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2011年11月01日

有益な情報はここに隠れています
ビッグデータ

データの爆発的増加

この数年で、PCやスマートフォンなどのモバイル端末を利用して、いつでもどこからでもインターネットを利用する時代へと突入しました。これらの機器やインフラの発展と共に、ネット上にはソーシャルサービスが登場した事で、個人あるいは一般の企業が直接世界へ情報を発信する時代へと移り変わりました。
このような背景から、現在では多くのデータが生み出され、その総量が爆発的に増大し続ける状況となっています(ただし、このデータの増大については、過去何年も言い続けられてきたテーマであり、「情報爆発」というキーワードで語られた事もありました)(図1)。
昨年から今年にかけて、このデータの増大という現況・課題に対してキーワードが付与され、多くの企業やIT関係者が注目する事となりました。それが、今回のテーマである「ビッグデータ(Big data)」です。ビッグデータはただ単にデータの増大という状況を表すだけではなく、この増え続けるビッグデータを活用する事で、今後の社会生活やビジネス活動に大きな影響を与える点が注目を集めている理由です。
では、ビッグデータとはどのようなデータを指すのでしょうか?

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図1.全世界のデータ量は年々増加の一途を辿っている

ビッグデータ(Big data)とは

ビッグデータという言葉の定義ですが、現在、もしくは近未来のIT環境を加味して、各要素が以下の特徴を備えるデータが「ビッグデータ」と呼ばれています。ただ、登場してさほど年月が経っていない点や、「ビッグ」と「データ」というありふれた言葉で形成されていることから、非常にあいまいです。

  • 容量(Volume)
    ビッグデータというキーワードが表すとおり、データ容量の巨大さは重要な要素となります。ただしその容量は、これまでデータを管理する上で一般的に利用されてきたRDBMS(リレーショナル管理システム)で管理する事が難しい程巨大なものを指し、テラバイト(約1兆バイト)からペタバイト(約1000兆バイト)以上のデータ容量が対象となると言われています。
  • 種類(Variety)
    これまで企業内で管理・処理してきたデータは、意味付けして分類しながら表形式や木構造など定型にはめ込む事で活用してきました(このようなデータを「構造化データ」と呼びます)。しかし、ビッグデータが対象とするのは構造化データと共に、業務文書や画像・音声・動画などのデータ、ウェブサーバから生成されるログデータ、RFIDのようなタグから発信されるデータ、モバイル機器に搭載されたGPSのようなセンサーが出力するデータ、マイクロブログやSNSなどのサービスから発信されるデータなど、出力される形式がバラバラであるものも活用します(このようなデータを「非構造化データ」と呼びます)。
  • 速度(Velocity)
    これまでのデータ管理・処理は、HDDに保存された過去のデータを対象としてきました。これに加えてビッグデータが対象とするのは保存されたデータ以外に、今まさに生成されているリアルタイムなデータも活用の対象となります。例えば、「スマートシティ」で語られたように、各家庭の電力使用量を、センサーを介してリアルタイムに監視・分析し、その結果から送電網を制御する事により、より効率的な送電を実現するといったように、データが生成された時点で、即活用するといった速度を実現します。

ビッグデータの活用に注目

前章で解説したビッグデータに分類されるデータは、なにも今年になって突然生み出されたデータという訳ではありません。ここ数年に渡って常に生成され続けたデータがあまりに膨大であり、多種多様な形態をしたデータであるため、効果的に活用する術が一般的ではなく、蓄積されるだけの存在となっていました。
しかし、「クラウドコンピューティング」が登場し、容易に多くのコンピュータリソースを活用できるようになった事、そしてクラウドの上で効果的にデータを管理するデータベースである「NoSQL」や、データを効率的に分散処理する事が出来る「分散処理技術」といった技術が登場したことで、ようやくビッグデータを活用する事が可能となりました。
ビッグデータの活用はこれからの事であり、これまで活用することのなかったデータに光を当てることで、あらゆる業種・業界の「今を知り」、「変化を知り」、そして「未来を予測する」ことが可能となるでしょう。ぜひ皆さんも、この「ビッグデータ」というキーワードの今後に注目してください(図2)。

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図2.未来はどこに向かっている?

【参考】
大規模データを効率良く活用!分散処理技術
https://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/215/

2011年11月

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