株式会社三五様

株式会社三五様

10年後を見据えた業務標準モデルをRISE with SAPで実現

導入前の問題

  • 約50年間使用した基幹システムの老朽化、個別最適化により、保守が限界を迎えていた
  • 基幹システムのデータが一元管理されておらず経営判断に活かせない
  • システムを理解できる人材がいなくなり、変化の激しい業界・時代に対応できず、業務継続に不安があった
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導入後の効果

  • ERPのクラウド化により、保守性の向上と最新機能の享受を実現
  • データの一元管理実現によってトップから担当者までが同じデータを見て経営判断可能に
  • 同社が目指す、スマートファクトリー化やデータ活用の基盤が完成
株式会社三五(以下、三五)は、約50年間使用してきた基幹システムについて、保守やデータ活用などに多くの課題を抱えていました。同社は業界を取り巻く変化の激しい昨今、情報活用は急務と考え、ERP刷新を決断。刷新プロジェクトは無事成功し、スマートファクトリー化やデータ活用の基盤を完成させることができました。

導入のきっかけ

50年間利用してきた基幹システムは保守やデータ活用にさまざまな課題が

株式会社三五は、1928年創業の自動車部品製造業です。愛知県・三重県下に7つの工場を持ち、関連事業体として国内では北海道、茨城県、および福岡県に海外では欧米やアジアに拠点を持つグローバル企業であり、主に自動車メーカーに対し、排気管やボディ部品などの自動車部品を製造しています。

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取締役
渡部 哲也 氏

同社では、約50年稼働し続けていた基幹システムに対してさまざまな課題が発生していました。まず保守については、ハードウェアの老朽化や、汎用機ベースで作られたソフトウェアのメンテナンス、個別最適化を続けた結果ツギハギだらけとなり、理解できる人間が居なくなっている、などの問題がありました。また機能という点においても、データの一元化ができておらず、データを分析しようにもデータの収集すら思うようにおこなえない状況でした。

変化の激しい業界であり、さらに外部環境も急速かつ大きく変化する昨今、データに即した経営判断が行えないことは、将来の機会損失にも繋がりかねません。

そこで三五は、これまで同社が行ってきた業務そのものを変革し、変化に対応できる環境を構築しようという思いから「長期持続可能かつ企業価値の向上と、10年後を見据えた標準モデル」を目標に、ERPの刷新を計画。タイムリーなデータ分析を実現し、経営判断を加速しようと考えました。

「ERPを刷新するだけでなく、業務そのものを見直すことを計画しました。経営トップから担当者までが、同じデータを見て物事を話し合える環境を目指したのです」と渡部氏は話します。

導入の経緯

コベルコシステムの自動車部品製造業の実績と要望に即した導入スケジュールを評価

ERP刷新プロジェクトは2年余りの準備が行われ、課題や問題点、何をなすべきかなどを徹底的にまとめ上げました。そして2025年のERP刷新完了を目標に、パートナー選定を行いました。

選定は、同社の実現したい内容や目標スケジュールなどから絞られ、最終的に選ばれたのが、コベルコシステムです。これは同社が、三五と同業種である部品製造業において、SAPシステムの導入実績があった点が評価されています。また、本プロジェクトを短期決戦で行うという三五の目標に対し、コベルコシステムだけが実現できる提案をしたことも大きな評価ポイントです。三五が目指したのは2025年の稼働であり、その猶予は2年半。コベルコシステムの提案はその納期に間に合う内容でした。

メンテナンス性や最新機能を享受すべく新ERPにRISE with SAPを選択

そして、新たなERPとして選ばれたのはRISE with SAPでした。さらにERP刷新と同時に情報を活用するという目標から、SAP Analytics Cloudが加えられました。

RISE with SAPを提案したのはコベルコシステムでした。2022年当時は、システムのクラウド化は進んでいたものの、ERPのクラウド化は、まだまだ主流ではありませんでした。しかし同社は、三五が業務の標準化を目指している点、メンテナンス性や最新機能の享受といったメリットなどから、RISE with SAPを提案しました。現在、ERPのクラウド化はグローバルスタンダードであるため、先を見越した提案と言えるでしょう。

業務フロー設計や業務標準化をコベルコシステムが知見と経験でサポート

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CSE 兼 ERP推進室
室長
齋藤 忠明 氏

プロジェクトは開始早々、さまざまな苦労がありました。まず、50年、増改築を繰り返してきたオンプレミス環境の基幹システムに、仕様書や業務フローが存在していなかった点です。そこでプロジェクトではまず、業務フローの整理を行うことから開始しました。一方、三五にとってSAPシステムは初の導入となるため、どのような業務フローであればSAP標準に合わせられるかなど、不明点も多くありました。齋藤氏は「特に販売・調達、生産などのロジ周りといった部分には苦労しましたが、コベルコシステムのコンサルタントが豊富な知識をもって伴走してくれ、解決できました」と振り返ります。

