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2016年05月01日

スマートマシン
機械が人よりスマートになる時代はもうすぐやってくる?

スマートマシンとは

スマートマシンという言葉を聞いたことはあるでしょうか?言葉としては新しいものではなく、2013年頃にメディアで多く取り上げられました。3月にAlphaGo(アルファ碁)というコンピュータープログラムが囲碁のチャンピオンに勝利したことが話題になりましたが、このような最近のAI(人工知能)関連の技術の進歩とともにスマートマシンも再び注目されています。

スマートマシンとは、AIとロボット技術が結合したもので、様々な分野の技術が利用されることで実現されます。調査会社ガートナーの定義では「“自律型”で行動し、人間の行動領域に対して侵入するもので、これまで人間にしかできないと思っていたことを実行するマシン」とされています。

決められたやり方の通りに確実に実施してくれる“自動化”だけではなく、それよりも高度な“自律化”、すなわち「自分で学習し、独自にルールを作成し、状況を把握して最適な方法を選択・判断して実行する」が実現されることがポイントになります。

スマートマシンの例

調査会社ガートナーは、2013年の発表で、スマートマシンを3つに分類しています。最近1年ぐらいで話題になっている事例について、この分類に基づき整理したのが以下の表です。

1.  Movers  「移動するもの」
モノとして移動し、自律化よりも自動化に近いレベルの機能を有するもの
事例
  • Google社の自動運転車をはじめとする自動車メーカー各社が推進するスマートカー、自動運転への取り組み
  • Amazon社がドローンによる宅配サービスの実証実験を実施
2.  Sages 「賢者」
個人をサポートする秘書的な機能を持つ「仮想パーソナル・アシスタント」や、適切なアドバイスをする「スマート・アドバイザー」などを指す
事例
  • Apple社のiPhoneに搭載されている音声認識型アシスタント機能 Siri
  • IBMが人工知能技術Watsonのサービスを次々に提供開始
3.  Dogers 「行動する」
人の動きを観察し、行動を先読みして支援するロボットなどが該当
事例
  • 人の感情を認識し、状況を自分で判断して動くことができる人型ロボット「Pepper」を Softbankが家庭向け、企業向けに発売
  • iPhoneを生産する台湾のメーカーFoxconn社が労働者代替型ロボットを生産ラインに 大規模導入

Movers, Sagesの事例については特に最近1年において話題となったものが多数ありますが、Dogersについては、「行動を先読みして支援」するような事例はまだこれからであり、AI、ロボット双方の技術の更なる進歩が期待されます。

スマートマシンを支える技術要素に目を向けると、特にAIが発達し、メディアで取り上げられることが増えています。そして、AIを劇的に進化させたのが機械学習のアルゴリズム(計算の手法や手順)です。ディープラーニング、神経言語プログラミング等の新しいアルゴリズムの開発が進んでおり、状況の分析や判断、最適なルールの生成や解釈など、“自律化”に必要な知識をみずから生成します。冒頭に紹介したアルファ碁にも、上記の新しいアルゴリズムが使われていたようです。

スマートマシンの普及する未来

スマートマシンが今後さらに普及すれば、私達の生活にとって良いことばかりとは限らず、脅威となることもあります。例えば、人々の雇用やキャリアに大きな影響を及ぼすことになるのは間違いないと言われており、野村総合研究所は、国内の601の職業に関する定量分析データから、日本の労働人口の約49%が、その仕事について技術的にはAI等で代替可能になると述べています。

未来学者であるレイ・カーツワイル氏は、「2029年に人工知能は人間と同等の能力を持つようになり、2045年には、コンピュータ性能は現在の約264万倍に達した結果、コンピュータの能力が全人類の知能を上回るシンギュラリティ(技術的特異点)に達する」と予測しています。

以上のような未来予測を聞くと、これまでSF映画やアニメで描かれていた「機械やコンピュータが人類を支配する」世界が背後に忍び寄ってくる怖さを感じるかもしれません。しかし、AIが人間の脳の全ての機能と同等の能力を持つことは非常に難しいと考える方も多いです。これまで以上に人類と、機械やコンピュータが密接に関わり、共に未来を作っていくことは間違いないようです。


2016年5月

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