田中精密工業株式会社様

田中精密工業株式会社様

紙・Excel・多重入力が常態化した製造現場を変革。MES「実績班長」で現場から経営までをつなぐデータドリブンなものづくりへ

導入前の問題

  • 製造現場のデータは紙やExcelに手動で入力しており、情報の入力・収集・分析に時間がかかり詳細な原価管理や改善活動の実施が困難だった
  • データの整備が不十分で、経営判断や改善施策に活かせなかった
  • 複数人が複数の帳票に手入力していたため転記ミスが多発し、毎日約2時間の入力工数が発生していた
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導入後の効果

  • 作業実績のデータがタイムリーかつ正確に収集でき、原価把握や改善活動、データに基づく意思決定に向けた基盤が整った
  • トレーサビリティが飛躍的に向上し、ロット情報がシステム上で即時検索可能になった
  • ラベル発行と同時に実績が自動登録され、毎日約2時間の手入力工数がゼロに。転記ミスも解消できた
自動車やオートバイのエンジン・駆動系の、機能部品の開発・製造を行う田中精密工業株式会社(以下、田中精密工業)。同社では、生産性向上や品質向上を目指して、2025年1月からMES(製造実行システム)「実績班長」の構築プロジェクトを開始しました。2026年3月からは呉羽工場で本格稼働しています。

導入のきっかけ

製造実績や工数データの整備のためMES導入を決意

田中精密工業は1948年の創業以来、自動車やオートバイのエンジン・駆動系の精密部品を中心に、開発から製造までを手がけています。特に高い品質と精度が求められる部品の生産には定評があり、取引先から高い信頼を得ています。また、近年では「心が動く、未来を創る」をグループパーパスに制定し、自動車の電動化も見据えて、電装部品をはじめとする新たな領域への挑戦も進めています。

一方で、製造実績や工数データの管理が紙やExcelの異なる帳票に分散している問題がありました。そのため、日々の実績入力作業に約2時間かかるなど、必要な情報の収集や分析に時間と手間がかかっていました。また、詳細な原価管理や改善活動を行うためのデータ整備も不十分でした。この問題を解決するため、MESの導入を検討し始めました。

将来的なERP刷新の効果を最大化するためにはMESが不可欠
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生産革新室
主幹
横川 良太 氏

今回のMES導入に際して、プロジェクトに取り組んできた生産革新室 主幹の横川 良太氏は次のように振り返ります。

「当社では現品移動票やロット管理カード、作業指示書など、さまざまな帳票に複数人が同じ情報を入力する状態が多々ありました。結果、転記時の数字の打ち間違いなど、入力精度の低さが製造現場の大きな課題でした。その状態を解消したかったのがMES導入のきっかけでした。

また、基幹システムとの連携が不十分だったため、現場で管理しているExcel生産計画の実績と基幹システムの実績情報に差異が生じ、システムの信頼低下を招いていました。

さらに、正確な原価管理・改善活動に必要なデータの整備も行き届いていませんでした。製品ごとの実際原価や採算状況がタイムリーに把握できず、改善活動や投資判断に必要なデータが不足している状況でした。

将来的には、生産を統括するERPの刷新も視野に入れていましたが、経営層からも正確な原価管理や人の工数把握を強く求められていました。そのため、まずは製造現場での実績データを正しく収集し、標準化された形での蓄積が必要だと思いました」(横川氏)

導入の経緯

業務効率化とデータ基盤の構築が導入の目的

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生産革新室
室長
米田 徳如 氏

田中精密工業にとってMESの導入は、単なるシステムの導入ではなく、業務プロセスの標準化や基幹システムとのデータ連携、ロットトレースの仕組み化の実現が目標でした。これらを具現化することで、それまでの問題だった多重入力の解消とデータ一元化という課題を達成し、将来的なBIの活用やERPにつながるデータ基盤の構築を目指していました。

MESの導入は、新規事業とも関連しています。自動車の動力源が内燃機関から電気への転換期にある現在、同社でもこれまでのエンジン部品から電装・電動化部品など、新たな分野への事業転換を進めています。

生産革新室 室長の米田 徳如氏は「新規事業には不安定な要素も多く、より迅速に現場の状況を把握して、改善につなげることが求められます。リアルタイムに情報が集まって、現在の状況がすぐに分かることは、今後の事業展開にも必要だと思います」と話します。

一方、MESを展開することで、従来のやり方が変わることへの不安の声も上がりました。

「現場の作業者は、やはりそれまでのやり方を変えることに不安があるのだと思います。現場の管理者やリーダーに、MESを入れることによって、それまでの帳票がなくなって効率化が進むことを説明し、少しずつ浸透していきました」(横川氏)

コベルコシステムの製造業への深い知識が決め手に

システムの選定にあたって、重視したのは「無理なく現場に馴染めること」でした。特に現場作業者が迷うことなく操作できるUIであることは、必須でした。さまざまなシステムを検討しましたが、作業者が直感的に使えるUIであったことから、実績班長を選びました。

