ニッポー株式会社様

ニッポー株式会社様

事業部ごとの業務データをmcframe 7で統合管理、データの見える化を実現し製品別・顧客別の原価も把握可能に

導入前の問題

  • 各事業部がそれぞれに業務データを管理しているため、会社全体の収支しか把握できず、製品別・顧客別の正確な原価が不明
  • 生産管理システムがなく、営業部門と生産部門が連携不可能
→

導入後の効果

  • 販売管理と生産管理の一体化により全社規模でデータの見える化が実現
  • 原価管理の稼働により、製品別・顧客別・拠点別の収支の把握が実現
  • 在庫精度が向上し、未来予測による在庫の圧縮も可能に
高度なプラスチック成形技術を強みとするニッポー株式会社(以下、ニッポー)は、各種テープなどの電子部品用包装資材から、化粧品OEM、医療用の機器、検査キット、さらには食品などのフレキシブル包装分野まで、幅広い製品の開発・生産・販売を行っています。かつて同社では、各事業部がそれぞれに業務データの管理を行っていたことから、製品別・顧客別の原価がわからず、会社全体としての収支しか把握できないという問題を抱えていました。そこで同社はこうした問題を解決すべく、生産管理および原価管理システムの導入を決定。ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の製造業向けパッケージ「mcframe 7」を採用しました。これにより在庫精度が向上し、予測に戻づく在庫圧縮も可能になりました。さらに、製品別・顧客別・拠点別の収支が把握できるようになり、収益性と顧客のニーズを両立した商品提案が可能になることが期待されています。

導入のきっかけ

6つの事業部がそれぞれに業務データを管理、製品別・顧客別の収支の把握が困難

内田様
代表取締役社長
内田 雅典 氏
時枝様
経営管理本部
情報システム部
課長 時枝 直彦 氏

ニッポーではかねてより部門別採算制度をとっており、6つの事業部がそれぞれに高い独立性を持っています。こうした特殊な事情に合わせ、同社は部門別に管理会計を採用していたのですが、製品別・顧客別の正味原価(内部利益を含まない)がわからないため、純利益を全社単位でしか把握できない状況でした。この点について代表取締役社長の内田雅典氏は「当時は会社全体の収支しかわからない状態でしたね。当社の製品はオーダーメイドが多いのですが、製品別・顧客別に正確な収支を確認することが困難でした。特定顧客への製品の原価が本当に適正なのか検証することもできず、長年放置されていたケースもあったのです。また、生産管理システムを導入しておらず、手作業やExcelによって業務を回していたので、営業と生産の連携がうまくできない状態でした」と振り返ります。

このような状態は、同社が時代の流れに対応する際にも弱みとなっていました。同社は高度なプラスチック成形技術を強みとしており、高い価格競争力を誇っていますが、グローバル規模で激化する競争の中ではそれにも限界があります。経営管理本部 課長の大西敦氏は「こういう状況下では利益率の低い製品の受注は止めるといった経営判断も必要になりますが、根拠とすべき正確な数字を把握できていなかったのです」と語ります。

そこで同社はこうした課題を解決すべく、基幹システムとして使用を続けてきたERP製品がバージョンアップを迎えるタイミングで、適切な原価管理を可能とする仕組みの導入を検討することになりました。

液体パウチ製品食品容器
同社の代表製品である液体パウチ製品と食品容器

導入の経緯

カスタマイズの容易さとコスト、提案時の対応を評価し「mcframe 7」を採用

2017年5月、ニッポーは新システムの検討をスタートさせました。当初は既存のERP製品のバージョンアップを考えたそうですが、想定よりもコストが大きく上回るため、他のパッケージによる検討に着手しました。

林様
生産本部
顧問 林 幸広 氏

そして同社は、システム全体を見直すことにし、RFPをもとにベンダー数社から提案を募りました。その要件について、プロジェクトのリーダーを務めた経営管理本部 情報システム部 課長の時枝直彦氏は「新しいシステムは、何より原価を正確に把握したいという内田社長の強い思いを実現できるものでなければならないと考えました」と語ります。

新システムの選定にあたってポイントとなったのが機能とコストです。特に機能は、同社ならではの特殊事情に対応する必要がありました。この点について生産本部 顧問の林幸広氏は「当社は6つの事業部がほぼ別会社のような関係で、各製品についても自社生産、外注、社内間取引がある複雑な体制になっています。従来のERP製品では社内間取引を把握できなかったため、たとえば各工場の収支判断を行う際には、情報を集めてExcelでデータを加工する必要がありました」と説明します。

大西様
経営管理本部
課長 大西 敦氏

こうした複雑な体制に対応するためにはパッケージをカスタマイズする必要がありますが、生産管理・原価管理・販売管理の機能がひとつのパッケージに備わっており、柔軟性が最も高いと評価されたのがmcframe 7でした。

なお、mcframeを提案した会社は2社ありましたが、コベルコシステムの提案姿勢を評価したといいます。
「コベルコシステムは一つ一つ私たちの要望を聞いた上で、真摯に向き合ってくれました。実際、プロジェクトのスタート後も、要件定義や構築作業において課題やトラブルが発生した際には、地道に対応して解決策を見いだしてくれました」(時枝氏)

