お客様にご満足いただくために CSコラム お客様とともに考え、ともに挑戦し、ともに『夢』をかなえたい。そんな想いを幹部が語ります。

2020年12月01日

ビジネス活動の倫理観について
取締役 管理部長 CFO, CISO 角 重樹

CSについて考えた時に、私には忘れられない経験があります。当社在籍前のかなり昔のことですが、あるソフトウェアの海外バージョンに関するホームページの存続について問題となりました。元になる日本語バージョンは存続していたものの、海外バージョンについては既に販売・保守は中止、開発チームも解散していましたが、問い合わせ対応も含めたお客様へのコミットメントのために、ホームページは存続させたいという根強い意見があったことも事実です。結論としては、どうしてもケアが必要なお客様は個別に対応、修正や機能拡張など会社として責任を持ってできないことは明示できないので、ホームページは閉鎖というものでした。もっと議論を尽くすべきではなかったかと今でも思い返すことがあります。

また、業務と離れた個人的な体験はCSにはふさわしくないかも知れませんが、最近印象深い出来事がありました。家族(主として息子と娘)が運転する自動車を前から探していました。新車・中古車を問わずいくつかの候補の中で、ある輸入車の車種が目に留まりました。新車だと多様なオプションが選択可能なため、どうしても納車に時間がかかります。逆に中古車だと、「一品もの」のようなもので、日本全国レベルで見つけたらすぐに購入検討に入らないと、他にも多くの人が探しているためすぐに「売約済み」になるということがこれまでに何度かありました。今回、東北と近畿地区に一台ずつ見つけることが出来ました。近畿の場合は陸送費を浮かせるために、私の実家のある浦安まで長距離運転をして運ぶ覚悟でした。話を進めていくうちにドライブレコーダーの取り付けについて不思議に思うことがありました。「前後両方に取り付けしたい」と尋ねてみましたが、「後部は取り付けできない」とか「純正品なら何とか取り付けできる」といった返答で、何故そうなのかは教えていただけませんでした。この疑問はひょんなことから解決します。帰省した際、以前一度行ったことのある足立区の販売店で、探している車種より年式とグレードが上のものを見せていただきました。その際、ドライブレコーダーについての疑問をぶつけてみました。観音開きのバックドアであるため、ドライブレコーダーを付けるには、社外品を使い、かつ配線を工夫しないと付けられないとのことで、実物を見て納得しました。結局、足立店のものを購入即決しました。

さて、「営利の追求を敵視するピューリタニズムの経済倫理が実は近代資本主義の生誕に大きく貢献したのだという歴史の逆説を究明した画期的な論考」(岩波文庫ホームページより)である、マックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は、私の学生時代の必読書でしたが、書評や引用で読んだ気になって誤魔化していて、ようやく読破したのは卒業後10年くらい経ってからでした。意外にもすんなりと読めた記憶があります。この古典に対して、現在なら何が倫理観の機軸になるでしょうか?

「最も重きを置くべき価値とは何でしょうか?私は常に「成功」を目指していますが、私たちは「信頼」よりも「成功」を優先させることはできません。」これは、セールスフォース・ドットコム創設者のマーク・ベニオフの言葉です。(※)少し前に刊行された「トレイルブレイザー」を読んでみると、著者の人生や会社経営上の節目となる出来事に対して、何を考え、どのように対処してきたかを縦横に記述しています。プラットフォーマー企業として、顧客、従業員、パートナーをはじめとするステークホルダーの成功に尽力するための行動規範となるべき最も重要な価値観はやはり「信頼」と記されていました。

お客様との「信頼」関係は時間をかけて構築していくものですが、時として、彼我にとって都合の悪い真実を共有することも含まれるでしょう。現在、CFO (Chief Financial Officer)とCISO (Chief Information Security Officer)を拝命させていただいておりますが、「正しいことをする」「安心してお任せいただく」ことで「信頼」を得ることに邁進できるよう、思いを新たにしているところです。

※:"Davos 2019 - Digital Trust and Transformation A Conversation with Marc Benioff"
World Economic Forumチャンネル(Youtube)で視聴が可能です。

2020年12月

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