ホッカンホールディングス株式会社様

ホッカンホールディングス株式会社様

技術力と実績を評価してコベルコシステムのAMSを採用、SAP ERPのパフォーマンス向上と業務の改善を実現

導入前の問題

  • 既存ベンダーがSAP ERPの運用・保守サービスの提供を停止、新たな委託先が必要に
  • 長年の利用とアドオンの追加などによってパフォーマンスが低下
  • 委託にかかるコストが高止まりしていた
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導入後の効果

  • AMSソリューションを活用しアドオンプログラムを改修したことでパフォーマンスが向上
  • レスポンスの改善が進んだことで、業務も改善
  • コストの低減により、別のシステムへ予算を振り向けることが可能に
ホッカンホールディングス株式会社(以下、ホッカンホールディングス)は、缶やペットボトルなどの容器製造や各種飲料の充填などの事業を手がけるホッカンホールディングスグループを統括する持株会社です。同社では2005年にSAP ERPを導入して以来、運用・保守を外部ベンダーへ委託してきましたが、その会社がサービスの提供を停止することになったため、新たな委託先を検討。高い技術力や豊富な実績、信頼性、コストなどを評価し、コベルコシステムのAMSソリューションを採用しました。これにより、システムのパフォーマンスが向上し、業務の改善が実現。さらに2019年1月には、運用・保守サービスの拡充と最適化を図り、システム環境をコベルコシステムのデータセンター(ハウジング環境)へ移管し、SAP S/4HANA化を見据えたUnicode化も対応しました。

導入のきっかけ

運用・保守を任せてきたベンダーがサービスの提供を停止、新たな委託先を検討することに

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情報システム担当
執行役員 日原 久光 氏
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情報システム部
部長 吉田 浩 氏

“「ものづくり力 」で社会・文化に貢献していきます”を経営理念に、容器事業、充填事業、機械製作事業の3事業を展開するホッカンホールディングスグループ。現在は2020年度までの新中期経営計画「FUTURE-5」のもと、成長事業分野への積極的な経営投資配分を進める「事業構造の転換」、東南アジア市場の伸長を見据えた「海外事業の展開」、既存事業を基盤にアライアンスやM&Aも活用した「新規事業の創出」の3点を基本戦略に掲げています。同社の執行役員 情報システム担当の日原久光氏は「新中期経営計画の達成に向けて、情報システム部門でもグループ各社の連携を強化し、シナジーの創出を支援しています」と語ります。

同社が事業の中核となるIT基盤にSAP ERPを導入したのは2005年のことでした。まずは同社と同グループで容器事業を手がける事業会社の北海製罐に会計(FI/CO)、販売管理(SD)および在庫購買管理(MM)のモジュールを導入。2010年にはバージョンアップを実施し、その後も順次展開を進めてきました。2015年には、IFRS対応に向けて主要なグループ会社の会計システムをSAP ERPで統合しています。

さて同社では、SAP ERPの運用・保守については導入を担当したベンダーに一任してきました。しかし2016年6月、既存のベンダーがサービスの提供を停止することが決まり、2017年度中に委託先を変更してほしいと告げてきたのです。当時のことについて情報システム部 部長の吉田浩氏は「先方の機関決定事項であり、契約継続の選択肢がないことに困惑しましたが、長年の利用とアドオンの追加などによってパフォーマンスが低下したり、委託にかかるコストが高止まりしていたりなどの問題もあり、これを機会に新たな委託先を検討することにしました」と振り返ります。

導入の経緯

高い技術力や豊富な実績、信頼性、コストなどを評価しコベルコシステムを選定

ホッカンホールディングスでは3社にRFPを送付。各社の提案の中から、コベルコシステムのAMSソリューションを採用しました。その決め手となったのは高い技術力や豊富な実績、企業としての信頼性、安価なコストにあったといいます。

「40項目の評価ポイントを設定し、情報システム部門と経理部門の担当者を中心に吟味しました。コベルコシステムは技術力や実績はもちろん、神戸製鋼所と日本IBMの遺伝子を融合したSIerであること、製造業に精通していること、財務基盤が堅実で安定していることなどの点も評価しました。コスト面でも既存ベンダーよりかなり有利であり、全会一致で採用が決まりました」(吉田氏)

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情報システム部
佐藤 俊彦 氏

移行プロジェクトは、2017年7月にキックオフ。ドキュメントの読み込み、既存ベンダーからの引き継ぎ、運用リハーサル、Q&A、準備などの工程を経て9月に移行を完了。10月から運用を開始しました。情報システム部の佐藤俊彦氏はプロジェクト全体について次のように評価しています。

「既存ベンダーが関与できる時間が限られている中、実質2日、10時間程度の引き継ぎで、トラブルなく極めてスムーズに移行できました。これもコベルコシステムが事前にドキュメントをしっかり読み込んでくれたこと、過去の実績に基づく移行のテンプレートや方法論が整備されていたことが背景にあると思います。結果的にスケジュールも半年近く前倒しでき、コストも低減できました」

