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2009年04月01日

現実世界に仮想世界を重ね合わせるAR(オーグメンテッドリアリティ)技術

AR(オーグメンテッドリアリティ)技術とは

目の前に見える現実の世界の上に、コンピュータ内に存在する、関連した情報を重ね合わせて表示する技術のことをAR技術(Augmented Reality:オーグメンテッドリアリティ、拡張現実または強化現実)といいます。
現実には存在しない世界をコンピュータの技術を利用して人工的に作りだすVR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ、仮想現実)という技術がありますが、AR技術はその技術研究の中で誕生しました。VR技術で現実の世界をシミュレーションする場合、全ての状況をコンピュータで再現するには膨大な時間と労力を必要とします。それならば、現実に存在する世界にコンピュータの情報を重ね合わせればいいのではないかという発想からAR技術が生まれました。

情報を取得し、表示する媒体としては、VR技術で広く利用されている下図のような眼鏡型の透き通ったヘッドマウンティドディスプレイ(Head Mounted Display、HMD)や携帯電話のディスプレイが考えられています。また、プロジェクター技術を応用して窓ガラスに投影して利用する方法も想定されています。

これらの媒体には、現在の場所を把握するためのGPS機能、どの方向を向いているかを把握するジャイロ・スコープ機能、コンピュータから関連情報を取得するための通信機能などが必要となります。また、AR技術を利用する基盤として、関連情報を蓄積するデータベースの整備、インターネットへのアクセスポイントの設置なども必要です。現在の技術では、媒体の価格や大きさなどに問題があり、軍事利用等の限られた分野でのみ利用されていますが、問題点は徐々に解決される方向にあります。

AR技術の応用例

以下のような形態で利用されることが期待されています。

1.病院
手術時に医師がHMDを装着することにより、患者の体とCT(Computed Tomography)画像を重ねて表示し、がん細胞など病巣の位置を確認しながら手術を行うことができるようになります。

2.自動車
現在のカーナビゲーションシステムを拡張し、クルマのフロントガラス上に道案内や渋滞情報、気象情報などを表示することにより、視線を移すことなく、安全に運転に必要な情報を取得することができるようになります。

3.博物館/美術館
見学者がHMDを装着し、展示品に関連する情報(文字、動画など)を取得することにより、展示品に対する理解をより深めることができます。

AR技術の将来像

AR技術を適用した媒体の低価格化、小型化がすすめば、家電や携帯電話などの民生品へ組み込まれ、日常的にAR技術が使われることになると考えられます。また、今までITとは無縁と考えられていたような鏡台などにも搭載され、利用者が意識しないままいつの間にか使用しているというような未来像も考えられています。

2009年4月

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