ナブテスコ株式会社様
ITアウトソーシングサービスの継続的な活用により運用負荷軽減、セキュリティ強化などを実現
- 導入したソリューション
- IT基盤ハイブリッド運用(ITアウトソーシング)
- キーワード
- ITアウトソーシング、クラウド、ハイブリッド運用、RPA
導入の経緯
自社のIT要員をコア業務にシフトするため、ITアウトソーシングサービスを導入
システムセンター長
枝川 文彦 氏
ナブテスコは鉄道車両用ブレーキの分野で90年以上、精密減速機の分野で30年以上と、その卓越した技術力で長年にわたり市場をリードしてきました。2021年2月に策定した2021~2030年長期ビジョンでは、「未来の “欲しい” に挑戦し続けるイノベーションリーダー」を掲げ、「Innovation in Action」をキャッチフレーズに、時代の一歩先を行くイノベーションリーダーとなることを目指しています。
同社が初めてコベルコシステムのITアウトソーシングサービスを導入したのは、2015年のことです。当時は、システムの運用負荷の増大、システム追加時のリードタイムの長期化、設備拡張・災害対応の限界、セキュリティリスクの急増などが課題となっていました。これらを解決するため、同社はSAPシステムを含む約200台のサーバーをクラウド化し、同時にITアウトソーシングサービスを導入することにしたのです。そのねらいについて情報システム部 システムセンター長の枝川文彦氏は「運用負荷を軽減し、自社のIT要員を本来注力すべきコア業務にシフトすることが最大の目的です。コベルコシステムを選定した理由は、アウトソーシングの提案内容が最も安心できたからでした。具体的には、運用マネジメントやセキュリティのレベルが高かったことに加え、基盤設備の堅牢性が高く、サポート体制が万全なことも評価しました」と語ります。
以来、同社はITアウトソーシングサービスを活用し、取材時点(2022年)まで7年間にわたってIT環境の変化や新たな課題に対応しつつ、運用負荷のさらなる軽減やDX推進などに取り組んでいます。
ITアウトソーシングの実施施策
コロナ禍に対応するためテレワーク環境を短期間で増強
堀口 裕介 氏
これまでITアウトソーシングサービスを活用することでさまざまな課題に対応してきたナブテスコですが、中でも特筆すべきなのが、コロナ禍のもとで実施したテレワーク環境の増強です。以前から同社は働き方改革の一環としてテレワーク環境の整備を進めていましたが、2020年に始まったコロナ禍に対応するため在宅勤務が急増し、200あったVPNの同時接続数が不足する事態に陥りました。
同社はIaaS事業者のリモートアクセスサービスを利用し、同時接続数を900まで増強しようとしましたが、IaaS事業者側の設備増強が必要で長期時間を要し、急増した在宅勤務者全てをカバーすることができませんでした。そこで、保有していたリソース(サーバー機器やネットワーク等)を活用し、臨時のVPN環境を構築して事態を乗り切りました。当時について情報システム部の堀口裕介氏は「既存のリソースを使って余りコストをかけずに乗り切るというアイデアは、コベルコシステムの常駐SEにいただきました。いろいろな手段がある中、安価でスピーディに導入でき、セキュリティにも考慮した最善の方法をご提案いただき感謝しています」と振り返っています。
新たなセキュリティの脅威に対応するためCSIRTを設置
真島 元司 氏
セキュリティリスクへの対応も、ナブテスコが7年間で実施した重要施策の1つです。近年、SaaSなどのクラウドサービスや、新たな技術を活用する上で、より一層のセキュリティ強化が求められています。そこで同社は2017年にセキュリティインシデント対応チーム「CSIRT」を情報システム部内に設置しました。CSIRTにはコベルコシステムも参画し、日々の監視、インシデント発生時の一次対応、週次・月次ミーティングへの参加などを通じて、セキュリティレベルの向上を図っています。この点について情報システム部の真島元司氏は「CSIRTの設置により監視体制が強化され、異常を迅速に検知して早期の対応ができるようになりました。このうち自社でまかなえない部分については、コベルコシステムにサポートしていただいており、監視・対応業務もスムーズに回っています。月次や週次のミーティング、システム運用など、オンサイトとリモートのハイブリッドで対応いただき、柔軟な運用が実現しました」と語ります。
DXの推進に向けてネットワークをSD-WANで仮想化
ナブテスコの情報システム部は、自社のDX推進をバックエンドから支援していますが、SD-WAN環境を構築し、クラウドファーストを推進しやすくしたこともその支援の1つです。2019年から2021年にかけて作業を実施し、拠点やグループ会社間をつなぐ同社のネットワークをSD-WANで仮想化しました。
「これにより、IoT化に向けて現場のネットワークと接続したい、拠点間を柔軟につなぎたいなど、部門から上がってくる要望にも応えられるようになりました。クラウドサービスやWeb会議といった通信量が多いサービスを利用する際も、ネットワークに負荷がかからないよう通信をブレイクアウトさせて、利便性を向上させることが可能になりました」(堀口氏)