こうした対応を評価し、2018年3月、同社はmcframeを核としたコベルコシステムの提案を採用することを決めました。

導入の効果

日次、月次、半期の処理が効率化、在庫精度が向上し未来予測に基づく在庫圧縮も可能に

ニッポーは、2019年よりインフラまで含めた構築をスタート。検証・移行作業を経て2020年4月に、当初の予定より半年ほど遅れて本稼働を開始しました。全事業に跨る新システムを万全な状態で稼働させることを第一に考え、入念なマスターチェック・テスト作業、ユーザ教育に十分な時間を割きました。

「mcframeではマスターの正確性・整合性が必要であり、旧システムからmcframeへのデータ移行の際、対応するデータが抜けていると他のシステムとの間で不整合が生じるため、コベルコシステムの手を借りつつ、間違いがないよう入念にチェックしながら作業を進めていきました」(林氏)

こうしてmcframeによるサプライチェーンマネジメント(SCM)のベースができあがりました。時枝氏によれば、新システム導入の効果は確実に表れ始めているそうです。

「すでに日次、月次、半期の処理をmcframeで行っています。先日、半期の棚卸を実施したところですが、滞りなく終えることができました。現場もシステム操作に慣れてきていますし、今後はより効率的に処理が進むのではないでしょうか」

また、mcframeの導入に合わせて在庫管理業務を見直されたことで、モノとデータの不一致が解消し、未来在庫の精度も向上しているといいます。
「在庫推移の予測から、在庫も圧縮できるようになってきました。また、以前は営業が工場の生産管理に電話をして在庫確認や生産状況を確認し、お客様に回答していましたが、今ではシステムですぐに確認できるため、そうした手間は不要になりました」(大西氏)

「ロット管理在庫を一番喜んでいるのは品質管理部門かもしれません。トレーサビリティを実現したことにより、商品に不具合が発生した際の影響範囲特定が正確にできるようになりました。今後はさらに、生産計画領域にスケジューラソフトを導入して負荷の平準化を図ることを検討しています。平準化した状態をベースに生産計画を立案してMRPを回すことができれば、大幅な効率化が可能になると考えています」(林氏)

さらには、2021年4月に原価管理システムの全社的な稼働を目指しています。
「得意先ごとの損益管理や原価精度向上に向けた取り組みはこれからです。まずは、事業部ごとに異なる加工費の可視化を実現し、各事業部のコスト意識がより敏感になることを期待しています。原価管理の重要性に気付いてくれることでしょう」(大西氏)

今後の展望

原価管理を確実に稼働させ、交渉における大きな武器としたい

今後の展望についてニッポーは、まず原価管理の稼働を確実に実現したいとしています。

「正確な原価管理ができるようになれば、お客様との交渉において大きな武器になると思います。例えば、ある製品では思い切った価格を提示しつつ、別の製品と組み合わせて提案することで適正な利益を確保するといった判断が、商談の場で行えるようになるでしょう」(林氏)

また、同社の主力製品であるテーピング事業では、今でも現場が大量のExcelデータを抱えており、mcframeと連携させて処理していますが、この一本化も目指したいとのことです。
「原価管理、生産管理、販売管理という一連のプロセスの見える化やデータ管理の徹底によって、現場に恩恵を実感してもらい、システム活用への意識を高めていければと思います」(林氏)

最後に内田氏は「システムというのはあくまでインフラです。これを活用することで、どれだけ業務の効率や品質が向上したのかを現場に体感してもらいたい。その経験を通じ、手作業で行っている業務をデジタル化する、データに基づいて判断するなど、現場のリテラシーの向上につなげていきたいと思います。コベルコシステムは、そうした変革に向けたノウハウも持っていると思いますので、サポートを期待しています」と将来への思いを語ってくれました。

お客様とともに
左からコベルコシステム 渡邉(担当営業)、ニッポー 林氏、大西氏、時枝氏、コベルコシステム 岡本(PM)

※この記事は2020年12月時点の内容です。

導入された企業様

ニッポー社ロゴ
ニッポー 本社ビル
ニッポー 本社ビル
テープ ・リール・トレー製品
代表製品の電子部品用テープ
・リール・トレー製品

ニッポー株式会社

設立:1963年8月
所在地:大阪府大東市氷野2-3-7
URL:https://nippoltd.co.jp/
資本金:3億3,000万円
従業員数:1,085名(パート・アルバイト含む)

〈事業内容〉
医療用具、電子部品収納テープ、精密光学部品、化粧品関連商品、食品容器などの開発・製造・販売

〈会社概要〉
1963年創業のプラスチックの総合メーカー。大阪府大東市に本社を構え、シンガポールや上海など海外にも拠点を持つ。化粧品OEMや医療検査キットの製造、プラスチック部品の成形などで実績を重ね、創業以来の連続黒字を継続中。プラスチック成形の技術に強みを持ち、コスメティック、医療用の検査キットや使い捨て器具、電子部品、シート成型、インジェクション・ブロー成形、フレキシブル包装、粘着製品など多岐にわたる分野で活用されている。

導入したソリューション&サービス

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