国内最大級のネットワークをIP-VPN+VoIPで再構築することで、通信費及び運用コストを2割削減
株式会社神戸製鋼所様
国内最大級のネットワークをIP-VPN+VoIPで再構築することで、通信費及び運用コストを2割削減
| [導入経緯]インフラの老朽化、データ通信の高速化、TCOの削減への対応 |
| [仕様検討]IP-VPN+VoIPを利用した音声/データ統合ネットワークの採用 |
| [契約受託]豊富な実績とノウハウ・サポート体制が評価 |
| [業者選定]IP-VPNサービスの通信事業者を選定 |
| [技術検証]VoIPゲートウェイの性能、およびIP-VPNの仕様の検証 |
| [実証実験]5事業所で実証用ネットワークを構築し、課題を解決 |
| [導入効果・今後の展開]目標を上回るコスト削減効果と今後の展開 |
[導入経緯]インフラの老朽化、データ通信の高速化、TCOの削減への対応
株式会社神戸製鋼所様は、本体だけで24事業所、関連会社・パートナー企業約130事業所の巨大な組織体です。これらを繋ぐネットワークはTDM(時分割多重装置)により音声とデータを統合して利用する専用ネットワーク網「コベルコネット」として1986年に構築が行われ、拠点間は専用線で結ばれ通信が行われていました。1997年にはホスト系、情報系といったデータ系については、構築されたシステムのアプリケーションを大幅に変更することなく、インターネット対応のシステムへと移行できる「SNAプロトコルのIPカプセル化」も実現していました。

しかし、最近では音声系で使われているTDM設備の老朽化や割高な運用コスト、データ通信においても高速化、レスポンスの向上、TCOの削減といったことが問題となっていました。そのため、これらをクリアする基幹ネットワークの再構築が求められました。
[仕様検討]IP-VPN+VoIPを利用した音声/データ統合ネットワークの採用
新ネットワークの検討がスタートしたのは1999年4月のことです。この際に二つの案が検討されましたが、最終的には音声とデータを一つのIPネットワークで統合する「IP-VPNとVoIP(音声をデジタル化し、IPの決まりに従ったパケットとして組み立てることで、IPネットワークに伝送する技術)を利用した音声/データ統合ネットワーク」を採用することに決まりました。これは、全体が一つの統合ネットワークになれば、運用管理の手間やコストは低減し、将来性も十分にあるからです。ただし、技術的には新しいものとなるため、導入にはそれなりの困難が予想されました。
[契約受託]豊富な実績とノウハウ・サポート体制が評価
実際の構築にあたっては、「国内最大級の大規模ネットワーク構築・運用」、「最新技術のIP-VPN+VoIPを使っての構築・運用」という二つの点をクリアできる企業が求められました。それに対して、コベルコシステムの
| 1. | 電気通信事業者として約20年電気通信役務を提供してきたノウハウ |
| 2. | 音声・データを問わない豊富なインフラ構築実績 |
| 3. | データ系はTCP/IPは当然のこと、ネットワークセキュリティやSNAオンライン、CTIなど、種類・種別を問わずそれぞれに得意分野を持つ技術者が多数存在 |
| 4. | ネットワークインフラからインターネットサーバなどネットワークにかかる全般の運用アウトソーシングの受託、長年の運用実績 |
| 5. | 電気通信事業者や機器メーカを特定化せずマルチベンダー化を実現する幅広い取引実績 |
| 6. | 社内コンピュータセンタを中心とするハウジングサービスの実績等が評価され、新システムの設計・構築・運用に至るまでを、一括して手掛けることになりました。 |
[業者選定]IP-VPNサービスの通信事業者を選定
次に、行われたのはIP-VPNサービスを行っている通信事業者の選定です。新基幹ネットワークの設計仕様書をコベルコシステムで作成を行い、VoIPゲートウェイの検証と実環境での実証試験を行うことを条件に、主要な通信事業者に提案を求めました。
各社からの提案は様々でしたが、従来の音声ネットワークの一部でNTTのビル電話サービスを利用していたこと、将来性を考え標準的なMPLSを適用すること等、総合的に検討が加えられた結果、NTTコミュニケーションズ様のArcstar IP-VPNが採用となり、まずは新技術として導入されるVoIPゲートウェイの性能、およびIP-VPNの仕様の検証が始まりました。

