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2023年11月01日

日本代表を支える海外リーグ所属選手
~多様性を前提としたチームワークの重要性~

紅葉

男子バレーボール日本代表「龍神NIPPON」がパリ五輪出場権を獲得しました。予選を兼ねたW杯で2位以内を確定させ、自力では2008年の北京大会以来となる五輪切符を手にしたのです。主将の石川祐希選手は中央大学を卒業後、日本のVリーグには所属せずに海を渡り、イタリアのセリエAでプロ選手として活躍しました。また若きエースの高橋藍選手も日本体育大学からイタリアへと飛び立ちました。他にも築城智選手はドイツ、山本龍選手もサントリーを1シーズンで退団し、ルーマニアのチームに移籍するなど、バレーボール界でも海外でプレーする選手が増えています。
そのような選手が中心になることが、日本代表のチーム力が上がった要因のひとつと考えられるでしょう。野球界でもWBCで侍ジャパンをリードしたのは、米国との決勝を前に「憧れるのは、やめましょう」とナインを鼓舞した大谷翔平選手をはじめダルビッシュ有選手、吉田正尚選手といったメジャーリーガーでした。
快進撃を続ける男子サッカー日本代表に至っては、Jリーグ選手は数人で、ほとんどが海外でプレーする選手で構成されています。日本よりもレベルの高い海外でプレーすることで技術力の向上を目指すのはもちろんですが、それだけでなく色々な国や地域から様々なスタイルや考え方を持つ選手と切磋琢磨することが重要なのではないかと思います。

様々なプロスポーツのトップチームは、世界中から集まった一流選手が中心となって編成されています。そして、そのような環境で揉まれてきた選手たちは、いざ日本代表で集まった時にも柔軟な対応ができるのではないでしょうか。それぞれが個を伸ばしながらもチームとして連動することを求められてきたので、別々のリーグやクラブでプレーしていても数日間の代表練習で日本代表に求められるスタイルに合わせることができるのだと思います。
これはグローバル企業においても同じです。チームに受け入れてもらい活躍するためには、武器となる高い専門性やスキルを持っていることが大前提なのですが、それだけではなくチームの一員として、自分とは異なる様々な仕事のスタイルや考え方、文化、価値観などを持つメンバーとコラボレーションする能力もあわせて求められます。

従来、日本企業では年功序列や終身雇用による「同質性」を前提としたチームワークが求められてきました。同質性によって企業特有のコミュニケーションや暗黙のルールが形成され、リーダーがひと声をかければ、細かい説明がなくてもメンバーはその背景や意図を汲み取り迅速に実行する。そんなチームワークが競争力の源泉となっていました。
しかし昨今、ITによって定型的な仕事は減少し、テクノロジーが目まぐるしく変化し細分化されていく中、個人に求められる専門性は高まり続けています。今後、仕事をするために必要なものとして、周囲から一目を置かれるほど秀でた専門能力に加え、異質な他者とのコラボレーション能力の重要性が増してくるでしょう。
また、いくら優秀な人材を集めても同質化しすぎた組織では、異なった発想や新しい視点で物事を考えたり、変化を求めたりする人が出てこなくなり、新たな企業価値を創造していくことはできません。今や「同質性」ではなく「多様性」や「異質性」を前提としたチームワークを構築できるかどうかが、企業の競争力につながるのではないでしょうか。

さて、選手は自らの強みを生かし個人としてアピールすることで大きな契約を勝ち取ったり、ビッグクラブへの移籍を実現させたりすることも大切な目的となります。そのために自分の長所を発揮できるポジションでの起用を望み、チームを選びます。
今まで思うような結果を出せなかったサッカー日本代表の久保建英選手は今季レアル・ソシエダで大活躍し、9月にスペイン1部リーグで日本人初の月間MVPに選ばれました。彼は「自分のプレーにはこのチームが合っていて、自分の証明の場を与えてくれた」と話しています。
企業でも一人ひとりの専門性や個性を尊重して採用することが、今後より大切になってくるでしょう。そうして採用された社員の方も自分が歓迎され、尊重されていると感じてこそ組織に貢献できるのだと思います。だからこそ多様な人材が持つ専門能力や異なる文化、習慣、価値観等に関心を持ち、それらを受け入れる組織風土が重要になります。

一方、今夏のW杯でパリ五輪出場を決めた男子バスケットボール日本代表のトム・ホーバス監督は、W杯を欠場したNBAプレーヤー八村塁選手(レイカーズ)の出場について聞かれ、「彼に入ってほしいのは当たり前。でも私たちのスタイルは変わらない」と話しました。
「多様性」を前提としたチームワークのためには、企業もまた組織としての「戦略」や「パーパス」を明確に示す必要があります。そうすれば、メンバーに期待されている能力や求められる役割が何かを事前に理解してもらうことができ、組織の一員になるかどうかの判断や役割を担うための準備もできます。

近年、転職市場は活性化の一途です。当社においてもキャリア採用者は増える一方です。まずは組織の「同質性」を取り除き、キャリア採用者が活躍できる職場をつくることが、当社としての第一歩だと思っています。そうすることで、性別や国籍、年齢など様々なバックグランドを持つ人材がコラボレーションできる「多様性」を前提としたチームワークが、徐々に醸成されていくのではないかと期待しています。

2023年11月

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