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毎月更新中!社長通信 社長が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2016年03月01日

続・高まるIoTへの期待

桃のつぼみ「IoTが切り拓く次世代のものづくり〜ものづくりシンポジウム2016」が、2月15日、地元兵庫県の姫路商工会議所・ものづくり支援センター、ひょうご科学技術協会、はりま産学交流会の主催、兵庫県、兵庫県立大学、兵庫工業会などの後援で開催されました。募集100名のところ、200名以上の参加があり、IoTに対して産学官問わず高い関心があることが分かります。私も講師を務めたのですが、シンポジウムの後の交流会では多くの参加者とお話をさせていただき、皆さんがIoTやインダストリ4.0に非常に高い関心を寄せられていることを実感しました。また、年始の挨拶で多くのお客様のトップを訪問させていただいた時も、大半のお客様がIoTに関心を持たれ、話が盛り上がりました。

IoTに関して、製造業の反応はいくつかのパターンに分かれます。1つ目は、これを事業に活かして競争優位を作り出そうという反応です。お客様に導入いただいた機械の稼働状況を把握し、故障予知、迅速な保守や保守部品の最適化、稼働状況把握による稼働効率アップや稼働平準化による電力コスト低減、お客様への改善提案、お客様が活用できる情報の提供などにIoTを活用できないかと考えられています。2つ目は「IoT=スマートファクトリー」と捉え、一層の自動化、歩留まりや品質向上、工場設備の故障予知など稼働率向上、動力コストの低減、見える化による管理レベルの向上などを目指されています。3つ目は現在もセンサーから多くのデータを取っており、すでにIoTを実現しているので、「世の中、IoTで騒ぎすぎ」と感じておられます。4つ目はIoTやインダストリ4.0で何か新しいビジネスモデルが生まれてくるのではないか、自社でも何かアイデアはないのか、もし、それに取り組まなければ、同業に先を越されたり、異業種の新規参入を許すのではないかと心配されています。5つ目はIoTによって、自社の稼働状況やノウハウが漏れるのではないか、セキュリティは大丈夫なのかと心配され、どちらかといえば消極的に反応されています。

インダストリ4.0は、大量生産からマスカスタマイズを指向し、自社の製品の在庫、納期や仕様、場合によっては設計情報をオープンにしてグローバルに開かれたサプライチェーンを利用することで、自社のビジネスの機会を大きく高めることにつながります。一方で、自社の企業秘密が漏れると心配される会社は、インダストリ4.0を国策として推進するドイツの企業の中にもあります。しかしながら、インダストリ4.0の本来の狙いは、下請けや系列というクローズな縦のサプライチェーンからIoTにより開かれたサプライチェーンになることです。製造業にとって「IoT=スマートファクトリー」と捉えるだけでなく、民間航空機のジェットエンジンのビジネスモデルを変えたGEが、製造業といえども製品ではなく「サービス」や「コト」を売っているように、自社のビジネスモデルを変革することにまで及びます。IoTによって、代理店や中間業者を飛び越えて最終ユーザーと直接つながり、自社製品の使われ方や稼働状況を直接把握することによって、品質を改善したり次の製品戦略に活用したりできるのです。タイヤのミシュランも産業用タイヤにこのビジネスモデルを採用し、タイヤを販売店を通じて売り切るのではなく、走行距離に応じてチャージするというサービスモデルに変革しました。ドイツのコンプレッサーメーカーのケーサーもコンプレッサーそのものの販売から、使用した圧搾空気の量だけをチャージするサービスにビジネスモデルを変えています。

インダストリ4.0が実現するのは2025年~2030年と言われていますが、IoTを駆使すれば実現の可能性はあるのではないかと思います。確かに、現在はドイツを始め、アメリカ、中国、インドなど我が国も含めて国際標準で優位な立場を確立するゲームと捉えたり、あるいは今は話題先行だからと冷めて見る向きもあります。しかし、その意味するところを理解し、それに向けて自社の業務を今から変えていくことが必要なのではないかと思います。IoTを活用したスマートファクトリーへのチャレンジ、在庫・生産計画・設計と生産の連携、顧客との繋がり、サービスモデルの変革や製品品質向上などへのデータアナリティクス活用など、取り組むべきテーマはいろいろあります。そして、それをIoTの活用として断片的にとらえるだけでなく、10年後にやってくるインダストリ4.0に向けて自社の戦略を立て、その実現を目指して長期的なロードマップを立案することが重要だと考えています。

当社のようなユーザー系IT企業は実践できる場に恵まれています。お客様がIoTの活用モデルを構想される段階から積極的に参画することが重要であり、そのためには先行してIoTに取り組み、自社の技術力やアセットを確立しておくのみならず、得意分野の異なる企業との連携がますます重要となると考えています。今後一層スピードを上げてこれらに取り組んでいく予定です。


2016年3月

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