[技術検証]VoIPゲートウェイの性能、およびIP-VPNの仕様の検証
最初の技術検証として、IP-VPNとVoIPゲートウェイを組み合わせたとき、これまでと同等な音声通話やファックス通信ができるかどうか、沖電気様をはじめとする3社の製品が選定され検証が行われました。その結果、負荷端末によってネットワークに負荷をかけながら実験した場合、専用網から公衆網へ、公衆網から専用網へと何重かに重ねてレベルを高くして実験した場合のどのケースでも、実用に近い環境下で耐えられ疎通が行えたのは、沖電気様の製品だけでした。また、VoIPゲートウェイとルータが一体化製品の場合は、万一故障が起きたときに音声もデータも両方がダウンしてしまいかねません。しかし、沖電気様の製品の場合は一体化しておらず、別々の製品を繋ぐ「冗長構成」をとっていることで、コストは上がるものの、安全性の点から評価が高かった為、採用が決定しました。
[実証実験]5事業所で実証用ネットワークを構築し、課題を解決
2001年5月からは、本物の業務そのものの負荷をかけながら検証を行うために、5事業所を結んだネットワークで1ヶ月に渡る実証試験が始まりました。しかし、他に例のない規模での新技術実証とあって、以下のような問題がたちはだかりました。
| 問題点 | 古くからNTTが提供しているビル電話サービス(CES)の設備は老朽化しており、回線自体の劣化や回線引き回しの距離の差などにより通信品質がばらついていました。 |
|---|---|
| 解決法 | 使用する回線すべて(64回線)の品質測定を行い、VoIPゲートウェイの機能によって回線ごとに音量調整を行い、場合によってはアンプを設置するなどして品質のレベルを均一にしました。 |
| 問題点 | 現在のファックスは、33.6kbps以上のスピードでの通信が可能になっており、回線品質に応じて、自動で段階的に速度を落として通信するようになっています。しかし、事業所内の構内回線や電話局からの専用回線の回線品質にばらつきがあるために、満足な通信ができない場合がありました。 |
|---|---|
| 解決法 | ゲートウェイのロス設定によって回線品質を均一化すること、それができない箇所ではファックス通信速度を最高9600bpsに設定することで、十分に対応ができました。 |
| 問題点 | 従来の一般電話の場合、通話中は一つの電話回線を独占するため、他人の通話が紛れ込むことはありませんが、IPネットワークの場合は、大勢の人々が送り込んだデータや他の音声パケットが存在します。そのため、混雑時には他のパケットの割り込みにより、遅延が生じることもあります。また、一般電話の場合は、音声信号は圧縮されずにそのまま伝わりますが、IPネットワークの場合は、デジタル化する際に品質の劣化が起こります。 |
|---|---|
| 解決法1 | 【音声パケットを優先して遅延を防止】 遅延が起きるのは、ネットワークがほかの通信によって混雑して、一連の音声パケット(音声データを小包のように小さく分割したもの)の間隔が開いてしまうことによります。これに対して音声パケットを、ネットワークの中で最優先に通してやるようにすれば、他の処理はともあれ音声が遅延することは防げます。 |
| 解決法2 | 【遅延をさらに抑制するために音声パケットサイズを小さく】 音声パケットのサイズが小さければ、それだけ遅延は起こりにくくなります。そこで、音声パケットのペイロードサイズを、同社ではそれを通常の半分にしました。これにより遅延は最大1/2にできます。 |
| 解決法3 | 【VoIPゲートウェイでゆらぎを吸収】 VoIPは、音声データをパケット化するため、パケット毎に転送速度や到着間隔がばらつくと、音が途切れるといった「ゆらぎ」が生じます。これに対して「ゆらぎ吸収バッファ」には、ばらばらの間隔で到着したパケットを一定間隔に戻して復号化する仕組みが盛り込まれています。 |
| 解決法4 | 【音声レベルの自動調整で公衆網接続も快適に】 専用網と公衆網を接続する時に一番困難なのが通話レベルの調節です。公衆網では距離や伝送区間によって音声レベルの不均衡があるため、通話時に「遠話」を感じることがあります。そこで、VoIPゲートウェイの「AGC(自動レベル調節)機能」で、それぞれの通話時において音声レベルの調節を自動的に行い、常時快適な通話品質の提供を実現しています。 |
このように、問題解決への努力を続けた結果、ほぼ予定どおり実証試験を終了できました。

[導入効果・今後の展開]目標を上回るコスト削減効果と今後の展開
実証試験の結果を受け、2001年末には詳細設計が終わりました。2002年2月には、25拠点が一斉に新しいネットワークへと切り替わり、5月末には関連会社やパートナー企業を含め、全体が新ネットワークへと移行しました。

このプロジェクトには約4億円という費用が投じられましたが、全体の運用コストとしては従来の約5億円から4億円を下回る程度にまで低減でき、目標の2割以上の削減が実現できる予定です。神戸製鋼所様ではネットワークが一本化されたことと、専公接続により2割を超える通信コスト削減が期待でき、さらに通信速度の高速化も実現できました。
今後はIPテレビ電話、IPテレビ会議などのサービスを拡充し、同時にグループおよびパートナー企業との統合アプリケーションを検討し、ご提供していきます。

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ICTソリューション本部 営業部
FAX : 078-262-3919







