社長通信 社長・瀬川文宏が気になること、考えさせられたことを綴ります。

2017年07月01日

国破れて山河あり
設立30周年を迎えるにあたり

山河

この7月1日に当社は設立30周年を迎える事ができました。設立以来、着実に成長を続けてこられたのはひとえにお客様、パートナー、株主、地域社会の皆様の当社に対するご理解とご支援のおかげであり、社員一同が心より感謝する次第です。
とはいえ、まだ30年。株主である神戸製鋼所は100周年をゆうに超え、日本IBMも本年で80周年と長寿です。両社のほかにも100年を超える企業は数多くあり、それらの歴史ある企業には足元にも及びませんが、これからも50周年、100周年と持続的成長を期してゆきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

そこで長寿について思ったのですが、会社にしても技術にしても政権にしても寿命があり、それらのなかでも短命のものと長寿のものがあるという事です。今さら言うまでもない事ですが、短命なものはどこかに無理があった、信義に反していた、環境変化に対応できなかった、などの理由が明確に存在します。一方で、長寿のものは短命に終わる理由が発生しない様な遺伝子があるのだと思いますが、それでもいつかは寿命がやってきます。

冒頭のタイトルにある杜甫の有名な詩「国破れて山河あり」は私の好きな言い回しの一つです。中国の政権は4000年の歴史の中で殷、周、秦、漢、魏、晋、南北朝~現在の中華人民共和国まで、さまざまに移り変わりましたが、そこに横たわる山河と人民は、ただそのままに存在し続けてきました。それって当たり前の様にも思えますが、あらためて考えると何なのでしょうか。そこにはいつも人民がいて、人民(の大部分)が不幸になった時代や、支配階級と隷属階級の格差が異様な不満のエネルギーを爆発させた時に革命や政権交代が起こっています。

企業においても、圧倒的な技術力やシェアを持つ市場競争力の強い会社が、競合他社による安価な代替品の参入や新たなイノベーション(抜本的な技術革新)による代替商品の市場形成でたちまち倒産危機に陥った事例はC.クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」にあるとおりですね。

それらの事例の底辺に共通するものは何かと思うに、水が上から下に流れるように、人は自然と自分自身にとって幸せな方向へ向かっていく、ということなのではないでしょうか。長寿企業と言われる企業には、企業理念と言われるものが示されていることが多いですが、それらは必ず何かで人類の幸せに貢献する、というものになっています。
たとえば、資生堂は「美」で人を幸せにしますし、味の素は「食」と「健康」です。IBMは「THINK」による問題解決を根底に人類に貢献し続けています。神戸製鋼所は「ものづくり力」ですね。
最近ノーリツの國井社長の講演を聴かせていただいたのですが「お風呂は人を幸せにする」が創業の原点だそうです。他にも枚挙にいとまがありませんが、それぞれが人を幸せにする素晴らしい使命感を示しています。

一方で最近の企業動向をみると、利益志向が強くなり、株主への還元であるとかリスクマネジメントとかのニュースばかりが目立ち、社会や庶民の幸せに貢献するような動きになっていないことが気になります。ワークライフバランスも良いのですが、格差社会をなくし、後世に負担をかけず、高齢化社会を安心して迎えられるような素晴らしい世の中を政治や企業の高いモラルで実現していきたいものです。デジタル革命やAI技術は、それに少しは貢献できるのではないかと期待しています。

さて、コベルコシステムは、何をもって人類の幸せに貢献することになるのでしょうか。それは、当社のお客様が人類を幸せにしていただくこと(=ビジネスの成功)にITサービスで貢献することだと考えています。これからもお客様に寄り添って50年、100年と一緒に成長できるよう、人類の幸せに貢献したいと心から願っています。

2017年7月

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