定期監視業務をRPAで省力化、改善提案でIT運用のコストパフォーマンスを継続的に向上
菅 公成 氏
運用改善提案で、コストパフォーマンスがさらに向上したことも注目に値します。情報システム部では、システムの監視業務をコベルコシステムにアウトソーシングしていましたが、さらなる改善の一環としてRPAを導入し、機械的に実施できるオペレーション業務を自動化しました。その際、コベルコシステムよりRPAのスクリプト作成について過去のノウハウを提供されたといいます。情報システム部の菅公成氏は「まず業務を棚卸し、自動化できるところと、できないところを切り分けたのち、3ステップに分けてRPAを導入しました。結果、数十時間の工数削減を実現しています。オペレーション業務の自動化により、空いた工数を他の運用業務に割り振ることができ、工数とコストを増やすことなく運用範囲を広げることが可能になりました」と語ります。
導入の効果
コベルコシステムと共に改善テーマを設定、密に連携しながら施策を実施
ナブテスコはITアウトソーシングサービスを導入してからの7年間、コベルコシステムと二人三脚でさまざまな施策を実施してきました。現在も半年単位の契約ごとに見直しを行い、改善のテーマをコベルコシステムが提案、それについて議論しながら改善を進めています。
「長年にわたり契約を続けているのは、コベルコシステムが営業目線でなく、顧客目線で動いてくれているからです。おかげで本音を伝えやすい関係性が築かれています。また、IT要員が手薄なところにスキルを持った常駐SEをアサインし、私たちに寄り添った活動をしてくれるのは有難いですね。なお、SEについてはコベルコシステムだけでなく子会社のコベルコソフトサービスからも優秀な方を手配してもらっており、一丸となって良いサービスを提供しようとする姿勢を感じます」(枝川氏)
情報システム部のスタッフも、コベルコシステムに対して厚い信頼を寄せています。菅氏は「基幹系システムのアプリからインフラまで、幅広く対応していただけるので助かっています。長く常駐してもらっているので、アプリ担当ともコミュニケーションを取りやすく、障害発生時には原因をいち早く突き止めて課題解決に動いてくれます」と述べ、堀口氏も「コベルコシステムのSEは技術力が高く、豊富な知見のもと、忌憚のないアドバイスがいただけるので、安心して運用を任せることができます」と語ります。さらに真島氏も「日々進化しているIT技術やソリューションについて、コベルコシステムのSEはどうすれば形になるかを筋道立てて説明してくれます。私たちは提示された解決策の中から選べばよいので、完成度の高いプランが作りやすくなります」と評価します。
今後の展望
「攻めのDX」に向けてより柔軟なIT整備を目指す
ナブテスコでは、今後もコベルコシステムと共に運用のテーマを決めながら、運用負荷の極小化やDXのさらなる推進に取り組んでいく予定です。具体的には、2025年のITインフラ刷新に向けてさらなるクラウド活用を進めていくといいます。
「クラウドファーストに向けて、マルチクラウド活用を考慮したIaaSの刷新を進めていきます。コベルコシステムにも協力ベンダーの1社としての貢献を期待しています」(堀口氏)
長期ビジョンのテーマの1つである「攻めのDX」についても、データ分析基盤の確立やシミュレーション/AI活用基盤の構築などに向けて、システム環境の整備を続けていく方針です。
「コベルコシステムには、今後も引き続きご支援いただきながら、私たちのDX推進を支えるITインフラの構築について、安全・安心・快適でコストパフォーマンスの良いご提案を期待しています」(枝川氏)
※この記事は2022年3月時点の内容です。
導入された企業様
ナブテスコ株式会社
設立:2003年9月29日
所在地:東京都千代田区平河町2丁目7番9号 JA共済ビル
URL:https://www.nabtesco.com/
資本金:100億円
売上高:2998億200万円(2021年12月期)
従業員数:単体 2,369人(2021年12月末)、連結 7,844人(2021年12月末)
<事業内容>
精密減速機、油圧機器、鉄道車両用機器、航空機器、舶用機器、商用車用機器、自動ドア・プラットホームドア、福祉機器、包装機
〈会社概要〉
ナブテスコは、流体・空圧制御技術を持つ「ナブコ」と、切削・組立加工技術を持つ「帝人製機」が統合する形で2003年に誕生した。以来、両社から受け継ぐ技術基盤を活かして事業の拡充を進め、「モーションコントロール技術」を中核に、幅広い分野で事業を展開している。航空機の飛行姿勢を制御するフライト・コントロール・アクチュエーターでは世界有数のメーカーであり、国産機シェアは約100%を占める。このほか、産業用ロボット関節用精密減速機は世界シェア約60%、油圧ショベル用走行ユニットは世界シェア約25%、舶用エンジン遠隔制御システムは世界シェア約40%と、世界の重要産業を支えている。国内では建物用の自動ドアが有名で、「NABCO」ブランドとして国内シェアの約55%を獲得している。