AMSソリューション移行スケジュール

わずか6カ月でシステム環境をコベルコシステムのデータセンターへ移行

ホッカンホールディングスでは、AMSソリューションの導入が一段落付いたところで、システム環境についてもコベルコシステムのデータセンターへ移行することにしました。

「運用・保守の委託先を変えるなら、システム環境も一括で任せた方がいいという判断です。見積もりを取ってみたところ、ランニングコストを既存ベンダーよりはるかに抑えられる提案がいただけたことで移行を決断しました」(吉田氏)

この際、同社はSAP ERPの本番機、検証機、開発機、SAP Solution ManagerとCMS(キャッシュマネジメントシステム)の移行に加え、サーバーOSとミドルウェアのアップグレードを実施することを決断。さらには、2025年のSAP ERP(ECC6.0)のサポート切れに伴うSAP S/4HANAへの移行を見据えたUnicode化も実施しました。

「コベルコシステムには、実情に合わせた複数の移行パターンを提示いただき、その中から最適なものを選ぶことができました。スケジュールも、通常は約1年かかるところを6カ月の短期間で対応いただけるとのことで、非常に助かりました」(佐藤氏)

データセンター移行プロジェクトは2018年6月にキックオフ。環境整備、移行準備、検証を経て、12月末の3連休に本番切り替えを実施。2019年1月から運用を開始しました。

データセンター移行後のシステム図

導入の効果

プログラムの改修によってレスポンスが大幅に改善、業務の改善も実現

AMSソリューション導入およびデータセンター移行の効果はすぐに現れています。ひとつはシステムパフォーマンスの向上です。アドオンプログラムの改修によってレスポンスが大幅に改善し、結果的に業務の改善も実現したといいます。

「例えば、原価計算の製造原価明細表のレポート作成は、従来9時間強かかっていましたが、わずか9分に短縮できました。また、経理部門で毎月月初に実施する在庫受払台帳の出力は、40分から1分に短縮されました。こうした改善が実現したのも、コベルコシステムがSAP ERPを知り尽くしているからだと思います」(佐藤氏)

もうひとつの効果は、柔軟な運用体制の実現です。従来は保守を月150時間に固定していましたが、AMSソリューション導入後は、3カ月で合計450時間に収まるよう、必要なとき必要な保守を利用できるため、融通が利きやすいといいます。

「これまでは、改善の要望が多いとタスクが消化できないこともありました。今は柔軟なリソース活用が可能になったことで、改善の要望へ柔軟に対応できるようになりました。結果としてエンドユーザーの満足度も向上しています」(吉田氏)

さらには、アプリケーションおよびインフラともに、運用・保守にかかるコストが以前ほどかからなくなったことで、新たに別のシステムへIT予算を振り向けることも可能になったとのことです。

今後の展望

SAP S/4HANAへの移行を見据え、アセスメントやPoCの実施を検討

ホッカンホールディングスでは、今後、現状のSAP ERPシステムのレスポンス改善やシステムの使い勝手の向上により、ユーザーの負荷軽減を進めていく考えです。また、SAP S/4HANAへの移行を見据えて、アセスメントや概念検証(PoC)を検討するとしています。さらに、グループ各社が個別に導入・運用している生産系システムについても、スクラッチ開発でのバージョンアップ、既存システムのマイグレーション、生産管理パッケージ「mcframe」の新規導入などを検討しつつ、全体最適化を進めていく方針です。この点について日原氏は「グループ各社の規模や要件を慎重に見極めながら、会計から物流までをSAP ERPで統合するのがいいのか、そうでないのかを検討し、体力に見合った投資を進めていきます」と述べ、吉田氏も「改善すべき点がまだ多く残っていますので、コベルコシステムには積極的に新しい提案をしていただけることを期待しています」と語ってくれました。ホッカンホールディングスグループの基幹システムは、今後もコベルコシステムのサポートを受けつつ、進化を続けていくことでしょう。

※この記事は2019年7月時点の内容です。

導入された企業様

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ホッカンホールディングス株式会社

設立:1921年10月
所在地:東京都千代田区丸の内2-2-2
URL:http://www.hokkanholdings.co.jp/
資本金:110億8,600万円(2019年3月期)
売上:1,287億5,700万円(連結:2019年3月期)
従業員数:2,057名(連結:2019年3月期)

〈事業内容〉
容器事業、充填事業、機械製作事業、その他

〈会社概要〉
1921年に食品の缶詰用缶を製造する北海製罐倉庫株式会社として設立されました。その後、充填事業や機械製作事業などへ事業を拡大。2005年にホールディングス制に移行し、容器事業を行う北海製罐株式会社、充填事業の株式会社日本キャンパック、機械製作事業のオーエスマシナリー株式会社の3社の持株会社として、各社の本部機能を担っています。2019年にはインドネシアにおいて飲料用パッケージ製造会社を設立し、充填事業を中心に東南アジアNo.1を目指すなど、海外ビジネスの強化に乗り出しています。

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