日本トムソン株式会社様

日本トムソン株式会社様

SAP S/4HANAへの移行によって各部門での見える化が進み業務効率化を達成、さらなる飛躍を目指す

導入前の問題

  • 国内外の拠点で導入したSAP ECCのサポートが2027年に終了
  • 社内スタッフが不慣れなため、コベルコシステムのバックアップに頼っている
  • 社内IT人材の技術力向上が不可欠
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導入後の効果

  • SAP S/4HANAへの移行を実現
  • 各部署において、さまざまな形で業務効率化が実現
  • プロジェクトを通じて社内の人材が成長

ベアリング(軸受)および関連機器などの製造販売を行っている日本トムソン株式会社(以下、日本トムソン)。同社は、国内外の拠点で導入したSAP ERP Central Component(以下、ECC)のサポートが2027年に終了するのを前に、その先手を打つかたちでSAP S/4HANAへの移行プロジェクトをスタートさせました。パートナーには、過去4年間にわたりSAP ERPの導入・展開で伴走してきたコベルコシステムを選定。親身なサポート体制でスムーズな移行が実現し、各部門での業務効率化を達成。さらに、プロジェクトを通じて社内の人材も大きく成長しました。


お客様インタビュー動画(ショート版)

導入のきっかけ

SAP ECC導入で業務効率化達成。保守切れが目前に迫ったことでSAP S/4HANAへの移行を決断

日本トムソン 常務取締役 岡嶋徹氏
日本トムソン株式会社
常務取締役
岐阜製作所長
岡嶋 徹 氏

日本トムソンは1950年以来、「社会に貢献する技術開発型企業」という経営理念のもと、機械の重要部品であるベアリングや関連機器の製造販売を行っています。特にニードルベアリングは国内で初めて自社開発に成功。その高度な技術を活かして、多様化するニーズに対応する高品質の製品を世界中に提供してきました。DXについても全社的に推進を進めており、2016年よりSAP ECCの導入プロジェクトをスタートさせました。

導入以前の課題としては、以前のシステム全体が老朽化していたことが挙げられます。また、長期の経営計画によってグローバル化の推進を進める中で、それに対応できるシステムの導入が課題とされていました。さらにこれまでは原価を正確に把握できる仕組みを持っておらず、原価を意識した生産や営業活動ができていない状況がありました。

同社の常務取締役で情報システム部とDX推進担当を兼任する岡嶋徹氏は「さまざまなシステムが連携されておらず、それぞれの部署でつなぎ合わせて運用していたため、余計な労力やコストがかかっていました。それがSAP ECCを導入したことで短時間のうちにデータを構築することができるようになり、その次の業務に役立てることができるようになったことは大きかったですね」と振り返ります。

同社のSAP ECC導入の狙いは大きく3つありました。まず“攻めの経営への転換”です。新たなシステムを導入することによって、事業そのものを守りから攻めに移行することを期待していました。次に“グローバル化”と“海外での売り上げのさらなる拡大”。この3点を同時に実現できる可能性があることが選定の大きな理由になりました。

そして国内外の拠点で導入したSAP ECCの保守切れが2027年に迫ってきたこともあり、SAPS/4HANAへのバージョンアップを決定。2020年4月からSAP S/4HANAへの移行プロジェクトをスタートさせました。

以前の体制は、社内スタッフがシステムに未熟だったこともあって、コベルコシステムのバックアップを受けることが多い状況でしたが、バージョンアップに際して、自社でやれる範囲を増やしました。その結果、社員のシステムへの慣れが早まり、人材の育成にもつながるという副産物も生まれました。


導入の経緯

コベルコシステムへの絶大な信頼から選定。今後も伴走しながら取り組みを継続したい

日本トムソンでは長年にわたって、コベルコシステムと連携してシステム開発を続けてきました。今回のSAP S/4HANAへの移行に際しても、パートナーには迷わず選んだといいます。

「コベルコシステムの皆さんには本当に親身になっていただいて、私たちの会社に深く入っていただき、一緒に開発してきたと思っています。開発の最後の方は、一種の同士のような連帯感のようなアットホームな雰囲気が生まれていたと思います」(岡嶋氏)

コベルコシステムが製造業のシステム導入における課題や問題点の理解、提案が的確であったことも魅力だったそうです。前身がメーカーであったことも大きな決め手になったと岡嶋氏は振り返ります。「品質、並びに業務の補佐のすべてにわたって、非常に満足しています。何といっても、困ったときに迅速かつ的確にご対応いただけることについては、とてもありがたいですね」

コベルコシステム 産業ソリューション事業部 AMSセンター長 青柳紀一郎
コベルコシステム株式会社
産業ソリューション事業部
AMSセンター センター長
青柳 紀一郎

