進工業株式会社様

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HI-KORTテンプレートを活用して、7ヶ月間でSAPをビッグバン導入。プロセス標準化と効率化を徹底して業務改革を実現!

導入前の問題

  • 迅速な納期回答が難しい
  • システム変更コストの増大
  • 月次処理に4~5日かかる
  • データ転記で最終数値の信頼性低下
  • 属人的なデータ管理で組織的な利用が困難
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導入後の効果

  • 業務プロセスの標準化、可視化の実現
  • データの二重入力の解消
  • 月次決算の短縮(2~3営業日)
  • 財務情報の信頼性確保
  • 内部統制基盤の確立

導入のきっかけ

1964年の創業以来、薄膜生成技術を核として電子部品の製造および販売をグローバルに展開されている進工業株式会社(以下、進工業)様では、基幹システムにメインフレームを利用されてきました。
しかし、長年にわたる使用の中で改変が重ねられ、システムの複雑化が進み、システム間でのデータ不整合や二重入力など、経営情報の信頼性が懸念される状況でした。

統合されたシステムの必要性を認識

進工業株式会社 CIO/CFO 伊賀 誠 様
進工業株式会社
CIO/CFO 伊賀 誠 様

「20年以上にわたり、基幹システムはメインフレームを利用しており、いわゆるスパゲッティ状態でデータが複雑化し信頼性が低くなっていました。」

「月次処理に4~5営業日という時間がかかっていました。また、各システム間でデータの転記などがあり、最終アウトプットの数値の情報信頼性に確信が持てなくなっていました。データが個人管理されており必要な時に利用できなかったり、原価計算の中身がわからなくなるなど、悩んでいました。得意先への納期回答を迅速におこなうことも難しい状況で、システム変更を行うにも開発コストも増大していました。」と、当時、CIO/CFOとしてプロジェクトをリードした伊賀様は問題認識を持っておられました。

経営環境の変化、新たな業務プロセスに対応するためには、基幹システムの柔軟性を高めなければなりません。財務諸表の信頼性の担保、内部統制対応など、将来の成長に向けた経営環境を実現するために業務改革が必要です。そこで、ERPのような統合されたシステムの必要性を意識し、基幹システム刷新の検討がスタートしました。

導入の経緯

SAP以外のERPは検討せず

検討開始からわずか1ヶ月、HI-KORTテンプレートを採用

「ERPのような大きなパッケージを自社に導入することは、時間とコストを考えても難しいと考えていたところに、SAP社の広告を目にしました。『SAPのソリューションは様々な業種や規模に対応できるように設計されているので、中堅企業のお客様にもスムーズに導入していただけます。決して大企業だけのものではありません。』と」(伊賀様)

「ERPを導入するとなると数億円はかかる」 「導入期間は1年~2年があたりまえ」という印象を当初持っておられましたが、SAP社とコベルコシステムの提案を受けて導入できると、コベルコシステムが開発した製造業向けSAP ERP統合テンプレートであるHI-KORTを採用されました。

製造業向けSAP ERP統合テンプレート HI-KORT

システム再構築プロジェクト

2008年9月、翌年4月のサービスインを目指し、財務会計、管理会計、生産管理、販売管理、在庫/購買管理の5つのコンポーネントを同時稼働させるビッグバン導入プロジェクト『SMARTプロジェクト(SMART:経営管理システム = System for Management, Administration & Resource Tactics)』が始まりました。

プロジェクトオーナーである社長の強力なリーダーシップ

短納期かつ低コストでの導入を最優先する上で、プロセス標準化、効率化を徹底することは必要不可欠でした。プロジェクトオーナーである美和社長(当時)はキックオフミーティングで次のように明確な方針を宣言されました。
『わが社は薄膜技術という特殊技術を追及してきた会社だが、業務は世界標準であるSAPの標準プロセスに合わせる。「これまでこうしてきたから」という考え方は全て捨てるように!』

「その後、プロジェクトが円滑に進められたのも、この方針に沿って、関係者がベクトルを合わすことが出来たのは言うまでもありません。」(伊賀様)

