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毎月更新中!社長通信 社長が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2016年09月01日

医療分野における先進IT技術の驚くべき進展

お月見前回はAIの医療分野での活用に関して少々言及させていただきましたが、今月は他の先端情報技術が医療の現場にどれくらい応用されているのか、神戸大学の杉本真樹准教授(*)の取組みをご紹介したいと思います。

ご存じの方もおられると思いますが、情報技術を医療分野に積極的に取り入れられている医学と工学の融合のパイオニア、杉本先生のお話を3年ぶりにお聞きする機会がありました。以前のご講演では3Dプリンターによる内臓のモデルによる手術シュミレーションや若い医師のトレーニングへの活用とiPadの活用を紹介いただいたのですが、今回はVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、それに8Kカメラの医療への適用の紹介をいただきました。8Kは現在のハイビジョンの約4倍の走査線、つまり4倍×4倍の解像度を持つカメラです。まだ一般の放送までは普及しておりませんが、リオのオリンピックではパブリックビューイングで使われていました。日本でも宝塚歌劇100年記念講演を映画館で上映するなど、非常に鮮明で精緻な映像を大画面で見ることができました。杉本先生チームは世界で初めて、これをNTT東日本関東病院で腹腔鏡手術に導入されました。

8Kでは径0.01mmの毛細血管まで見ることができ、出血を減らす効果や、リアルな映像によって触感まで分かる効果があったそうです。VRやARは3Dカメラや3Dセンサーなどが普及したこともあって、手術のシュミレーションや若手医師のトレーニング、医学生の教育の効果を出しているとのことで、実際にプロジェクターで映写された画像からもそれがよく伝わってきました。また、従来の3Dプリンターによる内臓のモデルは直接造型するものでした。この逆転の発想で、3Dプリンターで内臓モデルの型を作り、そこに水分を含んだ樹脂を流し込んで内臓モデルを成型する手法が取られ、よりリアルな触感が得られています。さらに、内臓にメスを入れた際に出血するモデルまで作って、うっかりミスで内臓を傷つけて出血するという、失敗の経験をさせることで、より技術が向上することを狙われています。このような杉本先生の取り組みはSXSWという毎年テキサス州オースティンで開催される世界最大のマルチメディアのフェスティバルでは「Bio-VR/AR」というタイトルで紹介されました。VRやARをエンターティメントに使うだけでなく、社会に貢献しているということで賞を贈られています。

杉本先生のプレゼンテーションを閲覧することができます。ご興味のある方はご覧ください。http://panelpicker.sxsw.com/vote/68247 (パネルの投票もありますので、ぜひ「いいね!」にご投票を!)

私にはあまり医療知識がなく、このような先進情報技術は、実際にはあまり普及していないのでないかと思っていました。しかし日本でも、平成26年の診療報酬制度の改訂で画像等手術支援加算が認められており、医療の現場では立体モデルや画像などを手術支援で活用することが普及してきています。

講演の中で、「TECHNIUM(テクノロジーは生態系の一つである)」という考え方もお聞きしました。AIではシンギュラリティ(Singularity)、人間をAIが超えて将来は映画の「ターミネーター」のようなことが起るのではないかと言う危惧もあります。しかし、先生は「TECHNIUMという考え方でいくならば、テクノロジーの進化に合わせて人間はさらに進化するのだ」と言われていました。これは医療分野だけでなく、ビジネスや社会に貢献するように先端情報技術を活用していく上での基本的なスタンスとして持っていなくてはいけないことだと、大いに賛同するところです。

(*)杉本真樹 氏
医師、医学博士
神戸大学大学院医学研究科消化器内科 特務准教授
株式会社Mediaccel 代表取締役


2016年9月

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