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MESコラム第6回 まとめ

「MESとは?」から始まり、その有用性と課題、導入事例と、これまで5回に渡って書いてきた「MESコラム」もいよいよ最終回です。今回は、そのまとめをしてみたいと思います。

RFIDとバーコード

最近は、RFIDやiPadなど新しいツールがフォーカスされ過ぎ、本流から離れて行っているのではと非常に危惧しています。確かにツール類は、日進月歩しています。無線ハンディー端末も、以前は特定省電力を利用し速度が遅かったのが、今では一般の無線LANの活用で高速通信が可能となりました。表示サイズもますます大きくなり見やすくなってきました。また、価格に関しても、タブレット型の表示機は、数十万円が当たり前だったのが、今や数万円で手に入ります。最近、お客様からいただくMESのRFP(提案依頼書)の内容を見ると、目的がRFIDを使うことが前提になっていたり、新しいツールを使うことが目的ではと思ってしまうことが多々あります。MESの導入に際しては、ツールありきでなく、“MESで何を実現したいのか”という目的を、まず、最初に見直していただきたいと思っています。それを見失わなければ、格段に機能の進んだ新製品や新技術が、その目的を、より効率的に、より効果的に実現してくれるはずです。

RFIDとバーコードではどんな違いがあるのでしょうか?
RFIDには、本体に記憶媒体を持っています。しかし、工場内のMESに多くの情報を持たせておけば、わざわざ、小さな記憶媒体に残す必要があるのでしょうか?工場の中で使うバーコードの印刷代が非常に高いのなら、その代わりにRFIDも活用できるでしょう。また、製品出荷後のチェックのためにサービスマンが利用すれば、効果も発揮するでしょう。
iPadからどれほどの情報を入力する必要があるのでしょうか?情報量が多いなら、設備から直接情報を取る方が確実で、しかも楽ではないでしょうか?このように目的により、必ずしも新製品を使うことが最適とは限らないのです。

見せる化

最近、「見える化」から「見せる化」という言葉をよく目にしますが、新しい技術や最新の機器を使っていることを対外的に見せることで、お客様の注目を引こうとしているケースも見受けられます。第4回のMESの導入事例でもご紹介しましたが、社員の皆さんが生き生きとした活動ができ、その結果が出て初めて、対外的な「見せる化」が実現できるのだと思います。「見せる化」をするために、社員のみなさんにムリ・ムダ・ムラを発生するようなことがあれば本末転倒です。社員が、「どうぞわれわれの工場を見てください」と胸を張って言えるようなMESの導入を考えていけば、自ずと「見せる化」が実現できるのです。様々なツールは、その補完に使えばいいのです。

MESはどこで活躍するのか

多くの製造業の企業が、アジアを中心に工場移転をされています。国内では、多機能工の方々が、現場であらゆる状況の対応をされています。これが海外になると単機能工の方(スペシャリスト)が多く、様々な状況への対応が柔軟にできないことがあります。これには、MESの機能である「作業者管理」が活躍します。急に退職者が出た場合も、対応が可能となります。これは、日本では頻繁に起こることではありませんが、海外では日常的なことです。
では、日本国内においては、MESが活躍しないのかというと、決してそうではありません。匠の現場を、若手社員でも運用できるように、MESを使って匠のノウハウを蓄積して活用することができるのです。匠の世界を継承するためにもMESは貢献できます。その上、このデジタル化したノウハウが海外工場を上手に活かす手段となり、日本企業の海外進出を支える推進役ともなるのです。

最後に

MESは長い期間利用されるシステムです。生産管理システム以上に長く利用されることが多く、ものづくりに密接したシステムです。そのため、時代の変化に流されることなく、皆さんには、まず自分たちが今どこにいるのか、どこに、いつまでにたどり着きたいのかをきっちりと決めることから始めていただきたいのです。

当社が提案するMESには華がないとよく言われます。もしかすると、MESを提案する企業全てに、ERPほどの華がないかもしれません。皆さんの事務所にも自動販売機があると思いますが、実は、ここにもMESの一種が入っています。在庫がどれぐらいかを実績収集し、補充することを指示する仕組みを持っています。日ごろ全く気づきませんが、売り切れにはならず、いつでも欲しいものが手に入るのも、MESのお陰なのです。

最後に、MES導入のポイントを以下にまとめます。

  1. 何が課題なのかを明確にする
  2. 現場の負荷をかけない方法を考える
  3. MESが止まっても操業は止まらない仕組みにする
  4. 現場の方々に積極的に参画してもらう
  5. ツールに踊らされない
この中でも、実は4番が一番の課題であり、成功の鍵です。
情報システム部門も、当然システム会社も、現場のものづくりが100%理解できているわけではありません。現場では、例外処理が日常茶飯事です。この例外処理をどうするのか、きっちりと把握し対処を明確にしなければ、MESは絵に描いた餅になってしまうのです。MESを導入する際には、現場の匠の方の参加とその匠のノウハウをどうやって取り込めるかを考えることが成功への近道となります。

これからのグローバル化の中で、日本の製造業の匠のノウハウは、他国には絶対真似のできないものです。MESの活躍が、このノウハウを後世に受け継ぎ、日本の製造業を生き残らせてくれるものと信じています。「MESは縁の下の力持ち」という言葉を最後に、このコラムを締めくくりたいと思います。

長きにわたるご愛読、ありがとうございました。

2011年12月

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