カーディフ生命保険株式会社様

カーディフ生命保険株式会社様

開発言語のサポート切れとなった保険契約管理システムをVB.Netへスムーズにコンバージョン

導入前の問題

  • 「保険契約管理システム」の開発言語VB6がサポート終了
  • バグが発見されても修正パッチが配布されないため、セキュリティリスクが存在
  • システムに制限があるため、ユーザーからの要望に合わせた改修ができない
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導入後の効果

  • VB6からVB.Net最新版への移行によりシステム維持運用が可能に
  • セキュリティリスクへの対応、技術者の確保など既存の課題を解消
  • 業務の現場から上がってくるリクエストに応えるかたちでタイムリーなシステム改修が可能に
世界有数の金融グループBNPパリバ傘下で、我が国における住宅ローン保険のパイオニアとして知られるカーディフ生命保険株式会社(以下、カーディフ生命)。同社は、Visual Basic 6.0(以下、VB6)で開発した「保険契約管理システム」を、10年以上にわたり使い続けてきました。しかし、セキュリティリスクへの対応、技術者の確保や業務の変化への対応が困難になるなど、さまざまな課題が存在したことから、VB6からVB.Netへのコンバージョンを決断。そのパートナーにコベルコシステムを選びました。これにより、さまざまなリスクが解消された上、業務の現場から上がってくる要望に合わせた改修が可能になりました。

導入のきっかけ

古いバージョンの開発言語を使い続けるリスクを懸念し、VB6からのコンバージョンを決断

Aleksandr様
ITソリューションデリバリー部
部長
Aleksandr Riabcev 氏

2000年に「住宅ローン世代をリスクから守る」をコンセプトに、日本で事業を開始したカーディフ生命。以来、がんと診断された場合に住宅ローンの残高がゼロになる「がん団信」を日本で初めて提供するなど、住宅ローン保険のパイオニアとして日本の団体信用生命保険(団信)ビジネスをリードしています。現在は全国60を超えるパートナー金融機関を通じて保障を提供し、顧客の数は130万人超、保障総額は22兆円に達しています。

業務を遂行する上でさまざまなシステムを活用している同社ですが、団信の加入者の顧客情報・契約情報を管理する「保険契約管理システム」は、フランスの親会社BNPパリバ・カーディフが開発したシステムを、日本向けにローカライズしたものです。2008年には開発言語のVB6がサポートを終了しますが、同社はその後も利用を継続してきました。しかしサポートが終了したとなると、バグが見つかっても修正パッチの提供が行われない上、Windows 10/Widows Sever 2016以降の動作保証が不明瞭となり、継続して使い続けられるかどうか不安があります。そこで同社はこうした問題を解決するため、VB6の後継であるVB.Netへのコンバージョンを決断しました。この点について、ITソリューションデリバリー部 部長のAleksandr Riabcev氏は次のように語ります。

「このままVB6を使い続けていては、セキュリティリスクが高まります。また、VB6を扱える技術者を探すことが困難になってきており、機動的にシステムを改修することもできません。これは当社もかねてより問題視しており、2018年から2019年前半にかけてマイクロサービスアーキテクチャへの移行も検討しましたが、予算と開発期間の都合で断念した経緯があります。しかしこのたび、2020年末までの移行を必須とする社内の意思決定のもと、VB.Netへのコンバージョンを実施することにしました」

導入の経緯

60件以上のコンバージョン実績と、自動と手動を組み合わせたハイブリッド提案を評価

「コベルコシステムは60件以上のVB6のコンバージョン案件を手がけた実績があり、安心して任せられると考えました。提案の内容も明確で、移行方法に関しては最初にツールを使って自動で移行し、次の段階で手動対応するというステップでした。他の提案には、全てをツールで移行する、あるいは全てを手動で移行するといった極端なものも多く、それゆえ自動と手動の両方を組み合わせたアプローチのコベルコシステムの提案は現実的と判断しました」(Aleksandr氏)

また、コスト削減の観点では、ベトナムのオフショアを利用した開発という提案も高く評価されました。

「オフショアに丸投げするのではなく、国内に管理体制を作り、コベルコシステムの品質保証部門で確認したものを成果物として提供するとの提案をいただきました。私たちも実際にベトナムまで足を運んでセキュリティ体制やサーバー管理体制などをチェック。問題ないことを確認し採用を決めました」(Aleksandr氏)

なおコベルコシステムは、カーディフ生命のシステム課題を整理する中で、既存システムは仕様書が不足していたり、古いままのものが残ったりしていることに着目。最新化したプログラムをもとに、ツールと手動によるリバースエンジニアリングを実施し、保守・運用に適した仕様書を作成することを提案に盛り込んでいます。これはカーディフ生命からも高い評価を得ましたが、まずは期限内のコンバージョンを最優先とし、次のステップで実施することになりました。

