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2013年02月01日

IFRSの任意適用

IFRSの任意適用を行う企業が徐々に増えており、2013年1月現在で10社となっています。IFRSを任意適用する企業においては、連結財務諸表規則で定められた要件を満たす必要があります。今回は、IFRSの任意適用についてまとめていきたいと思います。

任意適用の状況

連結財務諸表規則では、上場会社に対して2010年3月期からIFRSの任意適用を認めています。すなわち、一定の要件を満たす上場企業であれば、有価証券報告書をIFRSベースで作成することが可能となっています。IFRSの適用に積極的な企業では、強制開示を待たずに、この任意適用を行ってIFRSによる開示を実施しています。
ところが、実際に任意適用を行っている会社は、今のところそれほど多くありません。2013年1月現在の任意適用会社は、以下の10社となっています。
(1)日本電波工業、(2)住友商事、(3)HOYA、(4)日本板硝子、(5)JT、(6)ディー・エヌ・エー、(7)SBIホールディングス、(8)アンリツ、(9)中外製薬、(10)楽天
なお、有価証券報告書をIFRSベースで開示した企業は、会社法の連結計算書類についてもIFRSベースで作成することが可能となっています。

<会社法におけるIFRS開示に関する規程>

(国際会計基準で作成する連結計算書類に関する特則)
連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則 第93条 の規定により連結財務諸表の用語、様式及び作成方法について指定国際会計基準に従うことができるものとされた株式会社の作成すべき連結計算書類は、指定国際会計基準に従って作成することができる。この場合においては、第1章から第5章までの規定により第61条第1号に規定する連結計算書類において表示すべき事項に相当するものを除くその他の事項は、省略することができる。
「会社計算規則 第120条1項」

任意適用の要件

<連結財務諸表規則におけるIFRSの任意適用に関する要件>

(適用の特例)
第一条の二  国際的な財務活動又は事業活動を行う会社(以下「特定会社」という。)として次に掲げる要件のいずれかを満たすものが提出する連結財務諸表の用語、様式及び作成方法は、第七章の定めるところによることができる。
次に掲げる要件のすべてを満たすこと。
発行する株式が、金融商品取引所に上場されていること又は認可金融商品取引業協会に店頭売買有価証券として登録されていること。
法第二十四条第一項 又は第三項 の規定に基づき提出する有価証券報告書において、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取組みに係る記載を行つていること。
指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員又は使用人を置いており、当該基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成することができる体制を整備していること。
会社、その親会社、その他の関係会社又は当該その他の関係会社の親会社が、次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
(1)外国の法令に基づき、当該法令の定める期間ごとに国際会計基準に従つて作成した企業内容等に関する書類を開示していること。
(2)外国金融商品市場の規則に基づき、当該規則の定める期間ごとに国際会計基準に従つて作成した企業内容等に関する書類を開示していること。
(3)外国に連結子会社(連結決算日における資本金の額が二十億円以上のものに限る。)を有していること。
「連結財務諸表規則 第1条の2第1項」

(会計基準の特例)
第93条
特定会社が提出する連結財務諸表の用語、様式及び作成方法は、国際会計基準(公正かつ適正な手続の下に作成及び公表が行われたものと認められ、公正妥当な企業会計の基準として認められることが見込まれるものとして金融庁長官が定めるものに限る。次条において「指定国際会計基準」という。)に従うことができる。
「連結財務諸表規則(第7章) 第93条

IFRSの任意適用については、何らかの形で国際的な環境下にある企業に対してのみに適用可能となっているのが実情です。ところが、上場会社とはいえども、このような任意適用の要件をみたせない企業が数多く存在します。
特に、連結財務諸表規則 第1条の2第1項ニの規定における、以下の(1)から(3)のいずれかの要件を満たすことが、困難なケースがあります。
(1)外国の法令に基づき、法令の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示していること
(2)外国金融商品市場の規則に基づき、規則の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示していること
(3)外国に資本金20億円以上の子会社を有していること
 
上記のように任意適用の要件を満たすことが困難な企業の中には、日本基準で有価証券報告書提出するとともに、ホームページ上などで自主的にIFRSベースの開示(IFRSの自主適用)を行っている企業があります。このようにIFRSを自主的に適用している企業は、今のところ限定的でDIVA、PCAといった会計ソフトの開発に関する事業を行っている企業に留まっています。

2013年2月

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