そして、苦労したと推察される業務標準化ですが、三五はこれを「全体視点」で乗り越えました。まずプロジェクトの方針として「業務の標準化」を明確化。さらに「やりやすい、やりにくい」といった個別業務視点を排し、全体視点で進めました。なお、標準化を進める上で、アウトプットの標準化として新たな帳票の作成、品目コードの変更を行っています。

三五では、あくまでも情報活用を行うことが目標の主軸であったことから「完全な標準化」にはあえてしていません。コベルコシステムの知見から、標準化が必須である部分を中心に、強弱を付けた対応を行っていきました。こうした標準化を含むプロジェクトは、コベルコシステムが三五のこれまでの業務を理解してくれたからこそ実現出来たと、渡部氏は言います。さらに両社が月に一度、プロジェクト責任者とプロジェクトマネージャーを交えた状況共有を行い、さまざまな実務課題を本音ベースで話し、一つずつ丁寧に課題を解決していったことも、成功の鍵であると語ります。

こうして短期決戦とされたプロジェクトは目標通り、2025年1月に本番稼働を迎えました。

導入の効果

全員が同じ情報で判断ができる環境をRISE with SAPで実現

現在三五では、新たなERPと業務フローで、業務を行っています。入念にテストは行ったものの、本番稼働後にはヒューマンエラーや、周辺システムのエラーなども発生しました。しかし、こうしたトラブルに関しても、コベルコシステムの保守チームのサポートにより、解消されつつあります。

ERP刷新の大きな目標であった「全員が同じデータを見て話す」については、概ね達成できています。さらに属人化を防ぐという点についても、マニュアルの整備とともに教育を行うことで、全員が作業可能となり、業務継続の不安が解消しました。

さらに今回のプロジェクトでは、大きな副産物も生まれました。それは「横のつながり」です。プロジェクトでは、各業務領域のスペシャリストがメンバーとして集められましたが、プロジェクト後になっても、メンバー間の横のつながりを保ったまま、業務を進められているのです。従来、それぞれの担当領域だけを見てさまざまな判断がなされていたが、横のつながりを持ったことで、全体視点で判断できるように意識が変革したのです。

今後の展望

経営計画の達成に向けてデータ活用や製造分野のDXを推進

三五では今後、一部に残る旧システムの移行や、本格的なデータ活用・管理を進める予定です。特にデータ活用については、さらなる分析ツールの導入なども視野に、さまざまな角度から検討を行っています。さらにRISE with SAPであれば、SAPのAIも容易に導入できることから、AIの活用についても期待を寄せています。

なおAI活用は、同社の2030年までの経営計画「IT基盤の再構築と業務プロセスの改革」にも掲げられています。従来業務をAIに置き換え、人間はより付加価値の高い業務に注力するというものです。同計画では他にも、部品受注から生産といったプロセスを、IoTの活用などでスマートファクトリー化することも目標としています。そして今回完了したプロジェクト「ERP刷新」も、この計画の1つです。

2030年に向け、三五はさらなるデジタル化を進めていくが、それにはコベルコシステムの持つ、知見やノウハウが欠かせないと渡部氏は話します。

「今後、まずはデータ活用、そして製造分野も含めたDXを、コベルコシステムと進める計画です。さまざまな角度からの提案を期待しています」

三五は2028年に創業100周年を迎えます。今回構築した新たなERPは、次の100年を見据えた改革の礎となり、今後も両社は伴走しながら、さらなる改革にチャレンジし続けるだろう。

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左からコベルコシステム 木内(担当営業)、三五 齋藤氏、渡部氏、コベルコシステム 菅(プロジェクト責任者)

※この記事は2025年9月時点の内容です。


導入された企業様

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株式会社三五

創業:1928年6月1日
設立:1950年6月1日
所在地:愛知県みよし市福田町宮下1番地1
URL:https://sango.jp/
資本金:1億円
売上:連結 6,666億円/単体 3,181億円(2025年3月現在)
従業員数:連結 8,262名/単体 2,907名(2025年3月現在)

〈事業内容〉
自動車部品製造(マフラー、エキゾーストパイプ、エキゾーストマニフォールド、ボディ部品、ドアビーム、その他自動車部品、冷間鍛造部品、みがき棒鋼、引抜鋼管、機械構造用炭素鋼管、切削/研削みがき棒鋼、建設用配管)

〈会社概要〉
株式会社三五は、自動車用排気系システム(マフラー、エキゾーストパイプなど)やボディ部品、鉄鋼二次加工製品を開発・製造するグローバル企業です。国内外の自動車メーカーと取引があり、環境対応技術や先行開発にも注力しています。