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2010年02月01日

生産管理システム構築の10ポイント ⑦
製造現場におけるハンディ端末の活用

製造現場におけるハンディ端末の活用により情報収集の簡便化、迅速化および情報の精度向上が期待できます。ハンディ端末には無線式とメモリー式の2種類があり、無線式のハンディ端末は通信環境の設定が必要であり、機器の費用はメモリー式に比べて2倍程度の費用となります。
ハンディ端末を活用した生産管理業務には在庫管理、生産実績、品質管理、出荷管理等があり、無線式、メモリー式の選択は使用目的、用途により使い分けることが必要です。業務への活用事例として以下のようなものがあります。

システム 機能 概要 バーコード表示が必要なもの
在庫管理 購入品受入 ・納品時に納品書のバーコードを読取し、納入数量チェック・訂正。
・受入品の品名ラベルの発行。
納品書
(発注時に納品書発行)
現品ラベル
材料出庫 ・現場(外注)への出庫時に出庫指示、出庫品のバーコードの読取・照合。
・出庫指示数量と異なる場合訂正。
出庫指示書
現品ラベル
棚卸 ・現品のバーコードを読取し、数量を入力または棚卸調査表のバーコードを読取し、現品の数量入力 棚卸調査表
現品ラベル
製造管理 工程開始・終了
(製造指示ロット)
・製造指示の開始・終了を入力
・工程投入および生産実績
製造指示書
現品ラベル(生産は事前出力)
作業開始・終了 ・作業者の着手・終了を入力
・機械の稼働開始、終了を入力
製造指示書
作業者IDカード
材料使用実績 ・標準使用以外の場合に入力 製造指示書
現品ラベル
品質管理 検査実績 ・部品受入、製品入庫の場合に合格数不合格数(要因)を入力 検査指示書または現品ラベル
出荷 出荷ピッキング ・ピッキング指示のバーコードおよび現品ラベルを読取り、現品チェックおよび表示数量を荷揃する。 ピッキング指示書
現品ラベル
荷揃完了入力 ・ピッキング完了により未処理の把握 ピッキング指示書
積込確認 ・積込毎に送り状(納品書)のバーコードを読取り、積込可否チェック
・積込完了による未積込チェック
出荷指示書

無線ハンディ端末の接続例と無線ハンディ端末画面

ハンディ端末を活用するにあたり、指示?、現品等にバーコードを表示して入力を簡便化することが必要であり、この場合、バーコード表示は一次元バーコードが主流となっています。
物を識別ためのキー項目の利用には一次元バーコードが適しています。また、情報が変化するためサーバーに問合せが必要な場合についても一次元バーコードの利用が通常です。二次元バーコードは情報量が多く、情報が不変である場合に適用します。
二次元バーコードの特徴については以下の通りです。

二次元バーコードの特徴

【二次元コードの長所】
1. 大容量のデータ
一次元バーコードと比較すると同じ面積当たりで約100倍のデータが入り、面積を大きくする事によって英数字なら4000文字以上、漢字でも1500文字以上のデータをたった一つのコードで表す事が出来る。
2. 面積が非常に小さい
一次元バーコードに比較して同じデータなら約100分の1の大きさに出来るという事です。
3. 悪条件に強い
一次元バーコードでは、乱暴に扱われてコードの一部が汚れてたりするとリーダーでの読み取りが出来ませんでしたが、二次元コードならば多少の破損や汚れがあってもデータを修復して読み取りが可能です。
4. 360度いずれの方向でも読み取り可能
一次元バーコードは、一方向からの読み取りしか出来なかったのですが、二次元コードはCCDカメラで読むのでどのような方向からでも読み取り可能です。

【二次元コードの短所】
1. 今後の一層の普及はあまり期待できない
QRコードを携帯電話で読み込んでそのサイトにアクセスするなどかなり一般的に使われてきてはいるが、製造現場での今後の普及の見通しはあまりよくない。(将来はICタグ?)
2. リーダーメーカーは、二次元リーダーの開発を進んで行っていない
世界的に見ると未だに種類が多数存在し、それぞれに特許など権利の問題があることがメーカが今ひとつ乗り切れないところです。(あるメーカーでは撤退の方向)
3. 二次元ハンディは、非常に高い
読み取りにCCDカメラと言う高性能の機構が必要であり、コストが高くなるのとハンディとしては重量も重くなります。

物を識別、情報表示において現在ではバーコードが主流となっていますが、今後は読み書きができるRFID(ICタグ)が注目されております。ICタグは低価格化の方向にあり、将来はバーコードに変わるものになると思われます。

ICタグ(RFID)について  RFID: Radio Frequency IDentification

RFIDの動作原理と無線ICタグの構成例

アンテナは1リーダー当たり8アンテナまで設置可能、ただし最大ケーブル長は50mまで。
→アクセスが比較的多い個所についてはリーダー/ライターに接続するアンテナは制限する必要有り。

※ QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

2010年2月

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