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毎月更新中!社長通信 社長が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2011年11月01日

二宮尊徳が教えてくれた

紅葉した葉

二宮尊徳(幼名:金次郎)と言えば、薪を背負いながら本を読む像で有名ですが、実は、江戸末期、現在の北関東一帯で600もの村々を貧困・窮乏から救済し、復興・再生させたリーダーでもありました。最近、「こういう国難の時には、二宮尊徳がいたら力を発揮するのでは」と注目されています。

二宮尊徳は、1787年(天明7年)に小田原領内の中クラスの農家に生まれました。4歳の頃、関東地方を暴風雨が襲い、川の堤防の決壊で尊徳の苦難の生涯が始まりました。堤防工事に出たり、夜なべでわらじを作って提供したり、誰にでも優しい少年であったという逸話が残されています。山へ芝刈に行く道すがら、本を懐に入れていたというエピソードがもとになって、あの有名な銅像が作られたようです。
24歳で二宮家の再興を成し遂げるまでの実践から「積小為大」や「推譲」「以徳報徳」という思想が生まれ、その後、多くの農村を立て直し、藩の財政をも再建した変革のリーダーとなったそうです。日本の歴史を振り返れば、国難のときに多大の貢献をした多くのリーダーがいましたが、尊徳はその中でも類まれな一人だったと言えるでしょう。

尊徳の教えには「一円融合」「分度推譲」「報徳仕法」「至誠勤労」「五常講」などがありますが、尊徳は徹底的に現場を大事にした人でした。現地、現場に行き、現場の人たちの声をしっかり聞いて直視し、現状を正しくつかむ。現場の人の意欲を高め、素早い対応によって実績が出ることで、働く人の夢と希望を叶える。尊徳の人に賭ける思いや地域の活力を呼び覚ますような活動には感心します。

こんなエピソードがあったそうです。
例年に比べて天候不順で気温が低い年のこと。初夏に、陣屋の夕食に出た新茄子を一口食べた尊徳は「秋茄子の味がする」と驚き、「大変な凶作になるのでは」と異変を感じました。そして過去の大きな飢饉の内容や周期を調べることにより、近々大飢饉が起こることを予測し、凶作に備えた施策を打ち出したのです。租税を免除して、気候変動に強い稗(ひえ)を蒔くように指導し、米や麦はもちろん稗や大豆などの備蓄も進めている内、やがて天保の大飢饉が始まりました。7年間も飢餓状態が続き、多くの人々が命を落とす中、尊徳が治めていた村では備蓄ができていたので餓死者を出すこともなく、無事に飢饉を乗り切ることができたのです。これを伝え聞いた各藩が救援を求め、尊徳は要請に応えて多大な貢献をしたそうです。

尊徳が、村や藩の復興計画を立てるときには、過去数十年から、時には180年も遡って、収穫量の変動や、人口の増減、田畑の荒れ具合などを綿密に調べ上げ、周到なデータ分析をした上で、企画立案をしています。また、天保8年の大飢饉のときには農村の困窮の度合いを極難、中難、無難 の3段階に分けてそれぞれに対応した処置を講じています。分析力と先を読む力、実践力には本当に恐れ入ります。

感じ入ったもう一つの点は、「報徳」の思想です。尊徳は物や人に備わる良さ、取り柄、持ち味のことを「徳」と名づけ、あらゆるものに「徳」があると考えました。自然の恩徳や社会の人々の恩徳に感謝し、その恩徳に報いるために、各自がそれぞれの持ち場で最善の勤めを果たすべし、というものです。報徳博物館初代館長の故佐々井典比古さんは、それを次のような詩で表現されています。

万象具徳

どんなものにも よさがある
どんなひとにも よさがある
よさがそれぞれ みなちがう
よさがいっぱい かくれてる
どこかとりえが あるものだ
もののとりえを ひきだそう
ひとのとりえを そだてよう
じぶんのとりえを ささげよう
とりえとりえが むすばれて
このよはたのしい ふえせかい(※)

※ふえせかい:
田畑という資源は有限ではあるが、その有限の資源を人間の工夫と努力によって有効に活用すれば、毎年毎年、無尽蔵に米や野菜などを産み出すことができる、という意味で「いっぱいせかいのふえせかい」と表現した尊徳の言葉。人間の勤労によって、付加価値(社会的、経済的な効用)が増加すること。
(産業能率大学出版部発行「二宮尊徳に学ぶ経営の知恵」より引用)

この詩を何度も読み返していると、人財育成の大切さと重み、そして奥深さを感じます。どんな逆風下にあっても、社員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる経営やマネージメントに取り組むことがますます重要になってくると思います。

当社の経営の基礎は「人財」です。「最大の資産は人であり、社員一人ひとりの能力の最大限の発揮こそが会社発展の原動力である」を基本理念にし、お客様に責任を持てる、コミットできる、その達成に向けて自ら最大限努力できる“自律した知的プロフェッショナル人財の育成”を、「一律から個へ」という方針のもと追求しています。

昨今、企業にとってのITの役割や重要性の認識はますます大きくなっています。かつて激変の時代に尊徳が実践したように、あらゆる場面で三現主義(現場・現物・現実)を徹底すること。そして社員一人ひとりが報徳の思想を持って最大限努力し、潜在力を発揮すること。それらを実践していくことで、当社がより一層活性化すると信じています。そして一人ひとりの能力を活かし一体となったチームワークがあれば、必ずこの難局を乗り切ることができると、二宮尊徳が改めて教えてくれました。

(参考図書)
産業能率大学出版部発行「二宮尊徳に学ぶ経営の知恵」(大貫章 著)
日本地域社会研究所発行「二宮尊徳のこころ」(梅津敏裕 著)

2011年11月

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