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2012年05月01日

電子書籍の次世代標準規格
EPUB

EPUB(Electronic PUBlication)とは

PCや携帯電話といった電子機器のディスプレイ上で閲覧できるように、デジタル化されたコンテンツの総称を電子書籍と言います。「EPUB」とは、電子書籍の標準化団体である国際電子出版フォーラムが仕様を策定・公開している、電子書籍のファイルフォーマットです。

電子書籍のファイルフォーマットは、Web上を始め、企業や行政機関でもよく利用されているPDFや、ベンダーが独自に開発したXMDF(ever-eXtending Mobile Document Format)などが存在しますが、これらはフォーマット間での互換性がなく、電子書籍を作成・閲覧する場合には、それぞれに対応したソフトウェアが必要となります。それに対してEPUB形式の電子書籍は、PCだけでなく、スマートフォンやタブレット端末に搭載されている電子書籍リーダーやブラウザなどからも閲覧できます。また、有償のソフトウェアを使用せずに制作できるため、「EPUB」を採用する電子書籍販売企業が増え、英語圏では標準規格になりつつあります。

EPUBの特徴

「EPUB」のファイルフォーマットはHTMLやCSSから構成されているため、Webサイトの制作と同様の手順・スキルで電子書籍を制作できます。また、電子書籍をダウンロードした後は、インターネットに接続していない状態でも閲覧できる様に、すべてのファイルが1つのパッケージにまとめられています(図1)。
ただし、「EPUB」は暗号化の仕組みを持っていないため、電子書籍の二次利用や再配布を防止する場合には、デジタル著作権管理(Digital Rights Management)と総称される技術を利用する必要があります。

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図1.EPUBのファイル構成

「EPUB」は、画面や文字のサイズに合わせて、1行あたりの文字数や1ページあたりの行数をデバイス側で自動的に最適化する「リフロー機能(図2)」を備えています。従来のWebページでは、表示されるコンテンツよりも画面サイズが小さい場合、利用者はスクロールバーを操作する必要がありました。しかしEPUB形式の電子書籍では、利用者の閲覧環境によってレイアウトを動的に変化させることができるため、1ページに入りきらないコンテンツは自動的に2ページ目以降に表示されます。OSや製品の種類によって画面サイズが異なり、さらにはデバイスの傾きを検知して画面サイズを変更する、スマートフォンやタブレット端末において、これはとても使いやすい機能と言えます。

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図2.リフロー機能

EPUB3.0

「EPUB」の最新バージョンは2011年10月に勧告された3.0で、HTML5やCSS3といった最新のWeb標準技術に準拠しています。HTML5による動画や音声の再生機能と図の描画機能、およびCSS3によるアニメーション機能を活かすことでマルチメディア搭載の電子書籍を実現することが可能です。
また、本バージョンから、縦書き、ルビ、圏点といった日本語独自の表記がサポートされたため(図3)、日本国内においてもEPUB形式の電子書籍の普及が進むと期待されています。

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図3.EPUB3.0形式の電子書籍イメージ

<参考:EPUB形式の電子書籍の作成手順>
1.HTML、CSS、XMLなどのファイル群を作成し、ZIP形式で圧縮する
2.拡張子を.epubに変更する
※拡張子を.zipに変更し、解凍ツールを利用することで、EPUBに対応していないOSやブラウザからもコンテンツを閲覧できる

2012年5月

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