進工業様のSAP導入ポリシー

プロセスの標準化、効率化を徹底

金融不安を乗り越えてビックバン導入に成功

プロジェクトには紆余曲折がありました。
「プロジェクト開始直後に、リーマンブラザーズ経営破綻に端を発する世界金融不安のリスクが高まりました。会社経営に大きく影響する事態の中、CFOとしての難しい判断を強いられました。」(伊賀様)
プロジェクトメンバーの交代などが発生しましたが、プロジェクトは中断されることなく進み、およそ7カ月の期間を経て2009年4月にサービスインしました。

懸念されていたアドオン開発は、EDI接続の部分でいくつか発生したのみで、開発コストを最小限に抑えられました。コベルコシステムのHI-KORTテンプレートが提供するSAPの機能によって業務をカバーすることができました。
「想像以上に時間を要したのは、マスターの整備と移行でした。寸法や抵抗値などの違いにより、生産頻度の低い製品を含めて6万5,000点にもおよぶ製品マスターを管理しています。この作業は、まさに本番稼働直前まで続きました。サービスイン直後、マスター整備の影響で月締め処理に時間がかかっていましたが、6月には正常に運用できる状態となりました。」(伊賀様)

導入の効果

導入後の効果

財務諸表の信頼性を担保する内部統制基盤を実現

SAPの導入により、明確な効果として、分散していたシステムが統合されたことで、データの二重入力が排除され、従来のチェック作業が完全に解消されました。また、各工程における生産状況や在庫状況などをリアルタイムに把握できるようになった点も大きな成果です。
会計業務においては、月次決算処理にかかる日数が、従来4~5営業日程度かかっていたものを、2~3営業日まで短縮できるようになりました。同時に、財務諸表の信頼性を担保するシステムが構築できたことで、内部統制の面でも万全の環境が整いました。

導入後の改善活動

生産調整の柔軟性と納期精度の向上、社員の経営マインド向上

SAPを中心とした他システムとの連携によって、さらなる業務改革・改善活動に取り組まれています。
「メインフレーム時代には、生産・販売に関するデータをサーバーに置いており、必要に応じて取りに行く仕組みだったため、社員に対して経営の状況を示す数 字の浸透が困難でした。新システムでは、データ活用が容易になったことで、他システムとの連携を推進しました。」(伊賀様)
ひとつは生産スケジューラーとの連携です。中国を含む4工場一体の負荷調整が可能となりました。設備の能力に応じたより詳細なスケジュール管理・納品管理を実現されました。
もうひとつはグループウエアとの連携です。グループウエアのトップページに生産・在庫、受注・販売などの数字(グラフ)を表示することで、効率化やコスト低減など、経営マインドの向上につなげられました。

今後の展望

グローバル展開に向けて

全工程をSAPでカバー

今後の課題としては、新たな生産体制への対応があげられます。進工業では2003年から、国内工場で半製品までを生産し、抵抗値の固定、チップ加工などの後工程は蘇州の現地法人で行う体制に移行しています。現時点で物流を含めた生産管理の統合化は実現していないことから、「今後は海外へのERP展開を含め、グローバルで統合された基幹システムを確立していきたい」と伊賀様は抱負を語ります。

※この記事は、2010年1月時点の内容です。

導入された企業様

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進工業株式会社 本社


金属皮膜チップ抵抗器
低抵抗チップ抵抗器

金属皮膜チップ抵抗器(上)
低抵抗チップ抵抗器(下)

進工業株式会社

所在地: 本社(研究所)
〒601-8177 京都市南区上鳥羽馬廻シ町14番地
URL: http://www.susumu.co.jp/
設立: 1964年7月
売上高: 38億9000万円(2009年3月)

創業以来、薄膜技術の研究開発を行い、薄膜抵抗器をはじめとした精密電子部品の製造・販売を手掛けています。薄膜製品は、省スペース化・高密度実装を可能にする、1/100マイクロメーターの極薄の金属膜で形成。スマートフォンといったIT端末をはじめ、ハイブリット車・電気自動車などの車載電装機器、医療機器など、成長著しいエレクトロニクス分野で幅広く活躍しています。また、薄膜技術は今や世界へ。アメリカ、中国、ドイツにも販売拠点を持ち、世界中で代理店網を構築しています。

〈事業内容〉

電子部品の製造ならびに販売
製造品目
金属皮膜チップ抵抗器、金属皮膜チップネットワーク抵抗器、金属皮膜トリマブルチップ抵抗器、低抵抗チップ抵抗器、金属箔低抵抗チップ抵抗器、高精度チップアッテネータ、感温型チップアッテネータ、カスタム製品等

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