2013年07月01日
「お客様に喜んでもらいたい!」旭山動物園に学ぶ
IBMユーザーシンポジウムに参加して
去る5月23日、24日に 旭川で第51回IBMユーザーシンポジウムが開催されました。多くのユーザ論文が発表され、当社も銀賞を受けた「複数事業部の企業におけるサーバー・クライアント運用の統合」の論文を発表しました。また、当社がメンバーとして活動をリードし、入選した日本ガイドシェア(JGS)優秀論文の発表も行い、それぞれ多くの聴衆を前に素晴らしい発表をしてくれました。自分の成果を論文にまとめ、それを社外の方々に発表する機会は貴重です。一所懸命に準備し、緊張をもって発表することが、モチベーションアップに大きく役立っていることを感じます。
さて、旭川といえば、今は何といっても日本有数の入場数を誇る旭山動物園です。このユーザーシンポジウムにゲストとして招かれた当園の復興の祖、元名誉園長の小菅正夫氏の講演に深く聞き入りました。
「ピンチをチャンスに~逆転の発想で日本一に~」のタイトルどおり、動物園が開業したころは旭川の人口30万人を上回る年間50万人の入場者数で、市営の動物園としては合格だったのですが、市長の選挙対策で無料の入場者の範囲を広げた(小学生、中学生まで無償、それも道内全域)が、結果、独立会計の動物園としては不採算となり、経営が苦しくなった。ジェットコースターなどアトラクションを入れたが、人気は1年しか持ちませんでした。また、昔は動物園でしか野生動物を観ることができなかったが、今は緊迫感のあるリアルな映像を身近にビデオやTVで観ることができるとあって、とうとう入場者が23万人まで減り、廃園の危機に直面したそうです。
危機感を持った有志が集まり「なぜ動物園は面白くないか」をお客様にインタビューして、改善テーマを探りました。そして、今まで裏方だった飼育係が来園者の前に出て、解説したり、自然に近い展示を心がけたり、手書きで解説看板を作ったり、自分たちで出来ることから始めたのです。
さらに、旭山動物園の冬期はマイナス40度にもなるのでクローズすること、山の斜面に位置するので歩くのが大変だといった、変えようもないハンディキャップをなんとか克服しようとチャレンジ。逆転の発想で、全国で初めて雪の動物園を開いたり、斜面という地形を生かして、3次元展示をおこなったり、欠点を特徴に変えていきました。小菅さんは「危機を克服するには、欠点と思われていたのを逆転の発想で価値に変え、関係者全員のモチベーションを高めることが重要だ」と話されました。
何度も潰れそうになりながらもその都度ピンチを乗り越えて、最盛期には300万人を突破した経営努力、関係者の努力は、素晴らしいの一言に尽きます。小菅さんの講演で一番感銘を受けたのは、動物に服を着せたり、芸をさせたりして人を呼ぶのではなく、「野生動物の自然のままを観てもらいその尊さを学んでほしい」という動物園としての本質を、全員が貫き通したことでした。
シンポジウムが終了してから、実際に旭山動物園を訪れましたが、海外からも訪問者が多く、平日の午後にも関わらず盛況でした。確かに、人がドームに入ってアザラシの目線で白くまを見せるとか、オラウータンがいまにも天井から飛びかかってきそうな展示など、野生動物が自然な動きを見せるのは大迫力でした。人気が高いのもうなづけます。皆さんの中には、旭川までは遠いと言う方も多いでしょうが、ぜひ訪れてください。関係者の手作り感あふれる展示の工夫に、お客様に喜んでもらいたいという、精神があふれているのに感激されるはずです。
当社も、お客様のことをもっと深く知り、お客様の期待を越える活動をしていくことで、お客様にもっともっと喜んでいただけるように精進して参ります。「お客様に喜ばれたい!」、そんな社員の熱意が溢れる組織風土にしていきたいと考えています。
2013年7月
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Kobelco Systems Letter を購読ライター

元 代表取締役社長
川瀬 俊治
2009年 取締役。サービスビジネスを中心に業績に貢献。
2012年3月に代表取締役社長就任。
マラソン走ったり山に登ったり、体を動かすのが好きなアウトドア派。
2017年3月退任。
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