一方、コベルコシステムも日本トムソンのSAPS/4HANAに際して、3つのポイントを挙げて導入をサポートしました。

1つ目はHI-KORTとメリハリ。コベルコシステムではHI-KORTというテンプレートを持っています。このテンプレートをもとに、フレキシブルに導入するプランを検討したといいます。SAP S/4HANAをフル活用するような場合の運用方法に加えて、競争力の源泉など運用の足かせになるようなところは、カスタム開発することで柔軟な運用ができる工夫を凝らしました。同社のAMSセンターでSAPの保守を担当する青柳紀一郎は次のように話します。

「日本トムソン様に私たちのHI-KORTに合わせていただくのを基本方針に、合わないところは日本トムソン様風にカスタマイズするというやり方で進めました。カスタマイズができないと、どうしても予算感に合わなかったり、プロジェクトのスケジュール遅延が起こりかねません」

2つ目のポイントはできるプランと浸透運営です。当初は計画通りに進まないこともあったといいます。その場合、日本トムソン側で業務を担当するスタッフの負担も大きく関わるため、原因の深掘りを行いました。一方で、同時に進んでいた海外展開を先行導入することで、できる成功体験を組み入れ、日本トムソン全体で上手くいくプランを念頭に進めたといいます。

そして3つ目のポイントは移行でした。データ移行はよくある話ですが、情報システム部門を含めた業務移行に留意しました。大きな変化を伴う基幹システムの入れ替えなので、教育という点で、日本トムソン側に理解してもらう必要があったといいます。その一方で、運営側に回る情報システム部門もこれまでのシステムが一変するため、運用体制を考慮しました。具体的には10年先を視野に入れた運用体制を考え、情報システム部門の目指すべき姿と照らし合わせながら、伴走したといいます。

「今後も中長期的な視野でお互いを尊重しながら、日本トムソン様と共に共創できればいいなと考えています。そのためにも、当社への期待を裏切らないのはもちろん、期待を超えるような取り組みを継続していきたいですね」(青柳)


導入の効果

業務効率化が進んで社内で好評博す。見える化が進み、社内の大きなインパクトに

今回のバージョンアップによって、日本トムソンの業務効率化は、すでに実感できているそうです。現時点で、システムそのものの処理速度やメンテナンス性の向上は改善されています。また、データを蓄積できる量が増えたこともあって、各部署からも好評を博しているといいます。例えば、営業部門では納期や在庫の管理、顧客への対応すべてが迅速に行えるようになりました。生産の進捗も把握しやすくなり、自分たちの立ち位置そのものがしっかり見えるようになったといいます。

「営業と生産の状況の見える化が進んだことにより、技術に関しても波及しながら開発に貢献できてきたと感じています。SAP S/4HANAへの移行はお客様の業務全体に大きなインパクトを与えたと思っています」(青柳)


今後の展望

SAP S/4HANAへの移行でデータ蓄積を進め、グローバル化実現を目指す

SAP ERPを導入したことによりデータの蓄積や管理ができるようになったことは、日本トムソンの大きな武器になりました。SAP S/4HANAへの移行によって、さらなるデータの蓄積が進むことが予測されるため、さまざまな業務の見える化に着手している状況です。

DX化推進にはDX推進事務局が中心となって、中長期計画に盛り込んでいます。調達部門では、コベルコシステムから新たな提案があり、業務の効率化に役立っています。グローバル展開を果たす上で、各部門が連携や人材の育成に力を入れていくことは必要不可欠です。製造部門でもIoTに向けたサポートのほか、情報の見える化、さらなる効率化を進めています。人材の育成にも熱心で、ITエバンジェリストやファクトリーサイエンティスト、データサイエンティストをはじめとするIT人材の教育に尽力しています。

もちろん、今後システムを発展させていく上では、コベルコシステムとの連携が欠かせません。「お互いに切磋琢磨しながら、将来へ向けた新たなシステムの提案やそれに関係するさまざまな情報を的確かつ迅速にいただければ、本当にありがたいなと思っています。当社ではそこを一番期待したいですね」(岡嶋氏)

※この記事は2024年3月時点の内容です。

導入された企業様

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日本トムソンの代表製品

日本トムソン株式会社

創業:1950年2月
所在地:東京都港区高輪2-19-19
URL:http://www.ikont.co.jp/
資本金:95億3,317万390円
売上高:622億8,400万円(2022年3月期)
従業員数:2,673名(グループ合計:2022年9月30日現在)

〈事業内容〉
針状ころ軸受(ニードルベアリング)等、直動案内機器(直動シリーズ、メカトロシリーズ)、諸機械部品。

〈会社概要〉
1950年に設立された部品メーカー。各種機械の重要要素であるベアリング(軸受)および関連機器などの製造・販売を行っている。国内で初めてニードルベアリングの自社開発に成功した高度な技術力と、ニーズを丁寧にくみ取る顧客対応の細やかさを強みとしており、その製品は社会のあらゆる産業で幅広く利用されている。ブランド名のIKOには、革新的で(Innovation)、高度な技術に立脚し(Know-how)、創造性に富む(Originality)という意味が込められており、「社会に貢献する技術開発型企業」という経営理念のもと、多様化するニーズに応えた高品質の製品をグローバルに提供している。

導入したソリューション&サービス

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