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2024年02月01日

「判官びいき」に負けない青森山田サッカーの強さ
~絶対王者を支える「凡事徹底」~

紅梅

今冬の全国高校サッカー選手権は青森山田が2年ぶり4度目の優勝を果たしました。大会前からVの大本命と目され、決勝でも近江(滋賀)を相手に3-1と危なげなく勝ち切りました。高校生年代の最強チームを決める12月のU-18プレミアリーグ2023決勝でもサンフレッチェ広島F.Cユースを破って優勝しており、2冠達成。その頂点に君臨しています。
そんな青森山田のサッカーが「面白くない」という批判の声も聞こえてきます。そのひとつは同校が戦術として多用し、他校も取り入れたことで数多くの決定機を演出した「ロングスロー」についてです。もちろんルール上、何の問題もないのですが、U-18プレミアリーグ決勝でもロングスローから同点に追いつき、その判定を巡って波紋を呼んだこともあり「青森山田のせいでロングスローが流行ってしまった。見ている側からするとつまらない」や「FIFA(国際サッカー連盟)はそろそろ規則を改定した方がいい」などの意見がネット上をにぎわせています。

確かにロングスローは青森山田にとって大きな武器となっています。しかし、雪の中での練習で鍛えられたフィジカルの強さに加え、しっかりとした足元の技術があるからこそ、ロングスローが活きてくるのです。
青森山田のスローガンは、「百戦百打 一瞬の心」。「100本のうちの1本と思うな。この1本で終わると思え」と監督が檄を飛ばし、そのシュート1本、そのパス1本に集中して全て成功させる覚悟をもつこと、そして一瞬一瞬、試合本番を想定しながら全力で練習することが求められます。選手もその意図を理解し、高度で華麗な個人技を会得するよりも、パスやシュートなどの基本的スキルを徹底的に磨くことに時間をかけます。
加えて、青森山田でのレギュラー争いは、少なくとも高校生の最高レベルの激しい競争であり、些細なミスでもレギュラーの座が遠のいてしまいます。そんな厳しい環境だからこそ、当たり前のことを愚直にやり切る姿勢や現状に満足しない高い向上心が身に付いていくのでしょう。青森山田の本当の強さは、基本プレーとチーム戦略を他のチームには真似できないほど高いレベルで実践する「凡事徹底」ではないかと思います。

ビジネスの世界でも、日々の業務の中で当たり前のことを徹底して行うことで、ミスが減少し、業務効率は向上します。また、徹底的に物事を追求する姿勢は、新しい発想を生み出し職場の能力向上を促進させます。その結果、企業の成長と競争力強化にもつながることは明白です。
また、「継続は力なり」というも言葉もあります。成功につながるかどうかは分からなくても、正しいと思った道を信じて貫き通す姿勢が大切です。決めたことを愚直に続けることで、企業風土の改善、組織文化の醸成など様々な面でプラスの効果が生まれてくると思います。松下幸之助氏が好んで使った「凡事徹底」は、やはり企業にとっても成長につながる王道なのです。

青森山田は大会を通して、反則行為による警告および退場処分を一度も受けず、優勝とともにフェアプレー賞も受賞しました。そんな素晴らしいプレーをしても前述の批判が出てくるのは、日本人の国民性が影響しているのではと考えています。勝者よりも、悲劇の主人公たる敗者の美談を好み、絶対的王者と呼ばれ「憎たらしいほど強く、勝って当たり前」のチームや選手の勝利には、「完璧すぎて全然面白くない」と好感を抱かない「判官びいき」の傾向が日本にはあります。例えば21年の青森県大会準決勝では弘前中央に22-0と圧勝。最後まで全力プレーしただけなのに「青森山田はやりすぎだ」「弘前中央の選手がかわいそう」と言われてしまいました。
青森山田のサッカーに限らず、これまでも強すぎるがゆえに「敵役(かたきやく)」となることはありました。昭和の大横綱・北の湖もその一人です。1978年に5場所連続優勝を果たすなど圧倒的な強さを誇りました。また、「自分が負けた時に相手から手を貸されたら屈辱だと思うから、自分も相手に手を貸すことはしない」という信念から、倒した相手が起き上がる際に一切手を貸さなかったことで、世間の人達からは悪者のような扱いを受け続けました。
恐らく青森山田も北の湖も、強さをキープするためには、相手をリスペクトし、どんな状況でも持っている能力を100%出し続ける習慣が身についているだけなのです。それは武士道における礼儀とかではなく、どのような時でも平常心を忘れず全力を尽くし、現状に満足せず、更なる上の境地を目指し続ける姿勢が「強さ」につながると知っているからなのでしょう。

「何事も徹底的に」という精神は、日本の伝統であり日本企業の競争優位の源泉になりえると思います。成功を求め、そのために何が必要かを考え、当たり前のように徹底して行う。その信念はブレることなく、周囲の様々な声にも惑わされず、愚直に100%の力で追い求めることができれば、必ず組織としての「強さ」につながっていくと思います。
当社も今年から新しい中期経営計画が始まりますが、今一度「当たり前だけれど、できていないことはないか」と自社を見つめ直し、商売の基本に立ち返って「凡事徹底」を図っていきたいと思っています。

2024年2月

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