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2012年07月01日

通信速度が飛躍的に向上した次世代通信規格
LTE

近年スマートフォンの普及が進んでおり、2012年3月には、日本の携帯電話端末の月間販売台数におけるスマートフォンの占める割合が77.8%に達したという調査結果があります。
しかしこれに伴って、携帯電話回線の通信トラフィックの増加という問題が発生しました。総務省の調査によると、日本の移動通信事業者6社の月間通信トラフィックは、2011年4月から2012年3月までの1年間で2.2倍に増加しています。通信トラフィックの増加によって回線の混雑が深刻化しており、人口が密集している都市部では通信速度の低下という現象が起きていると言われています。この通信トラフィックの増加の要因は、スマートフォン利用者数の増加だけではなく、動画等の大容量コンテンツの利用増加にもあると言われています。
現在主流の第3世代携帯電話回線(以下では3G回線)を利用して、通信トラフィックの増加に対応するには、大規模な基地局を増加させる必要がありますが、それにも限界があります。そこで現在の3G回線に比べて、基地局の利用効率を向上させるための通信規格が求められています。
2012年、日本の各通信事業者が次世代通信規格であるLTE(Long Term Evolution)のサービスを提供するというニュースを相次いで発表しました。今回は、この次世代通信規格「LTE」について説明します(図1参照)。

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図1.LTEのロゴマーク

LTEとは

LTEは携帯電話の新たな通信規格の1つで、国際標準化団体の3GPP(3rd Generation Partnership Project)によって仕様が策定されました。LTEの正式名称である「Long Term Evolution」は「長期的進化」と訳されます。この名前には、現在の3Gを長期的に発展させて効率よく利用し続けることと、現在主流の3Gから将来登場する見込みの第4世代携帯電話(4G)へスムーズに移行することを目指すという意味が込められています(3GPPの定義では、LTEは3Gと4Gの間である第3.9世代(3.9G)に分類されていますが、2010年12月に国際電気通信連合がLTEを4Gと呼ぶことを認可したため、LTEが4Gと呼ばれることも多くなっています)。

LTEの特徴

  • 高速大容量通信
    LTEの特徴は何といっても高速大容量の通信です。LTEでは新しい無線アクセス方式を利用することで、通信速度が飛躍的に向上しています。従来の3G方式では、下り通信速度が最大384kbps~14Mbpsであるのに対して、LTEでは下り通信速度が最大37.5Mpbs~326Mbpsになります。このため、LTEでは大容量の動画コンテンツであっても快適に閲覧することが可能と言われています(図2参照)。

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    図2.3G方式とLTEの通信速度の比較
  • パケット方式のみの提供
    3G回線では、音声通話用の回線交換方式とデータ通信用のパケット方式の両方の提供が必要でした。これに対して、LTEではパケット方式のみの提供になり、音声通話もパケット方式で伝送します。これにより、設備・管理のコストを低減できるようになります。

LTEの現状と今後

2012年現在、日本の各通信事業者はLTEの提供を開始したり、2012年度中に開始することを発表したりしています。また、LTE対応エリアについても各通信事業者によって違いはありますが、首都圏や政令指定都市を中心に展開が進んでいます。
LTEの展開はまだこれからという状況ですが、今後LTE対応のモバイル端末が増加し、エリアも拡大していくことで、都市部での通信速度の低下という課題も解決されていくと思われます。皆さんも、今後スマートフォンやタブレット端末を購入する際には、LTEへの対応を検討してはいかがでしょうか。

2012年7月

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