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2018年01月01日

話題のキーワードの流行りから見る日本のものづくり

新年を迎え、今回はこの3年間にものづくりの分野で話題となったキーワードがどのように出現してきたか振り返りつつ、今後のトレンドを考えていきたいと思います。キーワード出現の情報源は、日常的に身近な新聞記事とし、企業のものづくり分野に関係が強く、かつ多くの企業に購読されている専門誌である日刊工業新聞を選びました。日刊工業新聞は、「工業立国」、「技術立国」を創業理念に100年以上の歴史を持ち、購読層には中小のメーカーが多いことも選択の理由です。
では、ものづくりに関する変革とデジタル技術の2つの観点から、気になるキーワードを含む記事数が、過去3年4半期毎にどのように推移してきたか見て、考察していくことにします。

■ものづくりの変革キーワード出現推移

最初に、ものづくりの変革の観点から5つのキーワードを選び、その過去3年の出現をプロットしてみました。

革新に関するキーワード

図表1.革新に関するキーワード出現数の推移 (17Q4は12/21までの出現数)

まず注目したのは「インダストリー4.0」そして「第4次産業革命」の出現推移です。この2つのキーワードの出現を振り返ると、2015年当初に「インダストリー4.0」というドイツの官民学による取り組みが注目され、それ以降は日本も当事者となる「第4次産業革命」が「インダストリー4.0」を上回って出現してきました。「第4次産業革命」の出現数は増加傾向ではあるものの、日本の製造業にとって重要な変革としては、少し物足りなさを感じます。「第4次産業革命」は中長期的に取り組むべき変革であり、一過性のブームとなる必要はないのですが、日本のものづくりの競争力を高めていくためにもっと盛り上げ、加速させていきたいものです。

昨年前半にキーワードの出現が急増したのが「働き方改革」です。法規対応も必要なため注目度が高まったと思われますが、昨年後半になると出現数は減少に転じています。人手不足や生産性の低さを課題に抱える日本の製造業にとって、「働き方改革」は重要な取り組みです。法や制度、意識改革だけでなく、現場の仕組そのものの変革に取り組んでいく必要があります。

では、ものづくりの付加価値向上・創出につながる「イノベーション」や「ビジネスモデル」のキーワードはどの程度出現していたでしょう。これらを苦手とする日本の製造業ですが、その出現数は意外にも3年間を通して高いレベルを保っています。記事の内容を見てみると、国や自治体、そして各種団体による「イノベーション」振興策や、IT企業や投資会社のサービスに関する記事が目立ち、ものづくり企業の「イノベーション」の取り組みや実績に関する記事はまだ限られています。しかし、出現数の多さはものづくり企業の関心の高さを表していると考えると、今後具体的な企業事例の記事がもっと多く表れてくるものと期待します。

■デジタル技術のキーワードの出現推移

次に、ものづくりに関わるデジタル技術の4つキーワードの出現推移を見ていきます。

デジタル技術のキーワード

図表2.デジタル技術のキーワード出現数の推移 (17Q4は12/21までの出現数)

4つのデジタル技術の中でも、「IoT」と「AI」のキーワードの出現数が、この3年間で急速に伸びてきているのがよく分かります。2016年前期までは「IoT」が先行していたのですが、その後は2つのデジタル技術の出現はほぼ拮抗した勢いとなっています。経済産業省の調査によると、工程稼働状況の見える化や工場内外のトレーサビィリティ管理といった、「IoT」の実践企業はまだ1-2割に止まっているものの、「IoT」を計画・検討する企業は大幅に増えているようです。「AI」については当コラムでも昨年見てきたように、第3次AIブームでのブレークスルーにより、実用性と適用性が一気に高まりました。最近の「AI」の勢いを見ると今後は「IoT」を凌いでいくのではと、これからも目が離せない技術です。

一方、「ビッグデータ」は2013年頃から注目され、データサイエンティストの必要性が叫ばれましたが、ここ3年は他のデジタル技術のような伸びは見られません。「ビッグデータ」は「IoT」から生まれ、「AI」により分析されることから、これらのデジタル技術に昇華されていったのではと推測されます。
4つ目のキーワードである「ロボット」については、以前からものづくりの主役となる技術であり、ここ3年間の出現数も他のデジタル技術を上回り、推移も倍増しています。因みに2017年のロボットに関する記事をよく見ると、その約3分の1の記事に「AI」または「IoT」のキーワードが含まれています。実は「AI」と「IoT」も同時に記事に現れることが多く、これら3つのデジタル技術は関連性が高いと考えらえます。例えば「IoT」が目や耳、「AI」が脳、そして「ロボット」が手足となり、それらが一体で機能することで相乗的に価値が高まっていくと見ることができます。

これまで変革とデジタル技術の2つの観点から、ものづくりに関連するキーワードの出現推移を見てきましたが、件数を見るとデジタル技術のキーワードが倍以上出現しています。日本のものづくり企業は、「第4次産業革命」や「イノベーション」等の変革は意識しつつも、新たなものづくりを目指したデジタル技術の実用化の方に関心が高そうです。19世紀の「第1次産業革命」は、英国の当事者にとっては蒸気機関による動力革命であったと見ていたとするならば、現在の「第4次産業革命」は日本の製造業にとってデジタル技術革命と見ているのではと考えられます。今年のコラムでは、こういった見方からもテーマも取り上げていきたいと思います。

2018年1月

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