コベルコシステムでは、ITインフラや様々な業務システムの導入・開発プロジェクトを行っています。私の所属するERPソリューション本部は、主にSAP社のS/4 HANAの導入をご支援する部門です。気づけばERP導入プロジェクトへの関わりは20年以上となりました。これまでの経験から、プロジェクトの品質確保について、大切だと思うことをお伝えします。

プロジェクト品質確保において大切なポイントは、以下の3点です。
(コベルコシステムでは、プロジェクトを QCDで評価します。効果的なQCD確保の為、PMBOKなどの体系化されたナレッジやプロジェクトスキルに基づくプロジェクト運営が必要なことはもちろんですが、ここでは割愛します。)

ERP(S/4 HANA)プロジェクト品質確保の主なポイント

  1. プロジェクトの目的の合意
    プロジェクトの目的がステアリングメンバーの間で合意形成されていること。
    当然のことですが、合意形成されていないプロジェクトは方向性を誤り、大幅なコストオーバーを招くことがあります。
  2. テンプレート・アプローチ
    過去の成功プロジェクトをアセット化したテンプレートを活用すること。
  3. 適切なプロジェクト体制の確保
    お客様の体制としては、業務変化の是非を判断できる方が十分に参画することが重要です。導入ベンダー側には、正しいプロジェクト管理のスキルとサービスインへの熱意とリーダーシップを持つPM、および、スキル・経験のある導入コンサルの確保が求められます。

ERPプロジェクトは、お客様の基幹システムを構築する重要なプロジェクトで、規模も大きく難易度も高いことが特徴です。ここ数年、2025年の崖やDX推進の影響で、基幹システムの導入や再構築を検討される企業が増えていますが、残念ながら必ずしも成功するプロジェクトばかりではありません。
お客様ごとにさまざまなプロジェクトの目的や背景・経緯があり、成否を明確に定義することは難しいのですが、プロジェクト品質を確保し、計画通りにサービスインすることは、プロジェクト成功の必須条件・最低条件だと思います。

なお、割愛したプロジェクト管理のスキルについてですが、コベルコシステムでは、PMやPMスキル習得者向けにPMハンドブックというものが配布されており、最初の1ページ目に、 “プロジェクトマネジメントに王道なし”とあります。適切な知識とスキルに基づき、プロジェクトを着実かつ丁寧に実行することが何よりも大切であることは、言うまでもありません。
ERPソリューション本部では、「日本の製造業をデジタルの力でお支えする」という部門方針を掲げています。これからも、ERP導入プロジェクトのご支援を通じて、製造業のお客様のビジネスに貢献していきたいと思います。