サンコール株式会社様
導入前の問題
- 原価計算が担当者の熟練度や能力に依存
- 1品ごとの原価や工程ごとの原価が正確に把握できない
- 正確な原価計算ができないので見積もりや工程の改善に生かせない
- どこの材料を使い、どの拠点で生産すれば効率的か把握できない
導入後の効果
- 原価計算の属人性を解消し、活動基準の原価計算を実現
- 当月売上に対する発生費用や原価の可視化を実現
- 正確な原価情報によって次工程の原価計算や見積もり精度が向上
- 在庫の概念を確立し意思決定を支援
導入のきっかけ
1943年、京都の嵐山の麓で創業以来、「技翔創変」という経営理念に基づき事業を展開してきたサンコール株式会社(以下、サンコール)。材料から精密加工品までの一貫生産をおこなう同社において材料生産を担う精線部では、生産管理システムの刷新を機に、原価管理システムの導入を決定しました。東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の製造業向けパッケージ「mcframe」を採用し、1品ごとの原価や工程別の製造原価を迅速かつ正確に把握できるようになり、加工品生産事業にも活かせるようになりました。さらなる企業競争力の向上に向け、今後は全社展開から海外展開までを検討しています。
どこの部品を使い、どこで作れば儲かるのかを正確に把握できなかった
経営理念に基づき、技術を飛翔させ、自ら変化を作りだしていくことを目指すサンコールでは、「安全」「環境」「医療」の3つの事業分野に注力し、安全と環境では自動車用部品、医療では医療介護用ロボットの開発に取り組んでいます。
最大の特長は、「材料から精密加工品までの一貫生産」という世界でも類を見ないビジネスモデルを展開していることです。中核技術である精密塑性加工をベースに、自動車関連部品から電子・情報機器部品、光通信機器部品までの分野へと事業領域を着実に拡大してきました。現在、国内3カ所、海外11カ所に製造拠点を置き、グローバルに事業を展開しています。
サンコール株式会社
業務・管理部門
執行役員 部門長
杉村 和俊 氏
同社の主力製品である自動車のエンジン用の「弁ばね」は、精線部が作った材料を、ばね部門が受け入れ製造しています。このとき、それぞれの部門では原価を把握できているが、会社全体としての原価を把握することが困難でした。そこで、まずは、ばねの材料となる精線部の原価を把握することが必要でした。サンコールの業務・管理部門 執行役員 部門長の杉村和俊氏は、次のように語ります。
「例えば、豊田工場で生産した弁ばねの原価と、メキシコの材料を使って米国で生産した弁ばねの原価、さらに中国で作った材料を使ってタイで作った弁ばねの原価を把握できれば、同じ製品でも原価がどれだけ違うのか、どこで作れば最も効率的なのかを把握することができます」
さらに杉村氏は、「月末に当月の原価が把握できなかったので、原価で見積もりの精度を向上したり、工程の改善に生かしたりすることができませんでした。つまり、これまでの原価計算は会社の競争力を高めるツールにはなっていませんでした。そこで原価管理システムを導入し、将来的には全社・海外拠点に展開することで、競争力を向上させたいと考えています」と話しています。
導入の経緯
約1年間の勉強会で原価管理を検討し、デファクトスタンダードであるmcframeを採用
長年のサポートでシステムと業務に精通したコベルコシステムを導入パートナーに指名
サンコール株式会社
業務・管理部門
情報企画課 課長
飛田 朋宏 氏
サンコールでは、2013年よりコベルコシステムとともに生産管理システムの構想を立案。2014年~2015年にかけてシステムを構築、10月に本番稼働しました。原価管理システムについては、2015年、生産管理システムの本番稼働と同時に、導入に向けた勉強会を開催。同じくコベルコシステムを導入パートナーとして、2016年にスモールスタートで精線部にmcframe原価管理の導入を開始し、同年4月に本番稼働しました。 コベルコシステムのサポートについて、業務・管理部門 情報企画課 課長の飛田朋宏氏は「長年に渡りシステムをサポートしてもらっているので、システムはもちろん、業務内容まで理解しており、要件定義から構築まで満足いく支援を得られました」と語ります。
活動基準原価計算の実現に向け、mcframeが最適と判断
mcframeを導入した目的は、活動基準で原価計算をすることにありました。杉村氏は、「コストを生産個数で割り算する方法では、適正な原価は計算できないだろうと思っていました。そこで、原価管理システムを導入する1年前から大学教授にも参加してもらい、勉強会を開催しました」と当時を振り返ります。
勉強会では、まずはExcelを使って原価を計算し、そのやり方を全社展開するためには、どのようなパッケージを選定するのが最適なのかを検討しました。そして、いくつかのパッケージを比較検討した結果、mcframeを採用することに決定しました。飛田氏は、「原価計算をするにあたり、生産管理システムの再構築からスタートしたので、原価計算用のデータを作っておこうということになりました。そのとき原価積み上げ方式で原価計算をするのであれば、デファクトスタンダードであるmcframeの導入が最適であるとわかっていました」と話します。
導入の効果
原価計算の精度と速度向上を実現、従来の課題であった計算作業の属人性も解消
迅速かつ的確な意思決定支援や制度会計への活用も進めていく
サンコール株式会社
業務・管理部門
経営企画支援課
船岡 幹大 氏
mcframeを採用した効果を、業務・管理部門 経営企画支援課の船岡幹大氏は、「現場では、1品ごとの原価や工程ごとの原価が正確に把握できないという問題がありました。mcframeの導入により、当月の売上に対する発生費用や原価を見える化することができ担当者の熟練度や能力などへの依存も解消されました。今後は、算出された原価が工程の原価計算や見積もり作成のベースになっていくことでより一層の効果が期待できます」と話します。
また杉村氏は、「mcframeの導入で、在庫の概念が確立できたことも効果の1つです。これまで、管理会計上、在庫の概念を持っていませんでした。今後は、材料、仕掛、製品、それぞれの在庫金額を算出し、部門ごとの貸借対照表(BS)を作成する計画です。算出された在庫金額を制度会計で利用することも検討しています」と言います。
今後の展望
経営層の迅速かつ的確な意思決定を支援するITを目指して
サンコールでは、mcframeの導入によってこれまでと違う結果が出たときに、その結果を現場が受け入れられるかを危惧したが、これまでの原価計算の精度がそれほど悪くなかったことがわかり、現場の担当者に受け入れられたことも成功のポイントであったといいます。
最後に杉村氏は、「経営層が迅速かつ的確な意思決定ができる支援がIT投資の究極の目的です。mcframeの導入はそのための一歩となりました。さらなるサポートをコベルコシステムやB-EN-Gには期待しています」と話しています。
※この記事は2018年2月時点の内容です。
導入された企業様
サンコール株式会社様
所在地:〒615-8555 京都府京都市右京区梅津西浦町14番地
URL:http://www.suncall.co.jp/
資本金:48億800万円
従業員数:連結2,385名/単体556名(2017年3月31日現在 )
〈事業内容〉
自動車関連部品・材料、ハードディスク用部品、プリンター用部品、通信関連部品などの製造・販売
〈会社概要〉
連結売上の約70%が自動車関連で、残り30%が電気・電子関連。主力製品は、自動車のエンジンに使われる「弁ばね」で、神戸製鋼から鋼材を調達し、自動車エンジンの中に使われる仕様に2次加工して、その材料を使ってばねまで製造する。最近は、将来のEV化に向けた関連製品の研究開発も推進。そのほか、2018年には認可を取得し、医療介護用ロボットを市場に展開していく計画である。
導入したソリューション&サービス
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