2015年04月01日
ダイバーシティの推進が会社の成長につながる
“202030”は、社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度にするという政府が出した目標です。その背景には少子高齢化で2050年には労働力人口が4000万人程度になるとの内閣府の予測もあり、世界経済フォーラムによると、2014年のジェンダーギャップ指数は 世界142カ国中、我が国は104位。一方、OECD(経済協力開発機構)が公表した2013年国際成人力調査では日本は3分野中、2分野が男女共に世界1位です。この女性の能力の高さを活用しない手はないと思います。
私が会員である神戸経済同友会では2014年度10の委員会のうち、実に7つの委員会がダイバーシティや女性の活躍をテーマにして活動しました。産業界でも取り組みが掛け声から具体的な研究、試行、施策の実現など実行のある形にステップアップしてきています。同会として今年3月に「女性が輝き、イキイキ元気に活躍する兵庫・神戸をめざして」という提言をまとめました。具体的な内容は割愛しますが、子供の養育環境の行政、民間企業の連携の改善、つまり行政、企業、働く女性、男性、地域の力も借りる総合力、共助を高める必要があるという内容です。戦後の重厚長大、製造業主導型の日本経済が様変わりし、現在では第三次産業が75%を占めるという産業構造の変化に対して、従来型の男性モノカルチャーではイノベーションにも経済の拡大にも限界がある。女性ならではの力で新たな市場を創出しようとするもので、2012年の産業構造審議会が発表した経済社会ビジョン『「成熟」と「多様性」を力に ~価格競争から価値創造経済へ~』でも強調されています。
一方、当社にとってダイバーシティは、女性の活躍にとどまりません。考え方や働くスタイル、障がいの有無などにかかわらず、多様な社員の活躍が必須だと考えています。社員にとっても会社にとっても、価値を高め成長する上で、ダイバーシティは欠かせません。具体的には以下の3つが必要です。
- 性別や年齢に関わらず、優秀な人財が活躍できる場
- 社会が多様化し、お客様のダイバーシティも進む中、多様な価値観に対応出来るビジネスの推進
- 大量生産で、同じ環境、価値観で会社が成り立っていた時代とは異なり、変化の激しい環境の中で成長し、リスクを回避するために、多様な価値観を持ち自ら考え・行動する企業カルチャーを醸成
当社を含め、世の中でも女性の労働環境整備や意識改革は進んできましたが、遅くまで残業する、休暇が取りにくいなど、古くから続いてきた男性中心社会の働き方が改められないと、出産や育児などを抱えている女性社員が働き続けることは難しいですし、親の介護などを抱えるシニア層も活躍することが難しくなります。「地位に拘りがちな男性と異なり、女性の中には頑張りと賃金とのバランスがとれないとキャリアアップすることを回避する傾向がある」という人もいます。
当社ではすでに3Tとして短時間、達成感、楽しい職場環境を作り出すことを目指して取り組んできましたが、仕事が成果で評価されるようにならないとダイバーシティは進まないと思います(もちろん、時間で評価する仕事もあります)。時間ではなく成果で働く裁量労働制は長時間労働を助長するという懸念もありますが、適正な残業時間を盛り込んだ裁量労働制と残業廃止は異なります。3Tによってイキイキとした職場を目指すという考えを社内に浸透できれば、そのようにはならないと考えています。そのためにも「正規、非正規などの労働形態や働く時間に関わらず評価をする」という考えが、今後、社会とともに育つことが重要だと思います。
当社では男性社員の育児休暇の取得も進んでおり、この度3回目のくるみん(子育てサポート企業)の認定を受けました。また、社員がワークライフバランスを考えるKWC(kobelco systems work–lifebalance community)活動も今年で13年目を迎えます。障がいを持つ社員も活躍しています。地道な活動ですが、制度の整備とともに経営幹部から管理職、一般社員の意識が変わることが重要です。今まで取り組んできたことが、時代と共に認知され、会社にも浸透してきていると実感していますが、女性の管理職の割合はまだまだ少なく、これからももっと力を入れてダイバーシティに取り組んでいきます。
2015年4月
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Kobelco Systems Letter を購読ライター

元 代表取締役社長
川瀬 俊治
2009年 取締役。サービスビジネスを中心に業績に貢献。
2012年3月に代表取締役社長就任。
マラソン走ったり山に登ったり、体を動かすのが好きなアウトドア派。
2017年3月退任。
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