています(図1)。

MDMが実装されていない環境
図1. MDMが実装されていない環境

そこで登場したのがMDMとなります。社内で構築された各システムから、「顧客」データや「商品」データといったマスターデータを集約し、さらにどのデータが正しいデータなのか、重複するデータが存在しないかどうかなどデータ・クレンジングと呼ばれる修正作業で、整合性のとれた情報を参照する環境が構築できます(図2)。

MDMが実装されると…
図2. MDMが実装されると…

MDMの活用

MDMの導入により、ビジネスを行う上で重要なマスターデータが、より正確で一貫したデータとなり、さらに容易に得ることできるようになります。そして、そのMDMで統合されたマスターデータを活用することで、ITコストの削減や、業務の効率化といった下記のメリットへと繋がります。

  • 不必要なシステム連携の減少による管理コストの削減
  • アップセル(※1)やクロスセル(※2)といったマーケティング効果の向上
  • データ精度の向上に伴うビジネス・インテリジェンスの質の向上
    ※1:既存顧客に対して、同種で上位の商品を推奨し、購入に繋げること
    ※2:既存顧客に対して、関連する別の商品を推奨し、購入に繋げること

また、MDMのように企業内のすべてのマスターデータを統合の対象にするのではなく、特定のマスターデータの統合の対象とする以下のようなソリューションも存在します。

  • 顧客データ統合:Customer Data Integration
     → 金融機関を中心に導入
  • 製品情報管理:Product Information Management
     → 小売業・流通業・製造業といった多種大量な製商品マスターを持つ企業を中心に導入

社内に蓄積された情報の有効活用をお考えの方は、ぜひ当社にお問い合わせ下さい。

2009年12月

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