開発にユーザーの意見を取り入れることで、スムーズな移行を実現

プロジェクトは2019年10月からスタート。検証フェーズ、開発フェーズ、システム統合テストフェーズ、移行フェーズなどを経て2020年11月に本番移行を実施し完了しました。コンバージョン自体はスムーズに進んだものの、画面操作などユーザーインターフェースの部分でシステムの動きが変わったため、ユーザーとの調整で苦労があったといいます。

「画面のレイアウトを中心に、以前のシステムとイメージや操作性が変わったりする部分がありました。そこでユーザー部門の担当者を交えて意見を聞き、変わる部分については代替案を提案するなどして、合意を取りながら開発を進めました。結果として、ローンチ後も大きな混乱なく業務を始めることができました」(Aleksandr氏)

今回、移行対象となったシステムは、プログラムの変換だけでなく、他社の帳票作成ツールで作成した帳票やフォーム類も含まれています。帳票だけで33種類以上、フォームの数も80以上と規模が大きく、DBで採用しているOracleオブジェクトの調査対象も相当量にのぼりました。

「現新比較で差異をひとつひとつ確認していくのは大変でしたが、コベルコシステムに説明資料を作成してもらい、対策を立てながら調査していきました」(Aleksandr氏)

プロジェクトのテストフェーズに入ると、世界をコロナ禍が襲います。開発体制がリモートになり、コミュニケーションの手段が制限されることになりました。また、オフショア先のベトナムがロックダウンの影響を受け、開発の遅延も懸念されたといいます。

「たしかに対面での会話はできなくなりましたが、結果的に問題はなく、期限の2020年内に無事プロジェクトを完了させることができました。ベトナムのロックダウンもコベルコシステムが代替案を提案するなど、両国間の連携で切り抜けることができました」(Aleksandr氏)

導入の効果

コンバージョンにより既存のリスクを解消し、業務部門からの改修要望がかなえられるように

こうしてカーディフ生命の保険契約管理システムはVB.Netへのコンバージョンを終え、新たな環境はここまで大きなトラブルもなく順調に稼働しています。

「ようやくコンバージョンが実現し、さまざまなリスクを解消することができたのが大きな成果です。これまで業務部門からは改修の要望が数多く寄せられてきましたが、開発を凍結してきた歴史があります。今回の移行でシステム上の制限はなくなりましたので、システム制御やチェック機能を追加することで入力ミスを抑制したり、自動処理を追加することで業務の効率化やコンプライアンス強化に貢献したりできるよう、現場からのリクエストには積極的に応えていきたいと思います」(Aleksandr氏)

今回の大規模なコンバージョンは、フランス本社からの評価も高く、同様の課題を抱えている他国オフィスの模範となる事例として参照してもらうことも検討されているそうです。

システム構成図.png
システム構成図

今後の展望

ソースコードの改善を重ねながらマイクロサービスアーキテクチャへの移行も検討

カーディフ生命は、業務部門の要望に応えるかたちでシステムの改善を続けていく一方、将来を見据えてマイクロサービスアーキテクチャへの再チャレンジを検討しています。

「モノリシックなクライアントサーバー型の現行システムを分解し、レポート系はDWHやBIツール、保険の計算はルールエンジンといった形で細分化していきます。DBも精査して非効率な構造をリエンジニアリングする予定です」(Aleksandr氏)

また、コベルコシステムとは移行完了後も保守契約を結び、協力してソースコードの改善などを進めています。今後についても保守に限らず、さまざまな支援に期待を寄せています。

「コベルコシステムは既存システムを詳細に分析し、適切な移行計画を提案してくれました。想定していた予算を超えることなく完了できたのも、やるべきことを明確にしてくれたコベルコシステムのおかげです。プロジェクトでも、厳しいスケジュールの中、プロフェッショナルらしく粘り強く対応してくれました。これからも、あらゆるシーンでのサポートをお願いします」(Aleksandr氏)

お客様とともに
左からカーディフ生命 Aleksandr氏、コベルコシステム 古田土(PM)、松村(担当営業)

※この記事は2021年7月時点の内容です。

導入された企業様

カーディフ生命保険 社ロゴ

カーディフ生命保険株式会社

設立:2000年4月
所在地:東京都渋谷区桜丘町20-1 渋谷インフォスタワー
URL:https://life.cardif.co.jp/
資本金:206億円
保険料等収入:641億円
従業員数:146名(連結:2020年3月31日現在)

〈事業内容〉
団体信用生命保険、ローン保険、ライフサイクルプランの提供

〈会社概要〉
2000年4月にカーディフ・アシュアランス・ヴィ(日本支店)として設立。2001年に日本で初めて「がん団信」を開発し、提供を開始した。2018年には日本法人化を果たし、カーディフ生命保険株式会社として営業を開始。現在は世界有数の金融グループBNPパリバの一員として、「ひとりでも多くの人に保険への扉をひらく」をミッションに掲げ、銀行をパートナーに「金融機関の商品やサービス」と「保険」を組み合わせることで新たな価値を創り出す「バンカシュアランス」というビジネスモデルで事業を展開している。

導入したソリューション&サービス

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