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2014年08月01日

お客様との親密な絆を構築する「System of Engagement」

System of Engagement(システム オブ エンゲージメント)とは

System of Engagement(以下SoE)は、マーケティング業界で有名な書籍「キャズム」を記したジェフリー・ムーア氏が2011年に出したホワイトペーパーで広まりました。今までの基幹システムはビジネスで起きる事象を蓄積していました。事実を記録することに主眼を置いていたため、System of Record(以下SoR)と呼ばれています。それに対して、SoEは、ビジネス上で関わる人々の関係性を強化するためのシステムです(図1)。ビジネスでは、お客様やパートナーといった多くの人々の関係性は常に変化しています。この関係性の変化を動的にとらえて絆を強化しビジネスで活かすことに主眼を置いています。


図1. SoEとSoR

図1. SoEとSoR 


エンゲージメントというと、若干日本語としてイメージしにくいかもしれません。たとえば、マーケティング業界では、「絆」または「絆を作る」と訳されます。エンゲージメントと混同されやすい言葉として、ロイヤルティ(Loyalty)があります。こちらは、「忠誠心」と訳されます。エンゲージメントで絆を築いた結果がロイヤルティと言えます。つまりSoEはロイヤルティを高めるためのシステムと言えます。


なぜ今注目されているのか

スマートフォンなどのモバイル機器が普及するに従い、ソーシャルネットワークでは莫大な量のデータが生み出されるようになりました。クラウド技術とビッグデータ処理技術が発展するにつれ、これらの大量なデータを柔軟かつリアルタイムに分析できるようになってきています。
現在すでに実現されているSoEの例として、ソーシャルネットワークサービスでの広告効果指標のひとつ「エンゲージメント率」があります。エンゲージメント率とは、出稿した広告のリンク先ページを見てくれた人が、そのページを気に入ったとき、ボタンを押すなどのアクションしてくれたかどうかの割合です。通常のWebサイトの広告では単に見た人の数しかわからないのに対して、広告を見た人がどの程度の割合で気に入ったかを判断できるため、より気に入られやすい広告を展開できます。成功しているとされるソーシャルネットワークでは、気に入られる広告をたくさん出稿することで、お客様との絆強化に成功しており、これらを実現するSoEが注目されています。


SoEの今後

SoEのシステムは、事実を定型的にとらえた記録ではなく、話題や関係性といった非定型的なデータを扱います。今までの定型化されたデータを扱うSoRでは処理が難しかった、“お客様との会話”や“経営陣の経験”といった非定型のデータ処理にSoEのシステムは適しています。そして、SoEが扱う“経験と勘に裏付けされた閃き”とSoRが扱う“事実”から、今までは得ることができなかったような洞察を発見することができます(図2)。これらをビジネスに活用することで、今までは考えられなかったようなサービスや経営判断が可能になると予想されています。お客様との絆を強め、企業に新たな洞察をもたらすSoEに今後ご注目ください。


図2. SoEとSoRを組み合わせて新たな洞察と発見が得られる時代がやってくる

図2. SoEとSoRを組み合わせて新たな洞察と発見が得られる時代がやってくる


2014年8月

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