「当初は予算の関係から、機能を絞った提案をコベルコシステムに依頼しました。しかし、業務標準化やロットトレースの仕組み化、データ基盤の整理も視野に入れていたため、部分的な導入では不十分だと判断しました。全体最適を目指し、必要な機能を幅広く導入することを決断しました」(横川氏)

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生産革新室
藤井 隆志 氏

実績班長の機能について、生産革新室の藤井 隆志氏は次のように話します。

「工数時間の入力やロットトレースなど、標準である程度の機能が揃っているところも魅力です。
また、システム導入における課題は、機能そのものよりも、実際の現場業務にどれだけマッチするかという点にあることが多いと思います。その点で、コベルコシステムはITシステムと製造現場の業務プロセスの双方に理解と深い知識をお持ちでした。
例えば、当社では取引先の都合で、同じ素材でも複数の品番を使うことがあります。これまでは、EBOMマスタに1つの品番しか紐づけられず、その品番の在庫しか消費できませんでした。今回、コベルコシステムからグルーピングマスターという手法を提案いただき、複数品番を扱えるようになり、実体に合わせて在庫を消費できるようになりました」(藤井氏)

コベルコシステムの管理体制も、システム導入の成功の鍵となりました。

「明確なゴールがある中で、タスクが整理され、毎週の定例会での進捗管理がありました。定例会で解決しない課題は、個別ミーティングも開催するなど、柔軟な管理体制に安心感がありました」(横川氏)

導入の効果

作業時間の短縮とミスの削減が顕著に

2026年3月に呉羽工場へMESを導入して以降、さまざまな業務上の問題が解決されました。経営視点では、それまで可視化しにくかった作業実績や工数データをタイムリーに収集できるようになりました。これにより、正確な原価管理や改善活動に向けた基礎データが取得可能になりました。呉羽工場をモデル工場として、各工場・各部門で共通基準によるデータ収集を実現する基盤を構築しました。

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部品製造事業部製造2課1係
係長
松下 幸司 氏

製造現場でも導入の効果が現れています。部品製造事業部製造2課1係 係長 松下 幸司氏は「ラベル発行と同時に生産数の実績がすぐに積み上がるようになったので、製造の管理は非常にやりやすくなりました。もう元の紙やデータの入力には戻れません」と話します。

入力の手間が省けたことで、作業時間が顕著に短縮されました。同時に入力作業の正確性も高まっています。

「それまで日々約2時間かけて手作業で行っていた実績入力作業が、導入後は自動化により削減されました。手作業による入力ミスがゼロになり、訂正や確認作業も不要になりました。ユーザーインターフェースも直感的に操作できるので、最初の1か月程度で慣れることができました。平仮名表記にも対応できるため、現在はベトナムの技能実習生も操作しています」(松下氏)

本番稼働の直後に発生した運用上の問題に対しても、コベルコシステムからのフォローがありました。

「稼働後に判明した改善点に対して手厚くサポートいただきました。特に3月の本番移行時期は、運用上の課題にスピーディに対応していただき、現場への影響を最小限にすることができたと思います。運用後も引き続き伴走して支援いただけたことはとても心強かったです」(横川氏)

今後の展望

婦中工場にも展開し、データドリブンなものづくりを目指す

同社では現在、婦中工場にもMESの展開を進めています。

このプロジェクトでは、呉羽工場への導入の経験が役立っています。呉羽工場で確立した共通基準のフォーマットを活用し、稼働後の仕様変更やシステム改修の経験をマニュアル化しているため、迅速な横展開が可能となっています。これにより、各工場・各部門で共通基準によるデータ収集が実現されます。

2026年8月末時点で、婦中工場では全体の3分の1まで展開し、2026年12月末までには展開完了する計画です。

「実績班長を通じて蓄積されたデータを活用し、BIによる見える化やアクションにつなげていきたいと思っています。将来的にはIoT活用によるデータ収集の拡充も図りながら、MESでの実績収集、BIでの見える化、ERPでの経営管理を一本につなぐことで、現場から経営まで一貫して同じデータを見て判断できる環境を構築していきたいと考えています。コベルコシステムには、我々の業務を理解したパートナーとして、引き続き伴走していただきたいです」(横川氏)

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左からコベルコシステム 伊藤(PM)、田中精密工業 松下氏、米田氏、藤井氏、横川氏、コベルコシステム 橋本(営業)

※この記事は2026年8月時点の内容です。

導入された企業様

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田中精密工業株式会社

創業:1948年3月
設立:1957年10月
所在地:富山県富山市婦中町島田328番地
URL:https://www.tanasei.co.jp/
資本金:5億19万円
売上:437億9,000万円(連結:2026年3月期)
従業員数:連結 1,383名/単体 428名(2026年3月31日現在)

〈事業内容〉
自動車部品、オートバイ部品、汎用部品、その他製造販売

〈会社概要〉
自動車やオートバイのサプライヤー事業を展開。開発から設計、量産化までを社内で一貫して行える体制を構築している。近年は将来的な電動化を見据えて、電装部品の設計・製造などのほか、これまでに培った高精度な加工技術や品質管理を活かして、宇宙・ロケット分野への展開にも尽力している。

導入したソリューション&サービス