2024年10月01日
製造業でも重要度を増す「Webプロモーション」
製造業といえども、「ものづくり」の強さだけでは事業の成長は見込めません。製品やサービスの売上を伸ばしていくには、市場調査、製品戦略立案、マーケティング・ミックス設計、そしてマーケティング実行からなるマーケティング・プロセスの強化が必要です。今回は、このマーケティング・プロセスの中でも、 B2B製造業にとって最近その重要性が一段と増してきたマーケティング・プロモーションに焦点をあてて考察します。
図表1:製造業のマーケティングプロセスとマーケティング・プロモーション
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マーケティング・プロモーション(以下、プロモーションと略称)とは、見込顧客に自社製品・サービスの認知、選択を促進するためのプロセスです。具体的には、テレビや雑誌、ネットを通した製品・サービスの広告宣伝、展示会や業界活動、パンフレットやホワイトペーパーなどのプロモーション施策を打ちつつ、販売機会を醸成し、獲得していきます。①リード醸成、②リード育成、③リード選択の3つの局面から成り立っており、リードとはマーケティング用語で“見込案件”を意味します。まず、①リード醸成で見込案件をできるだけ多く生み出し、次の②リード育成で見込案件から確度の高い案件に仕立てていき、最後の③リード選択で絞り込んだ“商談案件”をセールス活動に引き渡します。
これに対し、見込顧客企業側の購買検討は、ニーズ発生/問題の認識、解決策(製品・サービス)探索、解決策の比較、そして選択からなるプロセスで行われていきます。そこでB2B製造企業は、この購買検討プロセスに合わせたプロモーション活動をタイミングよく、効果的に行っていくことが求められます。
図表2:見込顧客企業の購買検討プロセスとプロモーションの局面
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■B2B製造業でも重要になってきたWebプロモーション
B2Cに比べ、B2Bの製造業ではこれまでプロモーションを少し軽視する傾向がありました。その理由の一つは、B2B 製造業では既存顧客向けを中心にしたセールスの能力に頼った営業が行われてきたためです。次に、技術的コンテンツの情報発信や伝達方法としても、展示会や面談などに限定されていたこと。そして、代理店や商社にプロモーション活動を任せていたこともその理由に挙げられます。
しかしながら、最近はB2Bの製造業においても、プロモーションが重要となってきました。その要因は、既存顧客だけでは事業成長に限界があり、新規顧客の開拓が必要となってきていること。これまでのマンパワーや属人的なノウハウに頼ったセールス活動は、慢性的な人材不足のため、そろそろ限界にきていること。そして、特に大きな要因となるのが、以前はB2B製造業には適していないと見られていた、Webによるプロモーション活動が、コロナ禍の実績からその有効性が理解され、むしろ当たり前となってきたことです。見込顧客企業から営業マンに声がかかることなく、「知りたいことはまず検索」と購買検討の多くがWebで行われていくことになります。
B2B製造業の見込顧客企業の購買検討プロセスは、技術・生産・購買など複数の担当者で行われ、かつ大きな投資のため期間が長いことを除けば、我々個人がWebで購買を検討するプロセスと大きな違いはありません。そこで、Webプロモーション施策例としては、Webサイトからの問い合わせや資料請求を増やすことが挙げられます。また、問い合わせをした見込客、展示会で名刺交換した見込客を登録しておき、想定されるニーズに合わせた内容のメールを丁度良いタイミングを見計らって自動配信していきます。このため、プロモーション用のコンテンツを整備していくことがポイントとなります。
■有望なインテント・データ活用によるWEBプロモーション
B2B製造業のWebプロモーションを拡充する際に、今後はインテント・データ(意図データ)活用が有望となります。インテント・データとは、見込顧客企業が意図・関心をもってWeb検索した実績データで、このデータを分析することで、どの企業が最近どのような物事に関心を持っているか、何を検討しているかが推測できます。B2B製造業の企業は、生産設備や新規部材を探すときは、業界特有、或いは専門用語の検索ワードを使う可能性が高いでしょう。そのようなニッチなキーワードで頻繁に検索している企業、同一企業内で複数の人が類似のワードで検索している企業は、恐らく社内に問題を抱え、その解決策探しに組織的に取り組んでいる可能性が高いと言えます。このような兆しを敏感に捉え、タイミングよくコンタクトすることで、質の良い見込案件や商談案件を大幅に増やすことが期待できます。
図表3:インテント・データのプロモーション活用
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2024年10月
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